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業務や仕事環境のデジタル化を図るITソリューションの中でも、ビジネスに変革をもたらし、企業競争力の強化への寄与を目的とするツールをDXツールと呼びます。日々の業務で使うWordやExcelなどのソフトウェアが便利なITツールではあっても、DXツールとは呼ばれないのはそのためです。
しかし、WordやExcelを瞬時に共有する、複数人でWeb会議をしながらファイルを同時編集をする、データを保存し部署を跨いでナレッジを共有するといった使い方ができれば、従業員の働き方もビジネスのスピードも大幅に変化します。デジタル技術でこうした変革をもたらすものが「DXツール」です。
他にも、プロジェクトの進捗状況を可視化する、顧客情報をリアルタイムで共有する、顧客対応の一部をロボットが行うなど、多様な機能のDXツールの普及がビジネスの変革をバックアップしています。
経済産業省は2018年に発行した「DX推進ガイドライン」の中で、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン (DX 推進ガイドライン) Ver. 1.0 平成30年12月 経済産業省
株式市場では同省と東京証券取引所が共同で、積極的にDXを実践する企業を「DX銘柄」に指定することで、国内企業が目標とすべきビジネスのあり方を明らかにしています。これは、国として企業の価値向上と成長の必要性を企業経営者に示し、その要となるDXにスピードアップして取り組むべき、というメッセージともいえます。
しかし、DXとITツールの導入は同義ではなく、ツールを導入したからといって即座にビジネスが変わるとは限りません。
上述の「DX推進ガイドライン」にもあるように、DXの真の目的はビジネス競争力の強化です。そのため、DXツールの導入にあたっては「どうすれば自社の競争力が強化されるか」を考え、企業価値向上と成長のボトルネックとなっている部分に効果的なツールを選択する必要があります。
企業競争力の強化のために、日本企業が向き合うべき課題としては以下のようなものが考えられます。
こうした課題を解決するためのDXツールを導入し、ビジネスを変革して競争力強化に繋げることが正しいDXのあり方です。この他に、企業ごとの課題や社風にマッチするDXツールを選ぶことも意識してみるといいでしょう。
DXツールには数多くの種類が存在します。企業からのニーズが特に高いものとして、使用目的の異なる10種類のツールにフォーカスし、その特徴を解説します。
ビジネスチャットは、社内のコミュニケーションの活性化を目的とするDXツールです。社内SNSとも呼ばれ、従業員同士や部署間で気軽にメッセージの送受信などができるように設計されています。
メールを送るほどでもないが他部署の人の意見が聞きたい、浮かんだアイデアをチーム内で簡単に共有したい、自分が求める業務知識を持っている人がいないか呼びかけたい、といった状況は、ビジネスチャットが活躍する場面です。
コミュニケーションが図りやすいツールがあらかじめ用意されていることで、「報連相」の強化はもとより、企業やチームの一体感も生まれやすくなり、ビジネスの活性化に繋がります。
ビジネスチャットはPCやスマートフォンなど多様なデバイスでの使用が想定されたツールで、テレワークや外回りの営業、出張などのシーンでもコミュニケーションを円滑にします。
ビジネスチャットを選ぶ際は、必要な機能やセキュリティの他、シンプルで理解しやすい操作性やUIにも注目し、導入後すぐに対象者全員が使いこなせるDXツールであることを意識しましょう。
ビジネスでの定着が進むWeb会議システムは、PCなどのインターネット端末を介してリアルタイムのビデオ通話を複数人で行うためのDXツールです。Web会議システムを使えば、遠方の支店や海外拠点、在宅勤務中の従業員ともオンラインでミーティングを行うことができます。
Web会議システムのサービスを選ぶ際は、誰でも使える操作の簡単さやセキュリティだけでなく、用途や利用環境との相性も重要視しましょう。
例えば、取引先との打ち合わせでWeb会議システムを頻繁に使うのであれば、取引先が導入しているツールと同じものを選ぶことで利便性と信頼性をアップするという方法もあります。社内のみでの利用がメインなら、既存システムとの連携がスムーズなツールを選ぶと快適です。
最近では採用選考の過程でのオンライン面談や説明会でも、Web会議システムが活用されています。DXの目的を念頭に置き、セミナーや研修などさまざまな利用シーンを想定したツール選びがポイントです。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、ロボットを使った事務作業の自動化を意味します。ロボットといっても人型の機械ではなく、特定作業を遂行するようプログラムしたシステムをPCなどの端末内で作動させます。
RPAツールを使うことで、これまで人的リソースを割いて行っていたルーティンの入力業務やWebサイトの更新業務、ルールに則ったメール送信など幅広い業務を自動化可能です。
オフィスの営業時間外や休業日にも稼働が可能であることから、単純作業のためにわざわざ人がPCの前にいる必要がありません。人的コストの削減と同時に、正確な作業が求められるシーンに最適なツールです。
RPAツールで作動させるロボットは基本的にすべてオリジナルで作成します。ツールにより、人が行う作業をコード化する、フローを文字で入力する、動画に撮るといった方法でプログラムを作る工程が発生するため、担当者のスキルレベルに合うロボット作成方法をツール選びの基準に加えてみましょう。
どのビジネスにも不可欠な業務である決裁は、旧来の「紙と印鑑」による手続き方法が長く維持されてきた領域です。
紙の契約書を持って客先に赴き、販売や業務提携の証として押印された書面を受け取り、社内でも承認印をもらい、担当部署に提出して手続きを進めるという従来の契約方法は、電子決裁システムの登場で飛躍的な変化を遂げています。
電子決裁システムならすべての工程がオンラインで完結するため、相手のもとへ足を運ぶ時間や書面を郵送でやりとりする手間は一切不要です。
情報の暗号化や改ざん防止機能、偽造できない電子署名などにより安全性も担保されます。書類の印刷や郵送にかかるコスト、人件費の節減にも効果的なツールです。
社外に関わる決裁だけでなく、社内の申請書や精算書などの手続きにも電子決裁システムが使えます。
そのため、効率的な手続きで企業の意思決定を迅速化し、働き方の自由をサポートするツールといえます。電子決裁のツール選定に際しては、自社の既存システムやアプリケーションとの連携をしっかり確認しましょう。
社内の申請・承認業務をデジタル化することで、ビジネスをスピードアップさせるワークフローシステム。
例えば、稟議書や起案書のフォーマットをツール内に作成しておくと、書類作成から申請、承認までを連続的にシステム上で行うことが可能です。メールに書類を添付して送受信するのとは異なり、申請後は手続きの進捗ステータスをオンラインで確認できます。
承認者にとっても、画面上でワンクリックするだけで承認手続きが完了するため、書類の確認のために出社する手間がありません。テレワークはもちろん、グローバル拠点を持つ企業の社内手続きにも適しています。
複数言語間での申請・承認手続きが頻繁に行われるビジネスでは、日本語以外の言語にも対応したツールを検討してみましょう。
重要な申請書類をワークフローシステムに一元化し、必要なデータをまとめて出力すれば、監査にもスマートに対応可能です。
MA(マーケティング・オートメーション)ツールは、新規顧客の開拓から見込み顧客の育成、商談、既存顧客へのアプローチを自動化し、ビジネス展開の加速に貢献します。
例えば、MAツールを使って見込み顧客の購買意欲を後押しする施策を打つなど、顧客レベルごとの対応でビジネスの成長を刺激できる点がポイントです。
従来、マーケティングはマンパワーに依存する度合いの高い分野でした。しかし現在では、マーケティング業務の中の単純作業をMAツールに振り分け、人の能力をよりクリエイティブに活用することは、DXによる企業競争力強化の鍵のひとつです。
MAツールの導入により削減される人的コストをマーケティング予算に充当すれば、いっそうの市場拡大も期待できます。
MAツールの選択は、同業種での導入実績や、担当者にとって使いやすい設計などを基準に検討するのがおすすめです。
SFA(セールス・フォース・オートメーション)やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント/顧客関係管理)に特化したITソリューションは、「企業と顧客」の繋がりを強化することで競争力をアップさせるDXツールです。
営業、販売、マーケティングの領域にSFA/CRMツールを導入することで、顧客情報や商談履歴を一元管理し、どの顧客に対して何の案件が進行中かといったデータを社内で共有しやすくなります。
営業担当者の変更によって顧客データが埋もれてしまうことを防ぎ、ビジネスの成長のための資源に変えられることがSFA/CRMツールの強みです。必要な機能が揃っていることに加え、継続利用のしやすさと利用サポートの充実にも目を向けてツールを選びましょう。
必要書類へのアクセスがオフィス内のPCに限定されていれば、ビジネスの失速は想像に難くありません。クラウド型オフィスのDXツールを使うことで、インターネット環境さえあれば社内で共有するWordやExcelなどのOfficeファイルをどこでも編集可能です。
例えば、社外でのプレゼンに向かう途中でプレゼンテーション資料を確認し、変更を加えたいという場合、クラウド型オフィスのツール上にファイルをアップロードしておけば、手持ちのノートPCやタブレットから資料の編集ができます。
資料の作成中に別の担当者に引き継ぐ際もツール上で簡単に共有できるため、作業が効率化・シームレス化されます。
クラウド型オフィスはデータの共有利用もポイントであるため、ビジネス形態に応じて「リアルタイムの共同編集ができるか」「編集履歴がどのように残るか」といった点にも着目しましょう。
ナレッジ共有ツールは社内Wikiとも呼ばれ、企業固有の財産である「知識」を可視化し共有するDXツールです。「担当者に聞かなければ進められない」と考えられていた業務知識をツールで共有することで、作業開始までの無用なインターバルを排除できます。
ナレッジ共有ツールで共有できる情報は、休暇取得申請の手続き方法から業界独自の専門知識まで多岐にわたります。
業務の引き継ぎや新人教育のための各種マニュアルをナレッジ共有ツールに蓄積すれば、資料管理が効率化され、権限を持つ誰でも検索が可能になるため、自主的な学びを促進したい企業にも最適です。
従業員が等しく知識にアクセスできることは、仕事の属人化を防いで業務効率を向上させ、ひいてはビジネスの加速を実現します。
ファイルの閲覧権限の範囲設定や、資料作成フォーマットの有無、映像ファイルのアップロードの可否など、ツールごとの特色を自社のニーズに照らし合わせて導入することが、DXツールとしての価値の最大化に繋がります。
企業サイトや製品サイトに搭載されるFAQシステムやチャットボットは、スマートな顧客対応を実現するDXツール。企業サイドにとっては問い合わせ対応業務の省人化と省コスト化のメリットがあり、顧客サイドにとっては営業時間を気にせず知りたい情報を得ることができるメリットがあります。
FAQシステムは、検索ワードを基にユーザーが求めるテーマの回答を複数提示し、ユーザーがそこから選んで閲覧することで疑問を解消するツール。
チャットボットには、あらかじめ設定したルールに沿って回答を表示するシナリオ型と、システムが学習したデータをベースに最適な回答を表示する機械学習型があり、寄せられる質問の多様性や準備期間の長さなどに応じて適したものを導入します。
実際に自社にDXツールを導入する前に以下の3つのポイントを確認し、条件を満たすツールを選択しましょう。
DXツール導入の最終的な目的は企業競争力の強化であり、そのためにクリアすべき課題を見据えたDXツール選びが重要です。企業ごと、部署ごとに抱える課題は異なり、同業他社と同じツールや最新技術を組み込んだツールを導入することが必ずしも正解とは限りません。
自社の課題がコミュニケーション不足による機会損失の改善であれば、コミュニケーションを活性化させるツールを選ぶことが求められます。時間のかかる書類手続きがイノベーションの妨げになっているなら、決裁スピードを向上させるツールが必要といえます。
DXツール選びの前に、まずは自社の課題を明確にしましょう。
せっかく導入したDXツールが想定より使われないという事態を避けるためには、ツールの操作性やUIなどの使い心地も重視すべきポイントです。自社の課題にマッチした機能を持つツールであっても、使用感が複雑すぎると現場で嫌厭され、DXが進まないという結果を招きかねません。
対策として、少人数規模のトライアル利用で使用感を確かめる、過度に多機能で使い方のわかりにくいツールを避けるといった方法が考えられます。
DXツールの多くは、他のシステムと連携して使用します。そのため、検討中のDXツールが既存の基幹システムに合うか確認する必要があります。データを既存のシステムからDXツールに移管する場合も同様です。
とはいえ、属人化した既存システムやメンテナンス性の低い旧式のシステムなど、レガシーシステムを連携の土台に設定するとDXが妨げられるリスクも否めません。この機会に、DXツールを適用しにくい社内のレガシーシステムの見直しも進め、DXの目的達成を図りましょう。
業種を問わず、多くの企業の課題の根幹を成すのが「コミュニケーション」です。単にコミュニケーションの不足だけが問題ではなく、社会のスピード感に合う伝達手段なしではもはやビジネスの発展が難しい時代であることは明らかです。
コミュニケーションツールとしてのビジネスチャットは、DXツールの中でも導入プロセスが比較的シンプルなので、DXの最初の一歩にもおすすめです。
法人向けITソリューションの開発・運営企業ワウテック株式会社が提供する「WowTalk(ワウトーク)」は、テキストメッセージ、通話、社内掲示板などのコミュニケーション機能をベースに、タスク管理機能や日報機能を持ち、履歴管理の一元化のニーズにも適したツールです。
直感的に操作できるデザインやセキュリティ面も評価されるビジネスチャットとして、行政機関や各種企業で導入が進み、日常業務から非常時の連絡まで幅広く使われています。
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ビジネスチャットひとつを取っても多種多様なツールが存在するため、前章の3つのチェックポイントと照らし合わせながら、自社のニーズを満たすDXをツールを検討しましょう。
DXツールの選定で迷ったときは、DX本来の目的である「企業競争力の強化」に立ち返り、企業の価値向上と成長を目指すために自社に何が必要かを再確認してみてください。