『オカルト』『ノロイ』『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズなどでカルト的人気を誇り、2016年『貞子VS伽椰子』の大ヒットでその人気をさらに押し広げた白石晃士監督が、人気コミックを実写映画化した『不能犯』が現在公開中です。


『不能犯』は、電話ボックスに貼られた殺人依頼をもとに、絶対に立証不可能な方法でターゲットを殺す謎の男・宇相吹(うそぶき)をめぐる物語。宇相吹は、自身の特殊なマインド・コントロールの能力によって相手に強い“思い込み”を抱かせることで、肉体反応により死に至らしめたり、自殺や殺人などの行動を起こさせます。そういった立証が不可能な犯罪を“不能犯”と呼ぶそうです。


映画に登場するマインド・コントロールは映画的な演出がなされたものではありますが、マインド・コントロールを使った犯罪は現実にも起こっています。そこで今回は、近年に起こった“マインド・コントロールが関与する事件まとめ”をご紹介します。


1.福島悪魔祓い事件(1995)


自称・祈祷師の江藤幸子が、除霊行為と称し、信者7人に激しい暴行を加え、殺害と重傷を負わせた事件。事件発覚後、江藤宅から6体の白骨化した遺体が発見されたが、遺体を放置していたことについては「魂は死んでいないので、そのまま寝かせていた」と供述。信者らは、遺体の悪臭が消えたら蘇生すると信じて疑わなかったという。


2.福岡4人組保険金連続殺人事件(2002)


かつて同じ看護学校で看護師を目指していた、主犯である吉田純子含む4人組が起こした殺人事件。吉田はグループ内で既婚であった二人の夫婦仲を、嘘で塗り固めた言葉で引き裂き、彼女たちにそれぞれの夫を殺害させ、そこで得た保険金をほぼ全て自分のものとしていた。吉田は反社会性人格障害(サイコパス)に侵されていたともいわれている。


3.青森首輪監禁事件(2012)


青森市で女性が犬用首輪をつけられて監禁され、殺された衝撃的事件。“神と話せる特殊能力”を持つと自称する斎藤真紀の指示のもと、斎藤がつくったカルト教団の信者である男二人が女性に暴力を振るい、やがて金銭も要求。斎藤は、テレビゲームを一定の条件でクリアしたり、パチンコで大当たりを出すことで、「悪霊を倒すことができる」などと信じ込ませていたといい、逮捕後、男2人は斎藤の指示に逆らえなかったと供述している。


4.尼崎事件(2012)


兵庫県尼崎市で起こった連続殺人死体遺棄事件。主犯である角田美代子が、マインドコントロールで複数家族を乗っ取り、命や財産を奪った残忍な事件。その手口は、優しい言葉で人の懐に入り、その後その人間の弱みに漬け込み恐喝。監禁した上で虐待し、精神的に追い込むことで、自分の支配下に置くというものであった。


5.北九州監禁連続殺人事件(2002)


”史上最悪のマインドコントロール殺人”といわれ、その非常な残虐性・悪質性から報道規制がかけられたともされる、北九州で起こった監禁・殺人事件。主犯である松永太は、弱みにつけこんで監禁をして金を巻き上げ、拷問と虐待によってマインドコントロール下に置き、さらには自分の手は汚さずに家族同士を殺害させ合い、用済みとなった人間を殺害して死体処理を行わせた。


いかがでしょうか。まるでスリラー映画のような事件が実際に起こっているという事実にゾッとさせられます。ここで紹介した事件で恐ろしいのはマインド・コントロールを行った主犯格の人物たちですが、映画『不能犯』は、観る者にもうひとつの“恐ろしさ”を突きつけます。


それは、“決して捕まらない殺人代行”によって人殺しのハードルが押し下げられ、安易に殺人依頼をしてしまう人々の姿。宇相吹は依頼を受けて殺人を行いますが、依頼人の“殺意”は宇相吹のマインド・コントロールによって生じたものではありません。人間が生活していく上で、先入観や思い込みは少なからず生まれるものですが、いつしかそれが歪な形に変化し、自らを洗脳状態にしているかもしれません。依頼人たちの殺意は、先入観や思い込みを取り払い、真実と向き合った上でも揺るがない殺意なのか。宇相吹は“思い込み”の力を使って殺人という重い罪を代行するかわりに、依頼人にも自身の“思い込み”と向き合わせるのです。それも、残酷な方法で。


あなたは“思い込み”に惑わされてはいませんか? 思い込みの恐ろしさを突きつける宇相吹の存在は、果たして天使か悪魔か――。そして唯一、宇相吹のマインド・コントロールが効かない女刑事・多田。彼女のどこまでもまっすぐな信念は、この人間の脆さを象徴するような連続殺人を止めることができるのか。是非劇場でお確かめください。白石監督のファンには嬉しい“あの人”もちょっぴり出演していますよ! どうぞお見逃しなく。



『不能犯』

出演:松坂桃李 沢尻エリカ

新田真剣佑 間宮祥太朗 テット・ワダ 菅谷哲也 岡崎紗絵 真野恵里菜 忍成修吾

水上剣星 水上京香 今野浩喜 堀田茜 芦名星 矢田亜希子 安田顕 小林稔侍

原作:『不能犯』(集英社「グランドジャンプ」連載 原作:宮月新/画:神崎裕也) 監督:白石晃士 脚本:山岡潤平、白石晃士  配給:ショウゲート

(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会  

◆公式サイト:funohan.jp


<dTVオリジナルドラマ「不能犯」配信概要>

■タイトル:dTVオリジナルドラマ「不能犯」  

■配信日:12月22日(金) ※毎週金曜日更新

■出演:松坂桃李 沢尻エリカ

      松澤匠 タイチ(新日本プロレス) 松本享恭 / 水上剣星

(第1話)  永尾まりや 鈴之助 森岡豊

(第2話)  永井大 MEGUMI 井澤勇貴 鴇田蒼太郎

(第3・4話)平岡祐太 萩原みのり 伊藤優衣 梨本謙次郎 伊藤ゆみ 増田修一朗 菅原健 / 佐藤仁美

■主題歌:GLIM SPANKY「愚か者たち」 (UNIVERSAL MUSIC)

■原作:「不能犯」(集英社「グランドジャンプ」連載 原作:宮月新/画:神崎裕也)

■脚本:山岡潤平(映画「不能犯」「ピーチガール」)

■監修:白石晃士(映画「不能犯」)

■監督:内藤瑛亮(「ライチ☆光クラブ)

■エグゼクティブプロデューサー:上田徳浩(エイベックス通信放送)堀切八郎(関西テレビ)

■企画・プロデューサー:中畠義之(関西テレビ)森川真行(ファインエンターテイメント)

■プロデューサー:内部健太郎(エイベックス通信放送)松村尚(関西テレビ)清家優輝(ファインエンターテイメント)

■製作著作:(C)宮月新・神崎裕也/集英社  2018「不能犯」製作委員会 (C)2017 dTV

■特集サイトURL:http://video.dmkt-sp.jp/ft/s0005109




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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 思い込みが死を招く? “マインド・コントロール”が関与した『不能犯』的凶悪事件まとめ[ホラー通信]