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最近、乃木坂46の弓木奈於(ゆみき・なお)というアイドルが面白い。
2020年2月、坂道合同オーディションを経て新・4期生として加入。オリジナルの4期生より一足出遅れたことも不運で、しかもその後コロナ禍でライブなどもままならなかったこともあり、なかなか世に出るキッカケがつかめずにいた。現在、選抜メンバーには一度も選ばれていない。
それにも関わらず、現在の週レギュラーは4本という活躍ぶり。さらにそのうちの1本が『乃木坂46弓木奈於とやみつきちゃん』(ひかりTV)という“冠番組”。世間的にはまだ無名だが、なぜここまで注目されているのだろうか?
乃木坂1期生で、こちらも“天才”とファンの間では親しまれる和田まあやと高校の同級生であるということから見ても、その特異ぶりが容易に想像できるが、まずは、替えのきかないパーソナリティーが挙げられる。具体的には、突拍子もない発言、聞き間違い、言い間違い、即興で披露する珍妙な歌など、キャリアを積み重ねることでは培うことができないオリジナリティが彼女の強みだ。
坂道グループにも、バラエティ対応ができるアイドルが数多くいる。言い間違いで笑えるのは日向坂46・佐々木美玲、トリッキーな発言で面白いのは櫻坂46では増本綺良、大沼晶保というツートップがいる。だが、相手が誰であろうと周囲を巻き込んでいく強烈な磁場のような存在は、全ての坂道中でナンバーワンではないだろうか。
1日放送の『らじらー!サンデー』(NHKラジオ第1)で弓木と初共演したオリエンタルラジオ藤森慎吾は、彼女の解読不能なトークに「この人、何言ってんだよぉ!」と困惑。同じ4期の早川聖来も「頭痛くなる」と話していた。弓木という珍獣を世話をする人は、多少(?)の言い間違いを受け入れ、受け流す度量の広さと事前の理解が必要かもしれない。
その意味で弓木と特に相性の良い芸人が、アルコ&ピース、アインシュタイン、なすなかにし、さらば青春の光といったメンバーだ。アルピーとは毎週2時間、ラジオ『沈黙の金曜日』(FM FUJI)で共演しているし、アインシュタイン、なすなか、さらばとは『やみつきちゃん』でも共演し、いずれも“弓木”の洗礼を受けている。その番組で、稲ちゃんこと稲田直樹のことを「最初の人類」と形容していたという。つまり稲田から、人類の歴史が動いたということだ。
先月23日放送の『やみつきちゃん』は生放送だったのだが、彼女の控室を定点で観察し、その中からクイズを出題するというものだった。
企画主旨を発表した那須晃行が「弓木ちゃん、心当たりあります?」と聞くと、彼女は「確かに日常生活、お家にいて、携帯とか触ってるときに、視線感じるなとか……」とコメント。これに那須は「それ怖い、それはマネージャーさんに相談した方がいい」、中西茂樹も「それは別の番組でやろう、今日じゃないわ」と戸惑っていた。
ちなみに弓木は、番組オープニング、意気込みを伝える前口上で「口を開きすぎると歯が渇くというのは“人間あるある”かなと感じるんですが、それはさておき……」などと弁を振るっていたが、中西も藤森同様、「結局、君は何が言いたいの?」とツッコミを入れていた。
また、同23日の『やみつきちゃん』では、学力テストと称して偉人の名前を答えてもらうロケVTRが流れていたが、ベートーベンの肖像画を見て「マーシュフィールド」、リンカーンを見て「モンタール博士」、チャイコフスキーは「スミニーク」、高杉晋作は「お目に書かれて光栄です。さいとうまさのぶさん」、板垣退助のことを「竹野内豊」と、揺るぎない自信で即答。
さらに番組では、「このロケの時、奈於ちゃんが『ルノワール伯爵』と答えた偉人は誰でしょう?」というクイズ問題も出題された。しかも、事前に答えたはずの本人もスタジオの解答席に座り、一緒に悩むという画づらも不思議だったが、正解はGHQ最高司令官マッカーサー。軍帽と軍服姿の元帥を、「ルノワール伯爵」と即答していた“瞬発力“”には舌を巻いた。
ナポレオンが白馬に乗っている有名な肖像画を見て「ペリー」、一方で「ペリー」のことは「中学校の時の校長先生。生まれ変わりってあるんですねぇ」と、感慨深げだった。
4月からBSテレ東で始まった新たな担当番組が『東京パソコンクラブ~プログラミング女子のゼロからゲーム作り~』。他の乃木坂メンバー、吉田綾乃クリスティー、金川紗耶とともに、ゼロからゲームプログラミングを学び、オリジナルゲームを作るという番組だ。
そんな番組で弓木は、金川と一緒に“お笑い担当”になっているのだが、毎回、なぜか締めのコメントを求められる。先月29日放送のエンディングで彼女が放ったのが、「未来とは失敗と成功の全部乗せ」という言葉。事前に考えていたのかは定かではないが、このように名言めいたことも語ってみせたりする。果たしてキャラなのか天然なのか? とにかく天才と狂気の間にいることは間違いない。今後も注目したい逸材だ。
(執筆者: genkanaketara)