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誰がどこの企業で働くかは、自由だ。競合他社への転職はトラブルになることもあるが、一般の会社員がきちんと手続きを踏んで転職するならばほとんど問題は起きないだろう。
しかし、Facebookのような世界的な大企業ともなると単に新しい社員を採用しただけでもインターネット上で話題になってしまう。採用されたのが別の大企業で長年働いてきたベテランともなればなおさらである。
Bloombergは、FacebookがOculus VR部門にMichael Hillmanを雇用したことを伝えた。Michael Hillmanは、Appleで15年に渡ってエンジニア・デザイナーとしての経験を積んだベテランだ。
Michael D. HillmanのLinkedinページによれば、彼の現在の役職はHead of Hardware at Oculus VRとなっている。Oculus VRのハードウェア部門代表としてFacebookに迎えられたHillmanとはどのような人物なのだろうか?
これまでに彼が関わってきたプロジェクトに関しては、Linkedinのページで確認できる。大きなものとしては、Appleでの経験だろう。
チーフアーキテクトやシニアマネージャーといった重要なポジションで、いくつものプロジェクトに関わったとされている。iMacのデザインやコンシューマ向けデスクトップモデルのデザインを行っていたようだ。
Hillmanが持つハードウェアに関しての知識と経験は、Oculusのハードウェアをより洗練されたものにする一助となるだろう。メーカーではなくSNSの運営によって成長してきたFacebookにとって、消費者向けの製品を実際にデザインしてきた彼の経歴は非常に重要なものとなる可能性を秘めている。
HillmanはAppleが取り組んだ複数のプロジェクトで管理者として働き、2016年の1月からはスタートアップ企業Zooxの副社長を務めた。Zooxでは自動運転に関する研究を行っていたとみられるが、どのようなプロジェクトに関わったのかについては明かされていない。
Hillmanに決定したため、Oculusハードウェア部門の代表を募集する求人情報は既に削除されている。Bloombergによれば、その役職はハードウェア部門を構築・指揮するだけでなく「Oculusの消費者向けハードウェアの戦略とロードマップを計画し、実行する」ものだ。
ハードウェアのデザイナーとして豊富な経験があり、副社長として企業全体を見る立場も経験したHillmanはその役割にピッタリの人材と言えるだろう。
OculusはPCベースのVRヘッドセットOculus RiftとそのコントローラーであるOculus Touchや、サムスンのスマートフォンと組み合わせて使うVRヘッドセットGear VRの製造を行っている。こうした製品は、HTCやマイクロソフトのような企業が製造する製品との競争にさらされている。
Facebookはハードウェアを製造する企業ではないため、スマートフォンで成功していたHTCや自社でSurfaceを開発したマイクロソフトに比べて経験不足だ。こうした企業に対抗して自社製品をVRにおける主流とするために、Facebookは新しくOculusのハードウェア部門代表者を必要としていた。
Oculusは昨年Santa Cruzと呼ばれるプロトタイプのVRヘッドセットを示しているが、まだリリースの計画は明らかになっていない。HillmanがOculusで最初に手がけるデバイスはこのSanta Cruzになるのだろうか。
Oculusの設立者、Jack McCauleyはソニーやマイクロソフトのシステムとの競争を優位に進めるための、もう一つの方法についてもBloombergに語っている。彼は、3月の初めに「Facebookはデバイスの価格を引き下げ続ける必要がある」と述べた。
Oculusは、先日RiftとTouchの価格をそれぞれ100ドルずつ引き下げている。McCauleyの発言を考えると、今後もOculus製品の値下げは行われそうだ。
すぐに再値下げは考えにくいが、他社との競争や新世代機の開発状況によってはさらに価格を引き下げてくるだろう。他社が新製品や価格の改定を発表したときには、飛びつかずにOculusからも値下げの発表が無いか様子を見るべきかもしれない。
参照元サイト名:Bloomberg
URL:https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-03-27/facebook-hires-apple-veteran-to-run-oculus-vr-hardware
参照元サイト名:Linkedin
URL:https://www.linkedin.com/in/somewhatlo
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