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12月24日(日)21時から、テレビ朝日にて放送されるドラマスペシャル『鬼畜』。松本清張が1954年に発表した同名小説を、玉木宏さん主演、常盤貴子さん、木村多江さん共演という豪華キャストで映像化したサスペンスです。
『鬼畜』ストーリー
物語の主人公は、小さな印刷会社を営む竹中宗吉。妻・梅子と共に真面目に働いてきましたが、経営が軌道に乗ると宗吉は、愛人・菊代を囲うようになり、3人の子どもまで生ませていました。しかし、事業につまずいて仕送りが滞ると、菊代は宗吉の家に子どもたちを連れていき、自らは失踪。それをきっかけに、宗吉の運命は崩れていきます…。
いったいなぜ、善良で心やさしい人間だった宗吉の心に、“鬼畜”が生まれたのでしょうか…!?
本作では、現実に追い詰められて哀れにも身を落としていく男と、ただひたすらに父を思い、信じ続ける息子の姿を丁寧に描写。“人間の業”をまざまざと見せつけながらも、その根底に確かに存在する、せつなくも深い親子愛を浮かび上がらせていきます。転落の果てに、宗吉が見出したものとは…!?
■鬼畜 PR動画
https://youtu.be/J9wO82UJFpk [リンク]
ストーリーを読み、予告動画をご覧いただいただけで分かると思いますが、結構、いや、相当胸糞悪いお話なんです。これをクリスマス・イヴにやっちゃうゥー?!
主人公の男、ノってる時に愛人作る→子供3人産まれる→男、ジリ貧になってきて愛人に仕送り出来ない→愛人が自宅にやってきて子供置いていく→本妻ヒステリー→子供いじめられる→そして最後には……?
という感じで、とにかく大人たちが勝手で子供たちが可哀想。筆者は24日に放送される『鬼畜(2017)』はまだ観ていないので感想は言えませんが、筆者が観た1978年の映画『鬼畜』は相当ショッキングで怖く悲しい話でした。あの『呪怨』で知られる映画監督・清水崇さんも「一番怖い作品」として挙げてるくらいの傑作です(※)。
『鬼畜(1978)』の主演は緒形拳さん、妻役に岩下志麻さん、愛人役に小川真由美さんとこちらも豪華です。松本清張の原作であることは変わらないので、物語の大筋は一緒ですが、「これ現代で放送できるのかな?」と不安に思ってしまうほどの子供たちへの仕打ちの数々。
『鬼畜(2017)』も時代設定は1970年代のままですが、子供たちの服装はちゃんと綺麗に見えます。『鬼畜(1978)』の子供たちはヨレヨレのタンクトップ着たりとか、赤ちゃんは裸んぼだったりしてそれがまた辛いのよ……。
また『鬼畜(2017)』が、大人達が酷く自己中心的で酷いお話であることを、全面に押し出していることに比べ、『鬼畜(1978)』のDVDパッケージ裏には「抱きしめてやりたい衝動! 現代社会に追う父と子の愛の絆! 」と書かれていたりして、親子愛が感じられるヒューマンドラマな一面があるよと説明されているわけです。さらに「弟はきっと星になったんだ 妹はきっと金持に拾われたんだ! 父ちゃんはきっとぼくを殺せないよ! 」なんて書かれていたりしてて、子供の不憫さ無限大。この健気さが大人たちの“鬼畜さ”をより強く際立たせているということなのです。本編も全体的にコミカルな音を使ったりしていて、それがまた怖い。昭和の演出すげえ。
さて、『鬼畜(2017)』に話を戻しますと、「なぜ善良で心やさしい人間だった宗吉の心に、“鬼畜”が生まれたのか」というのが物語の肝なんですが、鬼畜なのは宗吉だけなんでしょうか? いくら仕送りがストップしたからって実の子供を置いていく愛人の菊代が一番の鬼畜なのでは? いや、愛人憎し、愛人の子供憎しで酷い仕打ちをする本妻の梅子こそが鬼畜? でもその梅子を鬼畜にしたのは宗吉であり菊代の存在で……と、人によって誰が最も鬼畜なのかが分かれるのも、面白いポイントであると思います。
『鬼畜(2017)』は玉木宏さんの顔が美しすぎて、いまいちジリ貧の印刷工場のおっさんに見えなかったり、追い詰められた顔がセクシーすぎる所が、緒形拳さんの情けなすぎる宗吉に比べるとやや不安だったりするのですが、これはこれで楽しみです。また、常盤貴子さんの怒り狂う美しさの演技も楽しみ。岩下志麻さんの迫力が凄まじい役柄だったので。
テレビドラマ『鬼畜』は2018年12月24日21時より放送。1978年の映画『鬼畜』もAmazonプライム他で鑑賞出来ますので、この週末おヒマな方は鬼畜な世界を堪能しようではありませんか。
※清水崇監督が『鬼畜』についてコメントしている「ホラー通信」のインタビュー
http://horror2.jp/18981 [リンク]
ドラマスペシャル 松本清張「鬼畜」|テレビ朝日
http://www.tv-asahi.co.jp/kichiku/
※画像は公式サイトより引用。