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東京・原宿の“kawaii”カルチャーをベースに、アメリカ・ニューヨークで発表した『“Colorful Rebellion” -Seventh Nightmare-』やオランダ・アムステルダムでのパフォーマンス作品『ESCAPE FROM ANONYMOUS(E) -Improv Orchestra for the World-』など、刺激的なアーティスト活動をグローバルに展開し、2017年度の文化庁文化交流使や、2018年度ニューヨーク大学(NYU Arts &Science)客員研究員を経て、京都芸術大学客員教授を務めている増田セバスチャン氏の、新作となる『Fantastic Voyage』が2021年2月26日~28日に東京・北千住BUoYにて公開されます。
自身の“individual”な体験を一貫して表現している増田氏ですが、今回の『Fantastic Voyage』も極めて個人的な記憶とイメージを、隔離されたカプセルの中で鑑賞する体験型インスタレーション作品となっているとのこと。ノーベル文学賞を受賞したイギリスの詩人T・S・エリオット(1888-1965)の長詩『荒地(The Waste Land)』をキーワードに、「四月」「失われたものの世界」「カード」「空想の都市 -Unreal City-」「塵土(じんど)-Resurrection-」というテーマで音楽、映像、インスタレーション、光と闇で構成されているといいます。また、音楽は2018年に発表された増田氏の映像作品『New Generation Plants』の楽曲を手掛けた音楽家・波多野敦子氏が担当してます。
増田氏によると、一年前にベルギーに行く予定だったところ、現地のロックダウンにより急遽渡航がキャンセルになり、ぽっかりあいた心の空白の時間を埋めるために比叡山延暦寺に向かい、「そこで見聞き体験して考えたことをベースに作品を制作しました」といい、その思考の断片は、次のような言葉で示しています。
「祈る」とはどういうことなのか。その行為の本質は「考える」ということではなかったか?この世界はなぜ理不尽にできていて、なぜ思い悩み思い苦しむのか?と、自問自答を繰り返した。その時綴った「今は(隔離された世界で)、来るべき未来を想像するということが、唯一、ポジティブな行為なのだ」という本人の言葉を起点に制作されている。
増田氏は「コロナ禍の緊急事態宣言下において、どうしても発表したかった」と自主制作による公開に至った経緯をFacebook上で語っており、「本来ヒトが持っているアナログな感覚を、作品を通してどこまで拡張できるか、体験者とアーティストの、ある種チェスをしているかのような作品になれば良いなと思ってます」と述べています。
今回はプロトタイプとしての制作で、増田氏自身が「まだまだ改良の余地があります。いろんな技術や機材、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも必要です」と語る『Fantastic Voyage』。所要時間は約30分程度。各回1人だけが体験者としてカプセルに乗り込むことが可能で、加えて毎回10名ほどが鑑賞者として会場内に入ることができます。既に各回の体験回(2500円)は完売となっており、注目度の高さを示しているだけに、アートシーンの現在地を体感したいという人は要チェックです。
増田セバスチャン『Fantastic Voyage』
会期:2021年2月26日(金)~2月28日(日)
時間:14:00/15:00/16:00/17:00/18:00/19:00(各回30分程度)
料金:体験者2500円/鑑賞者1000円(要予約)
会場:北千住BUoY・地下(東京都足立区千住仲町49-11)
増田セバスチャン『Fantastic Voyage』(予約ページ)
https://fantastic-voyage-buoy.peatix.com/ [リンク]