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私達は普段食事によって体に必要な栄養素を取り入れ、便によって不要なものを排出しています。
しかし、そもそも食事から便にどのように変わっていくかを知らない人は多いのではないでしょうか。
まず、食事によって体内に入った食べ物は、最初に口の中で咀嚼されて細かくされた後、食道を通って胃の中に入ります。
胃では強力な酸である胃酸や、タンパク質などを分解する酵素の働きによって食べ物が分解され、ドロドロのお粥のような状態となります。
胃での消化にかかる時間は食べたものにもよりますが大体2~5時間といわれていて、食後すぐに寝てしまうと胃での消化が不十分になって消化不良を起こしやすくなります。
胃でドロドロに溶かされた食べ物は、次に十二指腸を通ります。
十二指腸では胆のうから分泌された脂肪の分解などを行う胆汁と、すい臓から分泌された栄養の分解や酸性になっている食べ物を中和する役割のすい液が混ざり、より栄養素が吸収されやすいように分解されます。
この時、胆汁に含まれる成分の影響で食物は緑がかった黄色になります。
吸収されやすいように細かく分解された食事が小腸に入ると、栄養素の吸収が行われます。
小腸は食事の栄養素の大部分を吸収する役割があります。
この時、食事につけられた緑がかった黄色の成分が腸内の働きで便の色である茶色に変色します。
小腸内を食物が移動して大腸にいくまでには5~8時間程度がかかるとされています。
栄養素の吸収が終わった食事の残り部分は、どろどろの状態で大腸に入ってきます。
大腸の主な役割は水分やミネラル分の吸収で、大腸で水分が徐々に無くなっていく事で、茶色くドロドロだったものが段々と硬く固形の便に変化してきます。
大腸で水分を失って硬くなった便は、大腸と肛門を繋ぐ直腸という場所に一時的に貯められます。
そして、ある程度便がたまるとその圧迫刺激によって便意が起こり、便として排出されます。
以上のように食事によって体内に入った食べ物は、長時間の消化吸収を経て最終的に便として排出されますが、特に大腸での移動時間は長く、大腸内では24~30時間ほどかけて、便から水分が抜けていきます。
胃での消化時間や小腸での吸収時間など全てを含めるとその合計は短くて30時間。長ければ70時間以上。お肉や脂肪など消化に時間がかかる食べ物であれば、場合によって5日間程度かかる場合もあります。
そのため、沢山食べたのに中々便が出てこないとか、そんなに食べてないのに沢山出てくるという事は当たりまえの出来事。毎日大量に便が出ないと便秘という風に考える必要はないと言えます。
便は大腸の中で徐々に硬くなりながら移動していきますが、この移動は大腸が歯磨きのチューブを絞るように、端っこの方からギュっと絞る運動「蠕動運動」などによっておこります。
そして、この大腸の運動を引き起こすのが食事。食べ物が胃の中に入ると、胃・結腸反射という反応によって大腸が動き、便が移動します。
つまり、適切なタイミングで食事をとらないと大腸が動きにくくなってしまい、便が中々出てこないという状態になりやすいといえます。
以上のように健康的な状態で食事から便となって排出されると、便は適度な硬さと太さで排出されます。
よくいわれる理想的な状態はバナナのような太さや硬さ。バナナといっても皮がついた状態ではなく、剥いた状態をイメージすると良いでしょう。
ただし、人によってこれより細い事も当然ありますので、便がすんなりまとまって出てくれば理想的な形などあまりこだわる必要はないようです。
よく、ダイエットのキーワードなどで「宿便」という言葉が使われます。
宿便とは腸内に長期間残り続けた便という意味で使われ、宿便がある事で腸内環境が悪化し、太りやすくなったり肌荒れを引き起こすとされますが、ここまでに説明した通り、そもそも便はすぐに排出されるものではなく、長い時間をかけて排出されるもの。
確かに大腸の動きが弱く、便の移動が遅くなってなかなか排出されないと大腸内にある便の影響で悪玉菌が増加するなどのトラブルに繋がりますが、腸内にずっと残り続けるという事はまずありません。
ダイエットなどで「宿便」という表現がされる場合、ものによっては「何年も残り続けた便」という表現がされる事もありますが、便がそれほど長く排出されずに残るという事はまずありません。
薬などで便の排出を急がせれば短期的には便がなくなりスッキリしますが、その後は再度食事から便にかわり蓄積されていくだけなので、便を全て出せば痩せるなどといった事は間違いだといえます。