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あなたがDXについての知識が十分でない場合、当然ながら、まずはDXの基礎知識を身につけなければならないでしょう。
改めて確認すると、DXとは、「デジタル技術とデータを活用し、既存のモノやコトを変革させ、新たな価値創出で人々の生活をより良くする」ことを指しています。
新しい価値を生み出すためには、DX推進担当者は、デジタル技術のトレンドや技術動向について、常に最新情報を収集していなければならないのです。
例えば、DX推進には、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット工学、ブロックチェーン、クラウドコンピューティングなど、現在トレンドになっているこれらデジタル技術の特性やメリット・デメリットを理解した上で、ビジネスに活用する方法を考える必要があります。
また、ビジネスに必要なデータを取得・分析するツールや、ビジネスプロセスを自動化するためのツールなどの知識を持ち、それらのツールを利活用していく方法も考えなければなりません。
DX推進担当者は、デジタル技術に関する情報を基礎とし、ビジネス戦略との連携、デジタル技術の具体的な活用方法、セキュリティ対策、社会全体動向など、幅広い知識を身につけなければ、そもそも社内のDXをリードするというタスクのスタートラインに立つことすらできないのです。
こうした知識をしっかりと習得するためには、DX推進に関する書籍や専門誌の講読、セミナーや研修会への参加など、まずは積極的に学習していくことが求められます。
ポイント1の条件をクリアし、DXに関する十分な知識を得たら、次にやるべきことはDXを推進するための組織体制の整備です。
とてもではありませんが、DXは1人で進められるものではなく、組織内の関係者と協力して、必要な組織体制を整備しなければなりません。
DX推進チームの役割は、DX推進の企画、実施、管理など多岐にわたっているため、経営層、技術者、ビジネス担当者など、組織内で異なる立場にあるメンバーが、それぞれのスキルや知識を持ち寄ることで成り立ちます。
DX推進チームは、単にデジタル技術の導入をリードするだけでなく、必要に応じて「新たな組織文化の創出」を引っ張る役割を担っています。
組織文化とは、組織全体が共有する価値観や行動規範のことであり、ある意味、企業の根幹とも言えるほど重要なものです。
各企業の歴史の積み重ねともいえる組織文化は極めて重要なものですが、これからの未来を見据えてDXを推進するためには、時としてそれまでの組織文化を変革していかなければなりません。
この変革をリードする役割を成すDX推進担当者には、柔軟性やアジリティ、イノベーションに対する積極性など「新しい価値観」を創出する姿勢が求められるのです。
社内全体を引っ張るリーダーシップに加えて、DX推進チームには、そのために必要な意思決定プロセスを整備するという重要な役割もあります。
DX推進には迅速かつ正確な意思決定が求められることはこれまでもお伝えしてきた通りですが、この点を実行に移すためには、組織内の関係者と協力して、意思決定プロセスを明確にし、迅速に判断を下すためのフレームワークを整備しなければなりません。
「顧客だけでなく、DXによる恩恵を受けるすべての人=従業員もユーザーである。」
DXを成功させるためには、ユーザー中心のアプローチを心がけることが必要不可欠です。
ユーザー中心のアプローチとは、ユーザーのニーズや要望に合わせてプロダクトやサービスを開発することを指しており、DX推進においては、ユーザー視点を常に意識し、彼らが望む価値や体験を提供することがなにより求められます。
ユーザー中心のアプローチを取るには、アンケートやフィードバックフォーム、定期的な顧客訪問やユーザーインタビューを実施することを通じて、ユーザーの声をダイレクトに収集するように努めなければなりません。
あるいは、WEBサイトやアプリなどのアクセスログやクリックデータ、SNS上の反応などから、ユーザーの行動パターンや嗜好に関する情報を収集することができます。
そうやって収集した情報をもとに、ユーザーのニーズや要望を分析し、プロダクトやサービスの改善点を特定する。
その上で、その課題に対する改善案を立案し、ユーザーテストを行いながら、ユーザーの望みに沿ったプロダクトやサービスを開発することができるのです。
ただし、ここでいう「ユーザー」とは、何も顧客のことだけを指しているわけではありません。
例えば、企業内の何かの業務をDXによって効率化しようと考えた場合、そのDXによって恩恵を受ける「ユーザー」とは、その業務に携わる従業員を指します。
つまり、DX推進におけるユーザー中心のアプローチとは、社内の従業員も含めて考える必要があるのです。
いくら顧客満足度が向上したとしても、それにより従業員の負担があまりにも増加してしまうようであれば、それは真の「DX成功」とは言えません。
ユーザーの範囲としては、さらに投資家や金融機関といった、企業を取り巻くステークホルダーも含めて考える必要があり、DXとは企業内外のすべてのステークホルダーを見渡した上で、実施するべき施策なのです。
繰り返しになりますが、DXとは「デジタル技術とデータを活用し、既存のモノやコトを変革させ、新たな価値創出で人々の生活をより良くする」ことを指しているため、DX推進においてデータの持つ役割は重要です。
データは、企業の意思決定の基盤となる情報を提供し、ビジネスにおける課題の解決に役立ちます。
データを活用することで、より正確な予測や分析が可能になり、企業の生産性や収益性を向上させることができるのです。
例えば、WEBサイトのアクセスログやクリックデータ、SNS上の反応、販売データなどは重要なデータの一例です。
これらのデータを収集し、適切に分析することで、ビジネスにおける課題を明確化し、解決するための戦略を策定することができるでしょう。
ポイント3で取り上げた「ユーザー中心のアプローチ」を実施するための基礎となるのが、データなのです。
しかし、データを適切に収集・分析するには、専門知識を持ったスタッフが必要となります。
そのため、DXチームには、そうしたデータ分析を担当できる人材を配置しなければなりません。
当然ながら、WEB上の膨大なデータを扱うためには、セキュリティにも配慮する必要があるでしょう。
DXに取り組む際は、重要なデータを保護し、不正アクセスや情報漏えいを防止するための対策を策定することも忘れてはなりません。
データを活用することで、企業はより効率的な意思決定を行い、DX推進の成功へと繋がり企業の競争力を高めることができるため、その重要性をしっかりと認識し、適切な収集・分析を行えるチーム作りが不可欠です。
DXを推進するためには戦略的なアプローチが重要であり、そのためには実行可能なロードマップを策定した上で、計画的に取り組むことが必要です。
ロードマップを策定するためには、まず目標を明確にしなければなりません。
その上で、目標を達成するために必要なステップを洗い出し、それらを時系列順に整理し、各ステップの期間や予算を見積もり、現実的かつ実行可能なロードマップを作成していくというのが、DXチームに求められる初期の重要課題の1つです。
ロードマップの策定にあたっては、ビジネスの全体像を把握している上級管理職や経営陣と密に連携することが重要です。
また、DX推進に関する最新情報や成功事例について常に情報収集を行い、ロードマップの改善に活かしていくことも必要でしょう。
さらに、市場環境や競合状況が変化した場合は、それによりロードマップの見直しや改善が必要になる可能性もあるため、ロードマップ策定時から柔軟に変更できる仕様と体制にしておくことが大切です。
このような点に配慮したうえで作成されたロードマップは、チームメンバーだけでなく、経営陣や他部門の責任者、そして従業員1人ひとりにまで、「これから自社が向かう道筋」としてわかりやすい形で示し、理解を得る必要があります。
DX推進に限った話ではありませんが、チームで協働していく上で、コミュニケーションは非常に重要な要素です。
特に、DXの場合は、ある程度ルーティン化した既存業務を滞りなく行うというタスクではなく、「これまでにない、新しい価値を創造する」というタスクの性質上、メンバーごとの考え方や認識の違いが生まれやすい状況があります。
チーム内のコミュニケーションを円滑にするためには、チームメンバーとの会議やブレストセッションを定期的に行い、アイデアの共有やディスカッションを行うことが大切となるでしょう。
こうした場は、DX推進に役立つ新しいアイデアや視点が生まれる場になるだけではなく、チームメンバーが抱える問題や課題を適切に聞き取り、それに対するフィードバックを行う場にもなるのです。
また、このようなコミュニケーションを通じて、メンバーが自分の意見を言いやすい環境を作ることができれば、結果としてチーム全体の能率や生産性も向上するでしょう。
コミュニケーションにはリスク管理の面でも重要であり、予期せぬ問題やトラブルが発生した際に、チームメンバーと速やかに情報共有できる体制を構築しておくことは、素早い対応を可能にします。
素早い情報共有のためには、メンバー全員にとって使用しやすいコミュニケーションツールを選択し、適切に活用することが必要です。
なお、メンバーとのコミュニケーションを行う際には、前述のユーザー中心のアプローチということとも重なりますが、ここでも「相手の立場に立って考える」ということが重要となってきます。
この点も、当たり前の話ではありますが、DXというほとんどの人にとって新しい課題に取り組むうえでは特に注意が必要です。
例えば、あなたが既にDXについての知見を十分に持っていたとしても、それを伝えたい相手も同じ知見を持っているとは限りません。
全ての従業員を見渡してみれば、むしろDXに対する十分な知見を持っていない人の方が大多数です。
そんな従業員を相手に「こっちの方が効率的だから、このテクノロジーを取り入れろ」と押し付けたとしても、効率化が図られるとは考えにくいでしょう。
むしろ、反発を受けて業務効率や収益が落ちてしまう可能性すらあります。
このような場合、まずは一旦相手のやり方を受け入れて実践し、その上で共に現状の問題点を探しながらDX推進の先にある「絵」を描きながら、その「絵」を全社的に共有できるようにして、誰もが分かるメリットとして見せる必要があるのです。
DXをしっかりと進めていくためには、ある程度プロジェクトが進んだ段階で、事前に策定した目標に沿って成果を定量的に測定することが重要です。
こうした作業を繰り返すことで、その後のDX戦略の評価や改善に繋げることができます。
まずは、事前に設定した目標を達成するために測定するべき指標であるKPI(Key Performance Indicator)を設定することが必要です。
例えば、ECサイトの場合であれば、KPIとしてはアクセス数、滞在時間、購入率、平均注文金額などの指標が考えられます。
KPIを定期的に測定するためのデータ収集は、Google AnalyticsなどのWEB解析ツール、CRM(Customer Relationship Management)ツール、BI(Business Intelligence)ツールなどを活用することで、効率的かつ正確なデータを得ることができます。
そして、収集したデータの分析結果に基づいて、改善点や問題点を洗い出し、戦略の修正や改善に繋げていくことがポイントです。
先述のECサイトを例で言えば、測定データ分析の結果、ECサイトでの購入率が目標値よりも低いという課題が発見できれば、ユーザビリティの改善や商品ページの改善、購入ファネルの見直しなどが必要だということが分かるでしょう。
成果を定量的に測定することは、チームメンバーにとっても明確な目標を持つことに繋がりますので、モチベーションの向上や成果の共有がしやすくなることにも繋がります。
今回は、もしもあなたが突然「DX推進担当者」に任命されたとしたらどうすればいいのか?という疑問を出発点に、DX推進担当者が気をつけるべき7つのポイントについて解説しました。
DX推進においては、経営層の意識や組織体制の整備だけではなく、ユーザー中心のアプローチやデータの重要性の理解、実行可能なロードマップの策定、チームメンバーとのコミュニケーション、そして定量的な成果測定を行い、改善につなげることが不可欠です。
強引な手法でDXを進めようとしても、結果的に不要な開発やコストが発生し、逆に業務効率が低下することすら考えられます。
DX推進には、徹底的なユーザー調査やチーム内の意見交換、そして現場の意見を吸い上げるといった、「ユーザーファースト」の考えが何より重要であり、DX推進担当者の効率一点張りの施策では、うまくいくはずのものもうまくいかなくなってしまうでしょう。
DX推進担当者とは、経営層から期待される業績向上や競争力強化に向け、適切な戦略的な視点を持ち、組織全体を巻き込んでDXを成功へと導く重要な役割です。
その双肩には、企業の未来がかかっているといっても過言ではないのです。
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