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それでは、実際に前後左右の柔軟性バランスをチェックしてみましょう。ここでは、どこでもできて、誰でもできるチェックを2つ行います。
特別に用意するものはありません!広いスペースも不要です!一つだけ、「ムリをしない」ということだけ心がけるようにしましょう。
上体の前屈と後屈を行います。
まずは上の写真のように、足幅を腰幅程度に開き、膝を伸ばしたまま上体を前に倒していきます。競争ではないので、ムリなく前屈できるところまで行います。
次に足幅を肩幅もしくは肩幅よりやや広めにとって、手を腰に当てて上体を後ろに倒していきます(写真上参照)。
このとき、膝が曲がらないようにしましょう。痛みや違和感がない程度に、やはりムリなく後屈できるところまで行いましょう。
前後屈、どちらがやりやすく感じましたか?
足を肩幅程度に広げて、腰から下の部分を動かさないように気をつけながら、上体を左右それぞれ真横に倒していきます(写真上参照)。
真横に倒していく際、上体が捻じれないように、上体を正面に向けたまま行うようにします。「腰から下の部分がどうしても動いてしまう」という場合は、イスに座りながら行うとよいでしょう。
左右どちらが倒しやすく感じましたか?
2つのチェックを行ってみていかがでしたか?
「前後屈両方やりやすい」「左右両方とも倒しやすい」というのはごく稀で、おそらくどちらかが倒しにくく感じたのではないでしょうか。
このように柔軟性で前後差や左右差がある場合がほとんどで、カラダが柔らかい人ほどその事実に気づかないことが多いのです!
チェックで柔軟性バランスが崩れていることに気付いたら、そのバランスを整えていくようにしましょう。
「前屈動作が行いにくかった」という場合、骨盤が後傾している可能性があります。すると腰椎も後弯が強くなり、椎間板への負担が大きくなってしまいます。
骨盤を後傾させている筋肉として、お尻の筋肉である「大殿筋」と、太もも裏側の筋肉である「ハムストリングス」の強い緊張が考えられます。
そこで前屈動作が行いにくかった場合は、大殿筋とハムストリングスの強い緊張を緩めるために静的ストレッチを行います。
余裕があれば、上の写真のように立てていたもう一方の膝を伸ばしてみましょう。
ふくらはぎに両手を回しにくい場合、両手の代わりにタオルを回して引き付けても構いません。
逆に「後屈動作が行いにくかった」という場合、骨盤の前傾が強くなっていることが考えられます。
骨盤の前傾が強くなると、腰痛を起こしやすくなるだけでなく、腹筋群の筋力が低下しやすい状態なので、「ポッコリお腹」になりやすくなります。
骨盤を前傾させる筋肉は、太もも付け根前面にある「腸腰筋」です。この筋肉の緊張が強くなると、骨盤の前傾が強くなってしまうので、腸腰筋の過度な緊張を緩める静的ストレッチを行います。
目線をお腹に向けると骨盤が後傾しやすくなります。
側屈動作で左右差があるということは、「骨盤が側方に傾いている」ということです。右(左)への側屈動作が行いにくかった場合は、骨盤が右(左)に傾いていることが考えられます。
骨盤の左右の傾きに大きく影響を与える筋肉として、体幹を横に倒したり骨盤を引き上げる働きをする「体幹側筋群」と、骨盤を引き下げる作用をもつ「股関節外転筋群」が挙げられます。
そこでこれらの筋肉の緊張を緩める静的ストレッチを行うことで、左右差を整えていきます。
いずれのストレッチも左右それぞれ、筋肉が心地よく伸ばされていることが感じられる強度で、20~30秒間伸ばし続けるようにしましょう。
今回は、「カラダが柔らかいからストレッチしなくても大丈夫!」という考えが間違いであると言える理由についてお伝えしてきました。
「カラダが柔らかい」と思い込んでいる人ほど、実は柔軟性の前後差や左右差が大きく、バランスが大きく崩れていることが多いと言えます。
ストレッチを行う際に重要なことは、柔軟性を高めることよりもバランスを整えることです。腰痛や肩こり、運動中の思わぬケガを防ぐためには、柔軟性以上にバランスが重要となるのです。
そのためストレッチを行う際は、一部に偏ったストレッチを行うのではなく、全身の筋肉を満遍なくストレッチするように心がけましょう!