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Advertising Ageに、企業のVR広告利用に関する意識調査の結果が掲載された。VRが一般化しつつある今、企業はVRでの広告をどのように考えているのだろうか。
Forrester Researchが発表したレポートによれば、アメリカの成人のうち42%がVRヘッドセットについて知らないという。46%はVRの使われているところを見たことがない。
この調査はオンラインで行われたものだそうなので、IT機器に触れる機会すら少ない人を含めれば、さらに上記の割合は大きくなりそうだ。意外にも、アメリカ人の半数近くがVRを見たことがないらしい。
こうした数字を見ると、VRはまだまだ登場したばかりの技術だということがわかる。IT業界では誰もが知っているので、世間からズレてしまいがちだ。
マーケティングサービスのYes Lifecycle Marketingが行った別の調査では、広告にVRを利用しているマーケッターは8%しかいないという。35%はVRを利用するつもりがないか、使う予定があると答えている。残りの57%はどちらにも該当しないとした。
母数や抽出条件によって数字は異なるだろうが、VRの普及率から言えば8%でも悪い数字ではない。新しいメディアでの広告展開に積極的な企業が手を出しているという状況だろう。
VRでの宣伝については実体よりも誇大広告されている。そのため、昨年テストした多くのブランドは肩透かしを食う形になった。
VRでの広告に挑戦した企業が少ないことは、広告主がマーケティングについて慎重になり、効率を考えていることを示してもいる。先の調査によると、マーケッターはソーシャル広告(68%)やビデオ広告(56%)といった効果が実証されたメディアへの広告を利用し続けているという。
Forrester Researchのアナリストは、過去1年の間にVRを上手く使ったブランドはほとんどなかったという。上手く使うというのは、3分間のブランドストーリーを組み立ててVRCMを作ることではない。消費者がそのときやっていることよりも注意を引けるようなコンテンツを用意することだ。
視聴者が行った場所に応じて話の筋書きが変化するVR映画のようなコンテンツは、平均的な消費者の意識を端末に向けさせるのに適しているかもしれないという。
モバイルVRについては、
「ラグがあり、画質も良くありません。しかし、消費者はヘッドセットに500ドルを払いたいとは考えていません。ですから、ハイエンドヘッドセットを導入する妨げになる面もあります」
という。
2016年には、世界で2,250万人がモバイルVRのユーザとなった。2020年には1億5,400万人が年に1回以上モバイルVRを使うようになり、そのうちの3.2%が毎日VRを利用すると予想されている。
しかし、モバイルVRばかりという状況はいずれ変化していく可能性がある。
Forresterのレポートは、VRが新しい技術でデータが少ないことに注意が向いているが、長期の見通しは明るいと考えられている。
VRの技術が進歩すればVR広告を行うブランドが増え、「他社がやっているから」と追従するブランドも出てくる。長期的には消費者にも受け入れられ、VRを利用した広告は楽しめるものになっていくだろうとしている。
広告とVRに関する記事だったのだが、やはりVR機器そのものの普及が課題であるという結論になってしまった。VRが普及し、人気があるコンテンツの形が定まってくれば広告の挿入方法も考えられていくだろう。
広告も費用対効果が重視されるので、安定しない業界には手が出せないというのがブランドの広告を考えるマーケッターの本音かもしれない。1ユーザとしては「未知である」ことを楽しめても、企業の広告担当としては実績のある方法に頼ってしまう気持ちを理解できる気がする。
参照元サイト名:Advertising Age
URL:http://adage.com/article/digital/brands-abandoning-vr/307914/
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