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VR Fitness Insiderが視覚障害者とVRの関係性に関する話題を掲載した。
リアルとバーチャルを組み合わせた「触れる」VRや、「香りつき」VRは没入感が高まるという。そういったVRも実験はされているものの、まだ一般化できるような段階にはない。現在の個人向けVRは視覚と聴覚を利用している。
だが、視覚に障害があるユーザはVRを利用できないというわけでもないようだ。視覚障害者が空間を認識し、行動する能力を向上させるためにVRが活用できるという研究結果が出ている。
視覚に何らかの障害がある人は、世界に2億8,500万人と見積もられている。そのうち3,900万人が全盲だ。残りの2億4,600万人も視力に頼れない状況にある。
彼らは視覚の代わりに、聴覚や触覚といった他の感覚を使って空間を認識する。メラベット博士のチームは、この空間認識能力を向上させるためのVRアプリケーションを開発した。不慣れな場所で周囲の状況を捉える能力を高め、公共スペースで行動しやすくしてくれるものだという。
メラベットは、
「目の不自由な人たちにとって、不慣れな場所で行動するのは本当に難しいことです。我々は目で見た情報を元に自分を取り巻く環境を判断できますが、全盲の人にとっては非常な困難になります。全盲の人は普通、聴覚と触覚を頼りにします」
と語る。
3月には、Journal of Visualized Experimentsがメラベットのビデオジャーナルを発表する。
このアプリケーションは、ユーザが行動するのを助けるフィードバックを提供する。架空のマップ上で自分がどこに居るのか、音声を元に頭の中で地図を描かなければならない。
ユーザに課される課題は、宝石を見つけ出して持ち帰ることだ。ただし、モンスターを避けながらそれをやり遂げなくてはならない。モンスターはユーザから宝石を盗み、他の場所に隠してしまう。
ユーザはヘッドホンの音声で自分の置かれた状況を判断する。そして、コンピュータのキーボードで操作する。
この実験で、ユーザたちはVR世界のレイアウトを正確に把握していったという。
メラベットが開発したアプリケーションはこれだけではない。彼はABES(音声による環境シミュレーター)用に、マサチューセッツ州ニュートンにある盲人センターのレプリカを作り上げた。このアプリケーションでユーザは建物の構造を理解し、室内を移動する助けとして利用できる。研究者たちは、この技術が視力を持たない人を助けるために世界中で活用できると考えている。
世界で数百万人の視力を失った・持たない人がこの技術の影響を受けるはずだ。VRは人間の感覚を拡張して、これまで難しかったことも可能にしてくれる力を秘めている。VRによって強化できる能力は、これだけではなさそうだ。
参照元サイト名:VR Fitness Insider
URL:http://www.vrfitnessinsider.com/virtual-reality-for-better-vision/
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