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「習慣を変えれば人生が変わる」とはよく言われますが、新しい習慣を身につけるのは簡単なことではありません。
新しい習慣を身に付けようと試みたものの失敗した経験があるかと聞かれれば、ほとんど全員が手を挙げることでしょう。
しかしその失敗の原因について、真剣に考えたことがある人は少ないはずです。
なぜ私たちは、習慣化の重要性に気づきつつも、いつもうまくいかずに終わってしまうのでしょうか。
もしそれが私たち自身の問題ではなく、やり方の問題だったとしたら…? 誰もが知りたがる「習慣化」のノウハウについて、極めてシンプルな方法を教えてくれるのが本書です。
習慣本といえば世界的ベストセラーの『7つの習慣』が有名ですが、ハードカバーの超ボリュームに気圧されて、購入したものの読みきれていない人も多いのではないでしょうか。
本書は、表紙のシンプルで可愛いデザインに加え、読みやすい文章と適度なページ数のため、習慣を身につけたい人の入門書としておすすめの一冊です。
本書がユニークなのは、習慣とは「あまりに簡単なので、しないよりするほうがいいと思える行動」であると定義をしている点です。
そのため「ばかばかしいほど小さな」ステップを繰り返すことが、習慣を確立するために最適な方法だと説きます。
著者が、たった1回の腕立て伏せを本格的な筋力トレーニングにまで発展させたように、本当にちょっとした行動でも「毎日これだけはやる」と決めて必ず実行すれば、人生を変えるほどの習慣になるのです。
なぜ「小さな習慣」は有効だと言えるのでしょうか。
小さな習慣は、「小さすぎて失敗すらできない」ものなので、気軽に取り組むことができます。
大きすぎる目標に怖気づくこともなく、目標を達成できない自分への失望感や罪悪感に悩まされる心配もありません。
例えば毎日100回の腕立て伏せが目標なら、毎日1回の腕立て伏せから始めます。毎日1回であれば、どんなに意志の弱い人でも、気分が乗らないときでも、できないことはありません。つまり失敗することがないということです。
この他、毎日3,000文字の文章を書くことが目標なら、毎日50文字を書くとか、いつもポジティブに考えたいのなら、1日にふたつポジティブなことを考えるなど、それぞれの目標を小さなステップに分けて習慣化していくことがポイントです。
何が「小さな」ステップになるかは人によって異なります。腕立て伏せ1,000回がノルマの人にとっては、10回でも小さなステップに感じるかもしれません。
あなたが「ばかばかしいほど簡単」に聞こえるとすれば、それは間違いなく小さなステップです。
ここで注目したいのは、たとえどんなに小さな行動であっても、挑戦する目標を立ててそれを達成するということは気分がよいものだということです。
そのため常に目標を達成できることが励みとなり、さらに続けようと思うポジティブなサイクルが生まれます。
本書の冒頭では、「今すぐ自分の鼻を触ってみてください」と指示されます。その理由は後ほど説明すると言われるのですが、ほとんどの(素直な)人は、言われた通りとりあえず触ってみるでしょう。
なぜそんなことを指示したのかと言えば、鼻を触ったところで何かご褒美がもれるわけでもないのに、それでもあなたが実行したのは、鼻を触るくらいなら簡単にできると思ったから、ということを伝えるためです。
つまりあなたが自分の鼻を触ったのは、「そんなことはやりたくないと思う気持ち」よりも、「やろうとするわずかな意志」が勝ったからであり、これをうまく利用すれば、気分やモチベーションに左右されることなく、習慣化に必要な行動をこなすことができるようになるというわけです。
人間の意志力とはたかが知れているので、脳内の抵抗と戦うためのプランがないと、最初はやる気がみなぎっていたとしても早い段階で諦めてしまします。
だからこそモチベーションは完全に無視して、わずかな意志の力だけで続けられる方法こそ、習慣化するために適しているのです。
「小さな習慣」とは、「やりたくないと抵抗する気持ち」よりも、「やろうとするわずかな意志」が勝るくらいの行動によって、無理なく習慣を確立する方法なのです。
著者は、たった一回の腕立て伏せをしたことがきっかけで、本格的な筋トレを習慣化することに成功し、その後、毎日読み書きする習慣も身についたと言います。
「たった1回の腕立て伏せなんて何の意味もない。続けたって筋力がつくはずない」と思う方もいるでしょう。
しかし重要なのは、小さな課題をこなした後には、ほとんどいつも「おまけ」でもっと多くをこなすことができるという事実です。
これは、私たちがすでにポジティブな行動を望んでいて、いったん始めてしまえば、やりたくないと抵抗する気持ちも弱まるからです。
1回の腕立て伏せを習慣にすることで目指しているのは、1回×◯日分の筋力アップではありません。1回を継続して習慣化することで、1回(+おまけ)が習慣化することを見込んでいるのです。
ここでいう「おまけ」には、腕立て伏せ以外のことも含まれます。目標が達成できてポジティブな気持ちに満ちていれば、腹筋もやってみようという気分になるかもしれないし、もっと効率的に筋力アップするためのトレーニング方法を勉強してみようという意欲が湧いてくるかもしれません。
一つの目標が達成できれば、「おまけ」を加えるのも楽になり、やがて小さな習慣から大きな習慣へと成長していきます。
毎日1回の腕立て伏せという「ばかばかしいほど小さな」ステップだからこそ、無理なく継続することができ、そのおかげで大きな波及効果が望めるのです。
「小さな習慣」の具体的な実践方法や、失敗しないためのノウハウについて知りたい方は、ぜひ本書をチェックしてみてください。