Twitterで創作マンガを発表している岡山薫さん(@okayamakaoru)の『さよならハッピーエンド』。学生作家の天野さんの、担当編集の吉田さんへの切ない恋を描いていて、「刺さった」「泣けた」という感想が寄せられています。

銀杏の落ち葉を踏みしめる天野さんと吉田さん。「こんな風にさ、たくさんの落ち葉の中から誰でも見つけられる、金色の葉じゃなくてさ、こんな枯れ葉を宝石みたいに磨き出すのが、作家の仕事と思ってるよ」と語る吉田さん。枯れ葉を天野さんに渡します。

嬉しそうに受け取って「あはは、銀杏くさい。うんこの匂い」という天野さん。「そーゆーこと言わないの」「吉田さん酔ってるでしょ、自分に」「そーゆーこと言わない!」と話しながら、「次も読者を驚かすような話、作ってやろう。歳なんて関係ないよ」という吉田さんに、「はい」と頷きます。

「担当さんの聞きたい話は私の小説のネタで、私が聞きたいのは担当さんの好きなものの話」という天野さん。カフェで「最近どう? 学校は?」と訊かれて、「えー、なんもないです。テストばっかで」と答えつつ、「あ、じゃあ、一つ良いこと。知り合いがね、私の本、本屋に並んでるのを見て、泣いたって」というと、吉田さんが「あはは。僕と同じだ。いい人だねその人」と笑顔になり、「そうなの。ほんとういい人」と思います。

「じゃあ、僕も一つ良いこと」という吉田さん。「えー、なんですかー?」と尋ねて、「先週、彼女にプロポーズしました」との言葉が返ってきて、ストローからの水滴が落ちて跳ねる音が。「…えー!返事は??」「一応OKって」「一応って(笑)。よかったですね」と笑って祝福します。

帰りの電車の中。広告を見て「この二人はきっと、結ばれてハッピーエンド」「こっちもきっと、最後はハッピーエンド」と考えながら、「いいな。いいな。馬鹿みたい。馬鹿みたいな話が書きたかった」と涙が止まりません。

「ハッピーエンドが好きだよ。人魚姫も幸福の王子も、かなしいからさ。だから自分で書こうと思った」という天野さんですが、「私が書かなくても、この世はハッピーエンドで満ちている」と思い、家に戻ると貰った枯れ葉のしおりを掲げて、PCへと向かいます。

女性と一緒に歩いていて、出版社の入口に佇む天野さんに気がついた吉田さん。「彼女さん?同じ会社の人なんですね」「まあね」「いいな。職場恋愛だ」という天野さん、「あの、これ。読んで下さい」と封筒を渡します。

原稿を読んで、メガネを上げて目をこすり「うん。泣いちゃった。切ないけどよかった。天野さん、こんな話書くんだね」という吉田さん。「なにかの実体験だったりするの?」と聞かれて「やだなぁ、もちろんフィクションですよ」と微笑を浮かべる天野さん。「あなたの隣で笑う、ただ1人になれないのならば、あなたを泣かせる、ただ1人の存在になりたい」と思っています。

カーディガンのポケットから枯れ葉のしおりを取り出した天野さん。止めていたシールを剥がして、枯れ葉が風に飛ばされるのに任せて、「ばいばい」とつぶやくのでした。

「切なさと悲しさが伝わる」「選ばれる物語はハッピーエンドでもリアルではそうではない」といった反応があったこのマンガ。台詞回しと風景の余韻と間が天野さんの心境とリンクしていて、失恋の痛みを包むような独特の空気感があるあたりも、読者に「尊い」と思わせる理由なのではないでしょうか。

※画像はTwitterより
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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「刺さった」「切なさと悲しさが伝わる」 女学生作家が担当への片想いが失恋に終わるマンガに胸をギュッと掴まれそう