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現在大ヒット公開中の映画『パーム・スプリングス』。昨年のサンダンス映画祭で話題となり、今年のゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)にて作品賞・主演男優賞のノミネートされた話題作です。
舞台は砂漠のリゾート地、パーム・スプリングス。妹の結婚式で幸せムードに馴染めずにいたサラは、一見お調子者だが全てを 見通したようなナイルズに興味を抱く。いい雰囲気になるふたりだが、謎の老人・ロイが突如ナイルズを襲撃!負傷したナイルズは近く の奇妙な洞窟へ逃げ込んでいく。ナイルズの制止を聞かずサラも洞窟に入ってしまい、一度眠りに落ちると結婚式の日の朝にリ セットされる“タイムループ”に閉じ込められてしまった!しかもナイルズはすでにループにハマっていて、数え切れないほど同じ日を 繰り返しているという。2 人で過ごす無限の今日は最高に楽しいものに思えたが、明日がこない日々は本当に大切なものを気 づかせていく。果たしてふたりは、永遠に続く時間の迷宮から抜け出し、未来を掴むことができるのか!?
「ブリグズビー・ベア」のアンディ・サムバーグが主人公サム役を演じ、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」に出演したクリスティン・ミリオティ、「セッション」でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズらが顔をそろえる本作。長編監督デビューとなったマックス・バーバコウ監督にお話を伺いました!
――本作、最高に楽しい作品でした!タイムリープをテーマにした作品はこれまでもあったと思うのですが、本作でのチャレンジはプレッシャーではありませんでしたか?
バーバコウ監督:作品を楽しんでくれてありがとう! 最初はタイムループものだと考えていなかったんですよね。「パーム・スプリングス」という土地を舞台に、その場所から離れることが出来ないという実存的なロードムービーを作ろうと考えていた。どこからタイムループの展開をいれようかと思ったかというと、主人公の2人の“地獄”とは一体何なのかを考えた所からなんだ。ナイルズとサラは誰かと親密になったりコミットメントするのを恐れている、そんな2人が結婚式の日から抜け出せないというのは面白いんじゃないかと考えたんだ。この2人のキャラクターを描くためにタイムループ設定を取り入れたんだ。
タイムループ作品で、僕が好きなのは『恋はデジャヴ』と『オール・ユー・ニード・イズ・キル』だよ。でも大好きだからこそ、真似にならないように、距離を置いて参考にさせてもらった感じかな。
――そういった人物造形を作ろうと思ったのはなぜでしょうか。監督自身のお気持ちだったりしますか?
バーバコウ監督:この作品のアイデアは2016年頃から考えていたんだけど、トランプ大統領が就任した頃ですよね。貧困や分裂、人と人との距離感、孤独感が出てきてしまった時だと思う。そして、僕自身は連続で恋愛がうまくいっていなくて(笑)、ナイルズとサラと僕には色々な共通点があるんだ。ナイルズ役のアンディとクリエイティブなセラピーという感じで、この作品を作り始めたんだ。アンディさんがパーム・スプリングスで結婚式を挙げて、僕は彼の人生最高の日に参加していたんだ。僕は自分の脆さを他人に見せたり、誰かと親密になることを恐れているなと、感じている時だったから、色々なタイミングが重なったんだよね。
そしてこの映画が今、公開されるということで、パンデミックによって孤独を抱えている人たちにも響くのかなと思いました。
――結婚式とかで、ふっと冷静になっちゃう瞬間ってありますよね。私だけじゃないんだなと(笑)。
バーバコウ監督:僕もいつもそうなんだよね、僕だけじゃなくて良かったよ(笑)。結婚式に限らず、卒業式とか、お葬式とか、そういった人生の大イベントというのは、自分自身の人生について考えてしまう瞬間だと思う。「今、自分はどこにいるんだろう」って不安を感じてしまうことってあるんだよね。
――同じ気持ちを話すことが出来て、本当に嬉しいです!そしてどうしても気分が塞ぎ込みがちになる昨今の状況において、本作の映像美にはとても元気をもらえました。
バーバコウ監督:少しでも現実逃避というか、心を癒してくれたら嬉しいな。この映画はSFだったり、コメディだったり色々な要素が入っているのだけど、ヴィジュアル的にマジカルなフィーリングというものを足したいと思っていたんだ。オフビートさも足したいなと思っていて、アナモルフィックレンズを多用していて、ロケ現場をいじるのではなくて信用して、実際の景色の色をそのまま使おうと思いました。あとはオレンジが重要な色になってくるのだけど、愛を喚起する色となっているんだ。カメラワークも2人の心情の変化によって変化させているんだ。ぜひそういった部分にも注目してほしいな。
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