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しかし、そんなパーソナルな体験も、今後は変わっていくだろう。
というのも、VRを複数人で体験するという技術が次々生まれているからだ。
VRを複数人で体験することによってどんな恩恵があるのか?
この記事では複数人で同時体験するためのVR技術やVRコンテンツについてご紹介したい。
現在リリースされているVRデバイスやVRコンテンツは、基本的に個人での体験を前提としている。
具体的には、ヘッドマウントディスプレイを使用してソロプレイのゲームをプレイしたり、動画や静止画を鑑賞したり…といった内容だ。
ここに対して、複数のユーザーがそれぞれヘッドマウントディスプレイを着用し、ひとつの仮想世界を体験しようというのが複数人同時VR。
仮想世界の中での各プレイヤーの動きは、当然それぞれのプレイヤーの動きが反映される。
最もイメージしやすい用途としては、FPSなどの対戦型ゲームで、VR対応のFPSであれば、現時点でも複数人体験可能なVRが存在している。
だが、VRを複数人で体験することのメリットは対戦型ゲームだけに留まらない。
場所や時間的な都合などで一か所に集まることが難しいという場合でも、VRを使えば制約なしに集まることができるし、マンツーマンでレクチャーをする場合でも、VRを使えば場所の制約を受けることがない。
それでは、現在リリースされている複数人同時体験が可能なVRの具体例を見ていこう。
まずは最もポピュラーな複数人同時体験型VRである、対戦型FPSから。
「RIGS Machine Combat League」は、プレイステーションVR(PSVR)専用の対戦型FPS。
「RIGS」と呼ばれるロボットに乗り込み、スポーツに似た競技で、他ロボットと戦う。
3対3のチーム戦となっており、オンラインでは最大6人での協力&対戦プレイが楽しめる。
一人でもリーグ戦が楽しめるという仕様になっており、PlayStation4などのコンシューマゲーム機でリリースされている対戦型ゲームが、VRによって正統進化した作品といえる。
対戦ゲームが持つ、アルゴリズムによるパターンではない、人間らしい動きと対峙するおもしろさが、VRによって増幅されているという点が最大の特徴だ。
続いてはVR機器である「オメガシップ」をご紹介したい。
「オメガシップ」は、複数人でVR空間を共有する次世代VRシステム。
イントラネットでLAN接続している10人が同一のVR空間で体験を共有可能。
将来的にはインターネットを使って、遠隔地で100人の人間がVR空間を共有できるようにするという。
単体のデバイスではなく、複数のデバイスがパッケージ化されたシステムになっており、デスク&チェア、PC、VRヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーター用PC、サーバー用PCがパッケージになっている。
「ZERO LATENCY VR」は、東京ジョイポリスで楽しめる複数人同時体験型のVRアトラクションだ。
遠隔ではなく、アトラクションまで出向く必要があるという前提を活かし、広い空間で自分の体を使ったプレイが楽しめる。
導入第一弾の「ZOMBIE SURVIVAL」は、最大6人が協力してゾンビと戦うというVRゲーム。
VR空間でゾンビと戦う…というだけならば、自宅でPCやPSVRのVRゲームを楽しむのと変わらないが、他のプレイヤーの姿が確認でき、ボイスチャットで連携できるという点でリアリティがグッと高まっている。
もちろん、実際に自分自身が動く必要があるという点や、手に持つ銃や背中に背負うバックパックPCの重さなどの要素もリアリティ増幅に貢献している。
「他プレイヤー」という現実の要素が加わることで、仮想現実の現実らしさを高めている事例だ。
最後に紹介するのは、SNSをVR化した「Facebook Spaces」だ。
「Facebook Spaces」は、Oculus Riftを用いてVR空間でアバターコミュニケーションを楽しむことができるというSNS。
最大4人までが「スペース」という仮想空間にログインしてコミュニケーション可能。
SNSである「Facebook」で可能なコミュニケーション方法は、文字や画像、動画といったものが中心だが、「Facebook Spaces」ではアバターを使ったボディランゲージや音声でコミュニケーションが可能となっており、リアルなコミュニケーションに近い体験ができる。
現在はβ版として提供されており、対応しているVRデバイスもOculus Riftのみのため利用者は少ないが、「Facebook Spaces」が普及すれば、仕事が終わったらちょっと友達とおしゃべり…なんてことが今以上に気軽にできるようになるだろう。
印刷技術、電話、テレビ、インターネットなど、これまで人類の文化を進化させてきた技術の多くが、広い意味でのコミュニケーションに関わっている。
印刷技術、電話、テレビ、インターネットなどは、どれもが時間と場所の制約を超えて、コミュニケーション…情報の伝達を行う技術だ。
そして、多人数でのVR体験もまた、時間と場所の制約を超えてコミュニケーションが行える技術。
このため、多人数体験可能なVRデバイス、VRソフトが普及すれば、仕事や生活のスタイルは一変し、我々の文化が大きく変わっていくだろう。
また、現在VRデバイスの普及状況はまだまだ導入期だが、VRデバイスがコミュニケーションデバイスとなった時、一気に普及が進みそうだ。
携帯電話やスマートフォンなどのコミュニケーション機器は、使っている人が多ければ多いほど利便性が増し、ある段階から逆に、「持っていないことが不便」と化すからだ。
そう考えると、今以上にVRが普及する上で、「Facebook Spaces」の重要性は高いといえるだろう。
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