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どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
新型コロナウイルスで仕事が減ったり、なくなったりしたときにやるべき副業として大ブレイクの兆しを見せている職種、それが「運転代行業」。
飲酒運転に関する法律が厳しくなったあたりからその追い風に乗り、どんどん頭角を現してきました。
自分の空き時間を有効利用して、小遣い程度を稼げるというこの業態には、正業を持った多くの人たちが参入しはじめています。
<画像はすべてイメージです>
今回は、この「運転代行業」に身を置く山口孝雄氏(仮名/42歳)にお話を聞き、この職種の“儲けのカラクリ”に迫ってみたいと思います。
丸野(以下、丸)「どのくらいの実働時間なのでしょうか?」
山口氏「そうですね、大体実働時間としては5時間ほどで、日給としては4千円程度です」
丸「たった4千円ですか?!」
山口氏「そう、安いんですよ、この仕事って。僕は普段、郵便局員をしているのですが、あくまでもこの仕事は副業です。ヒマですから、ノートパソコンを持ち込んで、同時進行でネットオークションの仕事をしたりしています。深夜の代行業務になれば、朝方に粗大ごみ置き場をチェックしたりして……。意外に、直せば売れるゴミなんかが捨ててあってね。洋服なんかはメルカリに出品しています。それほどヒマです。客が少ない日には、2時間近く待機して、無線連絡を待ちます」
丸「効率的ですね」
山口氏「だって、時間が余っているんですもん。その他には、営業活動を行います。運転代行を頻繁に頼んでいそうな飲食店に出向いて、食事したりするわけです」
丸「それが営業になるんですか?」
山口氏「ええ。老舗の飲食店には、すでに同業者が入ってしまっているんですが、それを奪うというよりも、こぼれ球で糊口をしのぎながら、だんだんと店に食い入っていくわけです。お客が多い店の“馴染み客”になれば、あまり関係のない代行業者を頼むのではなく、お客さんになっていてくれている代行業者に代行依頼をするはずでしょ? 初めに先行投資としてお金を使うことが大切なんです。どうせ飲食するわけですから、お客紹介してくれそうな飲み屋に通った方がいいでしょ? バックマージンを渡せば、商売のうまいマスターや女将が紹介してくれます」
丸「なるほど~」
山口氏「バブルの頃であれば高額の代行料金が取れましたが、今は底値です。だから、飲食店と“ねんごろ”状態になることが大切なんですね。そんな営業活動をしていると、会社側は厚遇で接してくれています」
丸「どんな感じの厚遇ですか?」
山口氏「ウチの会社であれば、新規客を開拓すると、利用料金に5%の歩合がつくんです。お客が入っている大箱(※大型店舗)なら、1日3件は依頼が入ります。1ヵ月に換算すると、ひと月100件を超えるほどなんですね。それだけで、3~5万円程度になります」
丸「誰でもすぐに働くことはできますか?」
山口氏「会社側の車を運転する随伴者であれば、すぐに働くことができます。でもお客の車を運転するとなると、二種免許が必要になってくるんですよね。これは任意保険の未加入であったり事故率の高さがあったりして、法務省から『自動車運転代行業の業務の適正に関する法律』というものができたからなんです。さらに暴力団の資金源になっていたという事情もあり、自動車運転代行業の開業許可は厳しくなっています」
丸「暴力団の資金源ですか!」
山口氏「シノギの場を失ってしまった暴力団が、フロント企業を隠れ蓑にして、様々な飲食店からみかじめ料的に運転代行の依頼を募っていたそうです」
丸「ほっほう~」
丸「クリーンなイメージは正直ありませんでしたが、暴力団まで参入しているとは……。運転代行の不正行為でお金を稼く手口とかはありませんか?」
山口氏「多い不正行為は、“客に脅されて4,000円のところを3,000円にした”と日報に上げ、実は差額をポケットに入れるという手口ですね。最近ではドライブレコーダーが装備されているのであまりできなくなりましたが、それでこそ“呼び出された場所に客はおらずに代行はしなかった”と報告し実は運転代行をしていたというもの多いですね」
丸「そんな手口あるんですね」
山口氏「運転者と随伴車の運転者がグルになって、その日の売り上げを誤魔化して差額を山分けしていたという例もあります。これらの手口に関しては、やはりタクシーとは違い、メーターが取り付けられておらず、あくまでも自己申告になってしまうからです。この手口だけで、正業の給料を上回る金額を手にしたドライバーを知っていますね」
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いかがでしたか?
あまり知られていない運転代行業者の裏側と仕組み。会社側の車に乗るのであれば、普通自動車免許以外の特別な資格はいらないというこの仕事。
副業を探しているというあなた、空き時間を利用して、お小遣い程度稼いでみては?
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)