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キングコングの起源を描くレジェンダリー・ピクチャーズ制作の映画『キングコング:髑髏島の巨神』(3月25日公開)。新たに描かれる体長100フィート(約30メートル)超えのキングコングは、2020年にゴジラとの対決を控えたことでも話題を集めている。
この度、本作を手掛けたジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督が、新時代における『キングコング』の在り方、そして日本との関係性を語った。
ロバーツ監督:日本は僕が一番好きな場所だよ。
――日本にいらしたのはいつですか? また、何の目的で?
ロバーツ監督:3年くらい前かな。ひとつ前の映画(『The Kings of Summer(原題)』)を終わらせた後だ。僕はアニメを見て育った。日本はアニメのメッカだから前から行ってみたくて、映画を終わらせた後に日本行きの航空券を買ったんだ。東京、大阪、京都、奈良に行ったよ。とても楽しかった。
日本の映画業界は、今、興味深いことになっているよね。新しいゴジラ(『シン・ゴジラ』)が大儲けしているのに、ハリウッドの映画は成績がイマイチなんだよね? 僕は、日本のビデオゲームクリエーターに何人か友達がいる。彼らによく日本の映画界の状況を聞くんだ。日本の映画市場は、ものすごく変化したよね。
――この映画の続編では、キングコングとゴジラが闘うことになりますよね。コングのルックス、大きさなどを決める上では、それも意識したのでしょうか?
ロバーツ監督:そのことが頭のどこかにあったのは確かだよ。でも、人によく「今回のコングが大きいのは、ゴジラと闘うことになるからでしょ?」と言われるけど、それは違う。コングを大きくしたのは、彼を神のような存在にしたかったからだ。シリーズ全体として、コングはまだ若くて成長過程にあるか、それとも大人なのか、というようなことは考慮された。でも僕が考えたのは、この映画を最高にすることだけだ。
ギャレス(・エドワーズ)も、ゴジラに対して同じようにアプローチしたと思うよ。彼は、東宝のオリジナルにオマージュを捧げ、自分なりの最高のゴジラを作ろうとしたんだ。僕も同じで、ウィリス・オブライエンにオマージュを捧げつつも、モダンなものにしようとした。そういう意味でも、日本でどう評価されるのか気になっているよ。ピーター・ジャクソンのバージョンは、日本であまり受けなかったんだよね? この映画には、日本の影響がたくさんあると僕は思っている。アニメとか、ビデオゲームとか。日本の観客が、これをどう受け止めるか、とても興味があるよ。
――ピーター・ジャクソンが『キングコング』(2005年)を手掛けてから10年以上が経過しています。テクノロジーも大きく進化していますよね。
ロバーツ監督:今や人々は、毎日のようにすごいスペシャルエフェクトを目にしている。映画だけじゃなくて、テレビでもね。80年代や90年代、スペシャルエフェクトは特別だった。作るのも難しかった。でも今では、CGのクリーチャーがテレビ画面にも登場するんだ。つまり、問題はどうやってCGをまた特別なものにするのかということ。そういうものは、もうあちこちにあって、全然新鮮じゃないんだよ。もはや、うるさいとまで感じる。映画のトレーラーを見た時、2回に1回くらいは、「もうこれがどんな映画なのかわかった」と思わない? だから、その予測を裏切り、テクノロジーを使いつつ、新しいキャラクターに人が共感できる新しいことをさせる方法を見つけることが大事だ。スペシャルエフェクトをやたら使うだけだったら、もう誰も見たくないんだよ。
――テクノロジーの面以外でも、今作はこれまでのコングと異なるアプローチなのでしょうか?
ロバーツ監督:僕らのコングは、1933年のコングにオマージュを捧げるものだ。あのコングは、いかにも映画に出てくるモンスターだ。野獣で、破壊者で、古典的モンスター。オリジナルの映画で、彼は、人間を食べる生き物だった。凶暴な神のような要素があった。立っている人間の前に、ものすごく大きな存在がそびえ立っている。そんなイメージを思い描いていたんだ。過去のコングで何度か描かれてきた『美女と野獣』的な部分は、あまり出していない。このコングは動物的であり、同時に、神を思わせる気高さがある。彼の動きに関しても、そこは意識したよ。彼は猿みたいには歩かない。神のように動くんだ。
――映画には、コング以外にもモンスターも登場しますか?
ロバーツ監督:ああ、出てくるよ。この映画のコングはニューヨークには行かない。彼は、この島のエコシステムの中にいる。宮崎駿の映画っぽいんだ。僕は、これらのクリーチャーに聖なる雰囲気を与えたかった。コングがこの島の神であるのだから、ほかのクリーチャーも、ただの恐竜や、醜いものにはしたくなかった。彼らには、気高さと美しさがなければならない。ここに出てくる数多くのクリーチャーたちは、それぞれに、島の要素を象徴もしている。
――この映画には宮崎駿作品の要素もあるということですね。
ロバーツ監督:そうだ。『もののけ姫』の要素がたっぷりある。クリーチャーに宮崎駿の要素を反映させるとか、昔のコングにオマージュを捧げるとか、村や島をどうデザインするかなどは、とても重要だった。新鮮さを出すためにね。観客は、新鮮なものを見せてもらう権利がある。観客に、「見たことがない」と思うものを提供するために、僕はたっぷり時間をかけた。あるいは、見たことがあると思うものだとしても、予測したのとは全然違うものになるように。
――最後に、今後『メタルギア・ソリッド』の映画化を手掛けられるとの話もありますが、どこまで進んでいますか?
ロバーツ監督:僕はビデオゲームが大好きだ。ビデオゲームは、今、映画よりももっと興味深い変化を遂げている。ビデオゲームの進化の仕方は、すごいんだよ。『メタルギア』のクリエーターの小島秀夫も新しいことに挑戦している。とてもエキサイティングだ。映画化に関していうと、まだ脚本を作っている段階だね。実現させるためには、揃えなければいけない要素がたくさんある。とても特別で、複雑な素材。トーンも独特だ。だから、正しく映画化しなければいけない。コングを見た人は、全体的なトーンに、『メタルギア』に通じるものを発見すると思うよ。いろんなトーンが混ざっていて、ジャンルというもののコンセプトに遊び心をもって挑んでいる。『メタルギア』は、そんな特別な素材なので、僕はほかの何よりも慎重な態度で扱いたいと思っている。小島がやったことは、とてもオリジナルだから、映画もそれを反映するものにならないといけないね。
取材:猿渡由紀
映画『キングコング:髑髏島の巨神』予告編(YouTube)
https://youtu.be/xkcVZ_3bdj8
映画『キングコング:髑髏島の巨神』公式サイト:
http://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/
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