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今回はじゃけおさんのブログ『あたりめブログ』からご寄稿いただきました。
私は1987年生まれの現在31歳ですが、第一子が生まれたをのを機に、男性ながら育児休業を取得しました。
男性ながらという枕詞をいれるのもはばかられますが、まずはこちらをご覧ください。
出典:「平成 27 年度雇用均等基本調査」の結果概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-27-07.pdf
女性の育休取得率: 81.5%
男性の育休取得率: 2.65%
ニーテンロクゴーパーです。これでも観測史上最高値です。やったね!
女性の30分の1以下。これが日本。マジ感謝。
ついでに取得日数も見てみましょう。
出典:「平成 27 年度雇用均等基本調査」の結果概要をもとに作成
「平成 27 年度雇用均等基本調査」『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-27-07.pdf
5日未満て!有給休暇かよ!
う~んできれば最低1ヶ月は取りたいところです。
2019年6月に、前年度の育休取得率が公表されました。男性は6.16% に上昇。めざましい進歩ですね!6%ですけど。
「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」を公表します『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html
男性にも育児休業をどんどんとってもらいたいので、男性が育児休業を取得するメリットをお話します。
育休は、うまいです。
男性が育児休業を取得するか考えるとき、大きな論点は以下の3つと思われます。
1.収入減
2.職場の理解
3.家族内の立ち位置
これらについて、順に解説していきます!
※賃金や法制度についての言及があります。実際のケースは各個人によって変わりますので、詳細はご自身で調査していただければと思います。
※基本的に企業で働くサラリーマンを対象としています。
やはり一番のネックは収入です。
「育休は収入減とトレードオフ」と思われがちですが、意外とそうでもありません。お上はそのへん意外と考えてくれてます。
大前提として育児休業に関する制度は法律で定められており、各企業の就業規則は(原則)関係ありません。
また、制度について男女差はありません。
育休中は給付金が出る
育児休業中に出る育児休業給付金は、最初の180日間は休業開始前の賃金の67%、以降から1年間までは50%給付されます。
(休業開始前とは具体的には休業開始前の6ヶ月間の平均賃金です。また受取には手続きが必要です)
ここまできくと、「子どもができて物入りなのに給料3分の2か。。」と思い悩むかもしれません。
しかしご安心ください!
・あくまで「総支給額」から3分の2
・しかも所得税・社会保険料免除!!
というのがポイントです。
ためしに計算してみましょう。
厚生労働省「人口動態調査」(2016年)によると 父親の第一子誕生時の平均年齢*1 は【32.8歳】で、
DODAさんの調査*2 によると32歳男性の平均年収は【475万円】だそうです。
*1:「人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 出生」『e-Stat 政府統計の総合窓口』
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450011&tstat=000001028897
*2:「平均年収ランキング 最新版(年齢別の平均年収)」『転職・求人doda(デューダ)』
https://doda.jp/guide/heikin/age/
賞与が年2回、1ヶ月分くらいあるとして
475万 ÷ 14 = 約34万円。
この内訳はざっくりこんな感じといわれています。
この計算方法については本題ではないので割愛します。ご自身で調べてみてください。
参考:「給料の手取り計算方法 –支給される項目と控除される項目」『For your LIFE』
https://fumakilla.jp/foryourlife/94/
健康保険 ¥17,000 (5%くらい)
厚生年金 ¥30,600 (9%くらい)
雇用保険 ¥1,020 (0.3%くらい)
所得税 ¥6,800 (2%くらい)
住民税 ¥13,600 (4%くらい)
手取り ¥270,980 (80%くらい)
「あーうちもそんなかんじ」という方多いのでは?
そして給付金は総支給額の67%ですから、給付額は¥227,800です。
なお、住民税は免除対象外なので、別途支払う必要があります。
いかがですか、毎月約23万円。(※保証しないよ!)
たとえば毎月それなりに残業してる方(かつ残業代も支給されている)だと、「ちょっと残業が少なかった月」くらいはもらえることもあると思います。
自分が計算したときも「まーこういう月もあるよね」くらいの金額になりました。
ちなみに、残念ながら賞与で受け取る金額は給付金の計算には含まれません。ただ、「育児休業中に賞与を受け取った場合は、その賞与からも社会保険料と所得税は免除」されます。
これ結構アツイです!
自分がまさにそうだったのですが、自分の会社は前年10月~3月の成績に応じて夏に賞与が出ます。
10月~3月はまるまる働いていたので、いつもの総支給額から社会保険料と所得税控除がなくなり、 いままでみたことない金額が口座に振り込まれていました!!
(もちろん次の賞与は期待できないですが汗)
まとめ
お金はわりと出る。
とはいえ、職場の理解がほしいですよね。
男性の育休取得への風当たりの強さは、冒頭のデータが如実に示しています。
ここでは取得の相談をする際、言われそうな内容をもとに、スムーズに取得できるような心がけについてお話できればと思います。
「前例がない。取得は難しい」
そもそもですが、男性の育休取得について、企業側は拒否権がありません。
これは法律で定められています。
(「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第6条)
雇用されてから1年未満の人など、拒否できる例外もありますが、とりあえず「フルタイムで1年以上同じ会社で勤務した人」であれば、正社員でも派遣社員でも原則拒否できません。
のっけから上司に「拒否権ないんでヨロシク」とはいわなくてもよいですが、こじれたときの懐刀として持っておいてください。
前例がないことについては、あなたも面倒な思いをすることがあるかもしれませんが、そこは目をつむってください。
他の男性社員に希望を与えるかもしれませんし、企業の採用活動にもプラスに働く可能性があります。
「会社に迷惑(≒コスト)がかかる」
会社側の口実としてよくこのような言い分がありますが、本当にそうでしょうか?
そもそも育児休業給付金とは、どこから支払われるのか?
答えは「雇用保険」です。
保険者は日本政府なので、超簡単に言うと、給付金は「企業ではなく国が払ってくれる」のです。
さらに、企業側も社会保険料免除となります。
あまり知られていませんが、社会保険料は賃金の約30%、これを会社と本人で折半で負担しています。本人はもちろん、会社もこの負担が期間中免除になります。
つまり企業は(固定費以外)コストを掛けることなく対象者を送り出すことができます。「有給休暇を最大限つなげてバカンスに行く」とはワケが違います。(それも別にいいんだけどね!)
「他の社員へしわ寄せが来る」
当然、お金以外にもこの問題があります。
しかしこれも、4,5人の会社ならいざしらず、数十人以上の規模の会社で言われる筋合いはないでしょう。
しかも、「退職」の場合は一般的に報告から1ヶ月程度ですべてを終わらせる必要がありますが、育児休業は早めに行動すれば3,4ヶ月前から話し合って準備することができます。
「時間はある」ことをアピールしましょう。そのためにも準備はお早めに!
キャリアプランに影響が出るという不安
さすがに上司から直接「貴様のキャリアプランに傷がつくぞ」とは言われないと思いますが、ネガティブな要素としてこの不安は大きいと思います。
僕はいま取得中なので、戻ってきたあと、イスは同じ場所にあるのか、給与は適正に上がっていくのか、というのは正直わかりません。
ここで「期間は自由に決めよう」と考えるのが不安を減らすポイントです。肌感覚で1年は取りすぎかな、と思ったら、半年でも、3ヶ月でも良いと思います。そこは上司の方と相談を重ねてください。
僕はヒヨって3ヶ月にしたのですが、家で好きなことをしながら子どもと奥さんと過ごして20万以上もらえるなら半年でもとっておけばよかったと後悔しています。。。
「権利だけ主張するやつ」と思われないためには、取得前の期間が大事
会社で円満に取得してかつキャリアを止めないためには、ひとえに取得前の期間で仕事をがんばることだとおもいます。
「権利だけ主張するやつ」と思われないように、「エース級に働くひと」を目標にがんばりましょう。
あくまで気持ちの話です。そうならなかったとしても、プロセスは目にとまっているはずです。
(取得前=奥さん妊娠中なので、無理はしないでね)
それでだめなら、ご縁がなかったのです。とっとと辞めましょう。
あ、転職直後は取得が難しいので、無理やりとって休業中に転活して辞めましょう。
その会社にいつづけると、子どもが病気で熱をだしたり入学式だったりで休むにもやいのやいの言われかねません。
そんなストレスフルな会社は早めに切っておいたほうがいいです、いやまじで。
まとめ
・企業にとって迷惑な制度ではない
・準備期間を長めに取ることで円満に取得できる
最後は家族にもたらす影響です。
これはもういいことしかありません。いいことしかないから取得するわけですが。
心構えとしては、
「これまでの仕事を【休業】するだけであって、育児業に【転職】する」
という気持ちで臨んでください。
決して「休暇」ではありません。奥さまはきっとそういう思いなはずです。
「15年後の夫への愛情」のために投資する
男親としては、子どものため、奥さんのため、というより、自分が子どもと奥さんに好かれ続けるため、と考えたほうがモチベーションが維持できるかもしれません。
こんなデータがあります。
出典:「パパの育児と愛情曲線!?|東京ウィメンズプラザ|みらい手帳」『東京ウィメンズプラザ』
http://www1.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/Portals/0/jigyou/wlb/curve.html
夫に対する女性の愛情は、子どもの出産直後の関わり方で左右されるというものです。
せっかく結婚して子どもを育てるという選択をしたわけですから、好かれる努力をして損はないでしょう。
夫への愛情がないということは、家庭内のイニシアチブを奪われる可能性も高くなります。
重要な買い物の決定権も奥さん、教育方針の決定権も奥さん、資産管理の決定権も奥さん……
嫌な言い方かもしれませんが、家庭内で<納得性の高い形で>夫側が主導権を握るには、収入増ではなく育児参加がもっとも手っ取り早い方法であると、僕は考えています。
(夫が優位に立つべきということではなく、対等でいられるように、という意味です)
いかがでしたか?
押さえるところを押さえれば、育休はメリットだらけのハッピー制度です!
・半年間は給与の67%だが、手取りからみると8割程度は確保できる
・企業にとっては無給なので迷惑ではない(そもそも取得拒否は違法)
・一般的な転職より準備期間があるので迷惑ではない
・家族がハッピーでさらに15年後も奥さんから愛される
これを読んで一人でも多くの方の背中を押せればと思います……。
男性の育児に関する記事は今後も書いていくつもりです!
ではでは。
執筆: この記事はじゃけおさんのブログ『あたりめブログ』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年10月11日時点のものです。