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どうもどうも、ライターの丸野裕行です。
大好評(?)の誰も知らない病の数々! 今回は、記憶もなく引き起ってしまう“肝性脳症”の恐ろしさについて記してみたいと思います。お酒を飲んだり暴食しがちなこのシーズンに頻発するらしいので注意が必要ですね。
無事な一年にするためにも、肝性脳症の怖さについて、確認していきましょう。
肝性脳症の原因はいろいろとありますが、全身の有害物質のひとつであるアンモニアと、体内にあるアミノ酸のバランス異常が原因とまでいわれています。
多くの原因は、アンモニアなどの物質が脳にたまることです。
これはお酒の飲み過ぎで、肝硬変が急に進行したり、劇症肝炎を起こしたときに現れる、意識障害などの精神神経症状をいいます。
当の本人からすると、発症時のことを振り返っても何も覚えてはおらず記憶がない状態。
肝臓の機能が著しく低下すると、体の毒素であるアンモニアが肝臓で解毒されずに、血中に流れ出して、血液のアンモニア濃度が急上昇します。その毒素が、脳にまで達してしまって、脳症を発症してしまうんですね。
アミノ酸というものも私たちの体にとって、必要不可欠なもの。皮膚や血管、内臓、筋肉などを作るたんぱく質を構成する物質のことです。
密接な関係にあるアミノ酸と肝臓も、肝臓の機能低下で、血中のアミノ酸バランスが崩れます。こちらも崩れたアミノ酸バランスが、脳に悪影響を及ぼして、肝性脳症を発症することがあるんです。
《症状》
・睡眠リズムの昼夜が逆転
……深夜に眠れずに、朝起きてから眠くなるようなバランス感覚になる
・状況を理解できない幸福感
……自分が現実世界にいないような感覚になって、幸せを感じてしまう
・どんどんと生活がだらしなくなってくる
……「誰に見られてもいい」と、羞恥心や自戒する感情がなくなってくる、だらしない生活になってくる
《症状》
・時間や自分がいる場所がわからなくなる
……記憶が吹き飛んで、自分が待ち合わせている場所や時間、相手などもわからなくなってくる
・物を取り違える
……自分はパンツだと思っているのだが、シャツを無理やり着ようとしたりする
・異常行動
……お金をゴミ箱に捨てたり、大切な物をすべて捨てるなどのおかしな行動をしてしまう
・常に眠りがちでうとうとする
……目がうつろで、気を抜くと眠ってしまう
《症状》
・興奮した状態で意識が混濁している
……反抗的態度や反社会的な態度だが、意識の混濁で自分自身がよくわかっていない
・ほとんど昏睡状態
……半分眠っているような状態で目が半開きになっているような昏睡
・外的刺激で反応はあるが、自分がどのような状態なのかわからない
……医師からの声掛けや点滴などの刺激に反応できるが、意識がもうろうとしている状態で眠っている
《症状》
・昏睡(意識消失)
……意識がまったくなくなる
・刺激には一応は反応する
……医師の声掛けなどには反応するが、眠ったままの状態になる
《症状》
・深めの昏睡
……数日間眠ったまま意識がなくなるようになる
・刺激にも反応しない
……どんなに声掛けしようとも何の反応もなく、眠り続けたままの状態になる
昏睡度合いに沿って、即刻治療をスタートしないと手遅れになってしまうのが、肝性脳症という病です。
肝性脳症肝性脳症の治療には、進行具合により、いろいろな治療法があります。
・栄養療法
過剰摂取したたんぱく質は、肝性脳症発症のリスクが高いので、制限が求められます。さらに、便秘は肝性脳症を引き起こしやすくなるので、下剤などの投与も開始します。
・合成二糖類製剤などの薬品
腸内で発生するアンモニアの吸収を抑えなければいけないので、血中のアンモニアを低下させる薬になります。さらに、アミノ酸のバランスを整えるために、特殊組成アミノ酸製剤なども使用します。さらに、アンモニア発生の原因を除去する難吸収性抗菌薬も有効です。
肝性脳症の早期発見には、患者の訴えと一緒に住む家族の「あれ、なんかこの人おかしいな……」という情報が重要になります。
肝性脳症の症状が一切なく、一見正常に見える人でも、検査を行ったときに肝性脳症が見つかることがあります。
なんか、最近おかしいな……と思ったあなた、直ちに専門医への受診をオススメします。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)