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こんにちは、マガジンハウスです。雑誌『anan』で連載されている山内マリコさんのエッセイ「とりあえず結婚しました日記」が、週に一度の(少ない)楽しみとなっております。よそ様の日常なのに、先が楽しみって不思議ですよね…。2013年からスタートしたこの連載が、ついに1冊の単行本になりました。今日は、著者の山内マリコさんをお招きして、エッセイには書かれていない、ご夫婦のあれやこれやを聞いてみたいと思います!
―――山内さん、いつも連載、楽しく読んでいます。このエッセイは、山内さんと‟彼氏”さんの同棲生活から始まっているから、当初は「そのうち結婚するつもり日記」というタイトルでしたよね。なんでまた、同棲生活という微妙なネタを題材にしたんでしょうか?
山内 「エッセイというと身辺雑記が多いと思うんですが、普通にただ身辺雑記を書いていたら、いずれネタに困るだろうと思ったんです。その点、彼氏とのことに絞るなら、ネタが尽きないだろうと」
―――確かに、次々と話題を提供してくれる彼氏さんでしたね。
山内 「あとは裏事情として、同じ時期に『週刊文春』さんでもエッセイを連載することになってて、そっちはテーマが買い物だったので、モノじゃなく人でいこうと」
―――それで、同棲~結婚をテーマにされたと。といいつつ、私を含むanan読者は既にこのカップルが結婚することを知っているわけで。だから安心して読んでいられました(笑)。
山内 「おかげさまで(笑)。といっても、結婚したのは2014年の11月20日なので、もう2年以上経ってるんですよね」
―――11月20日というのは…
山内 「私の誕生日です!」
―――この本、表紙に「男と女のラブ&バトル」という物騒な言葉がある通り、常にバトってる同棲&結婚生活という印象ですよね。今もそれは変わらず?
山内 「はい。最近も、障子貼りの件で喧嘩しましたね」
―――それは、どっちが貼り替え作業をするかとかそういう?
山内 「もっと前段階の話なんです。今のマンションに引っ越してきたときに、前に住んでた方が使ってたままの障子があったので、貼り替えようって話してて。やるやるって言ってたのに、なかなか腰を上げなくて」
―――どれぐらい放置してたんですか。
山内 「実に1年8か月も! 定期的に言ってたのに、のらりくらりとかわされて、ずっと私はイライラしてて。ついに先日、もう我慢できないと貼り替えたんです」
―――長かったですね…。
山内 「2人で苦労して貼り替えたのに、終わったら夫は『業者に頼んだら2500円でできるって』なんて言ってきて!」
―――それはちょっと…腹立つかも(笑)。
山内 「1年8か月間分のイライラも乗っかって、結構怒りましたね」
―――本書を読んでも、割とその図式が多いですよね。彼氏さんは、悪気はないんだけど山内さんを怒らせてしまうという(笑)。でも、基本的にはすごく仲良しで相性良さそうなカップルなんだと思いました。いま、彼に対して最も不満に思ってることって何ですか?
山内 「これまた家のことなんですけど、夫の部屋、色んな物が放置されたままで、全然片付いてないんですよ。引っ越し以来、1年8か月」
―――また1年8か月(笑)。でも、それが一番の不満って、結局いい夫じゃないですか。
山内 「そう…かもしれないですね。その部屋も、散らかってるのをいいことに、オフシーズンの季節家電とか勝手に置いて便利に使っちゃってるし(笑)」
美人作家の誉れ高い山内さんですが、‟彼氏”さんとのバトルで繰り出される暴言の数々は、お顔に似つかわしくないものばかり。でも気持ちのよいワイルドさ!
―――このエッセイ、そういう二人のささいな小競り合いがやたら面白くって…。話が前後しますが、「大学の同級生と再会し、交際をスタートさせた」って、‟出会い”の部分がすごくさらっと書かれているんですけど、そこもっと詳しく知りたいので(笑)、なれそめを教えてください。
山内 「ええと、これまた時代が感じられるんですが、mixiです」
―――おお…時代ですね。
山内 「これは本にも書きましたが、当時の私は、上京して周囲に男性のいない生活を続ける中で、彼氏というものに非常に飢えてまして。名古屋在住の親友とのスカイプで『彼氏がほしい』『それが無理ならせめて男と食事したい』と繰り返す毎日でした」
―――そういう正直なところが山内さんって本当に魅力的だと思います(笑)。
山内 「で、mixiを見てたら、大学の同級生だった男の子が、その当時私が住んでいたアパートから2駅となりの町に住んでいることがわかりまして。これは!と思い、ご飯食べに行こうってメッセージを送ったんですよ」
―――学生時代は、仲良かったんですか?
山内 「いや、そうでもないんです(笑)。あいさつする程度。で、メッセージを送ったものの、最初ずっと返事がないんですよ! 相手はそれを読んでいるはずなのに! ‟足跡”ついているから、こっちはわかってるんですよ!」
―――今でいう既読スルーですね。でも、学生時代さほど親しくなかった異性から、数年ぶりにいきなり食事に誘われたら、躊躇しますよ。
山内 「そうなんです。後で聞いてみたら、何かに勧誘されるんじゃないかと怖かったみたいで(笑)。まあそうじゃないことがわかってもらえて、会うようになって、付き合いだしたと」
―――そして2年ほど付き合ったころに震災があって、それをきっかけに同棲スタート…と、これ以降のことは本書で読んでいただくとして。2年の交際期間と、その後の同棲生活で、やっぱり付き合い方は変わりましたか?
山内 「変わりましたね。特にケンカに対するスタンスが。付き合ってるだけだと、1度のケンカが原因で別れることもありますが、一緒に住んでいると、そう簡単には別れられない。なので、ケンカしてもちゃんと仲直りするところまで持っていくのが定型になりました。その積み重ねの上に今がありますね」
―――確かに。別れることで決着つけるんじゃなく、歩み寄って解決するようになりますね。最後になりますが、山内さんは同棲の後、無事に(笑)結婚されましたが、どうでしょうか、結婚前に一緒に住むことって、おすすめですか?
山内 「はい! それも、結婚を前提にしたほうがいい」
―――前提…。
山内 「結婚を前提にすると、さっきのケンカの話と同じで、何か問題が出てきても前向きにどうにかしようと思える。結婚を目標とかゴールと考える人は多いけど、二人の関係はそこで終わりではないですよね」
―――そっからが本番ですもんね。
山内 「だから、結婚前提の‟プレ結婚期間”としての同棲、私はしてよかったと思います」
―――ananの連載はまだ続いているので、本書の続編も今から楽しみです。山内さん、今日はありがとうございました!
皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等!
山内マリコ 著
ページ数:208頁
ISBN:9784838729098
定価:1,296円 (税込)
発売:2017.02.27
ジャンル:エッセイ