どうもライターの丸野裕行です。


お酒をやめたくてもやめられないという方は非常に多いようで、第1回目と第2回目のルポも多くの反響をいただきました。


酒をやめようと地獄をみたライターが体験中!「アルコール離脱症状」の恐怖!

第1回https://getnews.jp/archives/2741998[リンク]

第2回https://getnews.jp/archives/2755015[リンク]


今まで経験したことのないような悪夢で2時間おきに起こされ、幻覚まで見えるようになった筆者。しかし、その恐怖の夜はまだ明けることはなかったのです。



果たして、その後の症状はどのようになったのか……今回も綴っていこうと思います。


突然襲う胃痛と膵臓痛


昨晩みてしまった幻覚は、頭から離れることはなく、2階の寝室へもなかなか足が運びません。とにかく怖い。仕事は、やはり進むことはなく、ぼんやりと原稿資料を読みながら過ごしていました。


酒を飲まなくなって、3日が経過しようとしていたとき、腹部と以前炎症を患ってしまった膵臓部分に鈍痛が走りはじめました。酒を飲まなくなったのに、なぜこんなに内臓が痛くなるのか……不思議に思い、横になって痛みが治まるのを待つのです。



ウトウトとしはじめたころに、《幻視(見えるはずのないものが見える)》の次に現れたのは、《見当識障害》という症状でした。これは、自分が今いる場所や現在の時間などがまったく分からなくなるという症状です。家にいるのか、どこにいるのかがまったくわからず、東京出張のときにいつも泊まる新宿の常宿にいる感覚があるのです。


痛みに耐えながら、おかしな感覚に苛まれつづけ、気がつけば夕方。子供たちが学校から帰ってきますが、出迎える元気もありません。元気な声をただ遠くで聞いているだけです。深夜とは違う恐怖。陽が落ちて、だんだんと横になっている部屋が暗くなる。テレビをつける元気もありません。抜け殻のようになった自分に涙が止まりませんでした。



鎮痛剤が手放せなくなり、意識がもうろう


あまりにも激痛が続くので、鎮痛剤に手が伸びます。2錠のところを3錠、水で飲み干し、痛みが引くのを待っていたのですが、一向に症状は改善しません。気分転換に熱いシャワーを浴び、何気なくテレビを観ていると大食い番組がはじまりました。もえあずが大皿の揚げ物を飲み物のように平らげていく様をみていると、すぐに気分が悪くなって、鎮痛剤を吐きだしてしまいます。


「マジで死ぬわ、本当に……。急性膵炎になったときより地獄だ……」と独り言をぽつりとつぶやき、「このままの状態よりも、酒を飲んでしまえば楽になるんじゃないか」という気持ちが心の中で膨らみます。どんどんと大きくなってくのですが、酒を買いに行く元気がない。



内臓の痛みは、少しずつ改善してきましたが、さっき吐きだしてしまったので、もう一度薬を飲むことに……。これがダメでした。薬の成分は、胃壁がちゃんと吸収していたのです。そのうえ追い薬で、全身の感覚が遠くなってきたのです。


おそらく、いくら針で突つかれようが、指でつねられようが、痛みを感じないようになってしまっています。おまけに目の前に薄いベールをかけたような状態になり、今自分が起きている、ソファーに腰かけているという感覚がない。ど、どうしよう。このとき、救急車を呼ぶことを考えていました。


恐怖の深夜、今日の悪夢は……


夜が深くなり、暗闇の中で家族と布団に入りながら、筆者は眼だけをギラつかせていました。眠るのが怖い。絶対に悪夢をみて、2時間後に強制的に起こされ、恐ろしい幻覚を見るはずだ。



と、やはり階下からは女の金切り声が聞こえてきます。耳をつんざく黒板をひっかくような高い音。震えながら、筆者は知らぬ間に眠りについていました。


電車。暗闇の中でチンチン電車に乗っている自分。後ろから、大勢の人々が電車を追いかけてくる。それが、車両に飛び乗ってきて、窓の隙間から「ニュ~!」っと侵入してくるんです。



で、顔の正面2~3センチに、自分たちの顔を近づけてきて、「ねぇ、まだウチの教団に入っていないの? ダメだよ。奥さんも子供も死ぬよ、ねえ」「なぜ入信しないの、ねぇ?」と、男も女も同じことを言ってくるのです。その顔がボッと発火して、火だるま、顔がメラメラ。助けてくれ! 降ろしてくれ!


ハッと起き上がると、天井からケタケタと笑う人とも違う、動物でもないよくわからない顔がぶら下がっている。


う、うわぁぁぁ~! 助けてくれ! 助けてくれ!!



気がふれたように叫ぶ筆者の体を、「なにもいない! 大丈夫!」と妻が押さえ込みます。やはり今日も幻覚をみてしまっていたのです。朝方には、自分が寝ている布団の周りを大きなしゃくとり虫が這っているところをみました。汗が噴き出て、着ているポロシャツがびっしょりと濡れている。子供の寝顔を見て、気持ちを落ちつけると、やっと正気に戻ったような感覚がありました。


このままでは精神が参ってしまう。もうアルコール外来に相談に行こう。そう決意した、断酒4日目の朝でした。



<写真:ホテルミラコスタにて。テラスで食べる朝食のときもビールを飲むような生活>


アルコール離脱症状、病院を訪れることで改善するのか……次回はいよいよ断酒に成功するか否かの最終回です。


※本記事は筆者の体験に基づくものであり、飲酒行為について肯定や否定をする内容ではありません。また、記載された内容は一般的なアルコール離脱症状すべてにあてはまるものではありません。

※アルコール飲料を販売している酒造メーカーの注意喚起に基づいた適度な飲酒量を守るようにしましょう。


(執筆者: 丸野裕行)


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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 酒をやめようと地獄をみたライターが体験中!「アルコール離脱症状」の恐怖~第3回~