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VIVE Flowは2021年11月にリリースされたHTC社のVRデバイスです。
メガネ型の装着しやすいシンプルなデザインと、189gという軽さが特徴です。
『自由にひたろう』
というコンセプトで、心地よい没入体験を提供し、一人ひとりを幸せな時間へと導いてくれる新しいVRグラスとして開発されました。
そのため、これまでVRの用途の中心だったゲームだけでなく
・リラクゼーション
・トラベル
・映画
といった多様なコンテンツを体験することができます。
VIVE Flowは
・装着しやすいデザイン
・持ち運びを簡単にする工夫
・高性能なグラフィック性能
をはじめとして、VR初心者でも気軽に利用できるようになっているのが特徴です。
そんなVIVE Flowの5つの特徴についてまとめました。
VIVE Flowは通常のVRゴーグルのようなヘッドセット型ではなくメガネ型です。
装着方法もメガネのように耳の上部にフレームを通して行います。
そのため、頭部全体を覆うヘッドセット型とは異なり髪型が崩れることがありません。
これまで女性のVR利用のネックとなっていた髪型の崩れがなくなるため、女性のVRユーザー増加への貢献に期待が持たれているようです。
メガネ型だと装着時のグリップ感が不安になるかもしれませんが、ツルの部分がしっかりフィットする独自の2段階ヒンジ設計となっています。
ヘッドバンギングのように激しく頭を動かさない限り外れる心配はありません。
デザインがシンプルになったことにより小型軽量化も実現されました。
特にバッテリーを外付けにしたことで、本体の重量がVRゴーグルの中でも最軽量クラスの189gです。
そのため、自然な感覚でVR体験を楽しめるとともに、長い時間装着しても疲労が残りにくいというメリットがあります。
また、スペースを取りがちなツルの部分がコンパクトに折り畳める2段階ヒンジ設計になっているので、バッグやカバンに入れて外出先で簡単にVR体験をすることができます。
軽量小型なデザインと高品質なグラフィックを両立させるため、VIVE Flowではレンズにも大きな工夫が施されています。
ピントが合う距離を短くする偏光レンズとハーフミラーを組み合わせた新しいデザインのレンズが採用されました。
コンパクトで持ち運びやすい大きさを実現しつつ、
・3.2K(両目3,200×1,600)の解像度
・100°の広い視野角
・75Hzのリフレッシュレート
という高精細でリアルな見え方のVR体験ができるようになっています。
また、左右の各レンズにピント調節用のダイヤルがついているのも注目ポイントの一つです。
近眼の人でも眼鏡不要で裸眼のまま利用することができ、しかも左右の視力の差が大きくても細かく調節することができます。
VR体験のクオリティを高めるためにはグラフィック性能だけではなくオーディオ性能も重要です。
VIVE Flowではクリアな空間オーディオを実現する内蔵オーディオが搭載されています。
そのため、
・ライブ会場にいるような迫力
・音の位置関係が分かりやすい
といった特徴の臨場感が高いVR体験が可能です。
また、マイクにもノイズキャンセラーとエコーキャンセラー機能がついています。
自分の声をハッキリと伝えることができるので、VR空間で他のユーザーと質の高いコミュニケーションを楽しむことができます。
VR体験が長時間になると熱がこもり汗ばんでしまいがちです。
汗の問題は髪型の崩れと同じくらいユーザー(特に女性)にとって、VRゴーグルを避ける理由となります。
そこで、VIVE Flowにはグラス内にこもる熱を排出するための強制冷却システムが搭載されました。
そのため、VR体験を長時間継続しても涼しく快適に過ごすことができます。
また、肌に密着するクッション部分もそれぞれ厚みが異なる男性向けと女性向けの2種類が用意されているのも特徴です。
クッションはマグネット式となっていて簡単に付け外しができ、水洗いもできるので常に清潔に利用することができます。
さらに、就寝前に利用する場合のために、目に強い刺激を与えないようにするブルーライトフィルター機能も搭載されました。
寝る前にVIVE Flowを利用したリラクゼーション体験をしても、ブルーライトをカットしてくれるので質の高い睡眠をとることができます。
VIVE Flowでは
・マインドフルネス
・アートの鑑賞
・動画鑑賞
・メタバース体験
・VRゲーム
といった用途で利用することができます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
HTC社がVIVE Flowの主たる用途として紹介しているのが、精神的な癒しを得られる「マインドフルネス」です。
例えば、
・瞑想を効果的にヒーリングの時間にできるASMRコンテンツ
・脳トレアプリ
などが挙げられています。
また、VIVE Flow専用の陶芸アプリ「Let’s Create! Pottery」も注目です。
ろくろ作業や色つけなど陶芸に集中することによって精神統一することができます。
マインドフルネス用途のアプリのほか、VIVE Flowではアート系アプリにも対応していることが特徴です。
Psychic VR Lab社が提供するVR/AR/MRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」のVIVE Flow向けモバイル版が同時リリースされています。
ユーザーが制作した
・コンセプチュアルなショップ空間
・インスタレーション
・ギャラリー
などの多彩なアート空間を体験したり、自分でも制作することが可能です。
また、VIVE Flowの体験会でも公開された、名画『モナ・リザ』に関するVR体験「Mona Lisa: Beyond the Glass」ももちろん利用することができます。
>>Mona Lisa: Beyond the Glass[VIVEPORT]
両目3.2Kの解像度のVIVE Flowは動画鑑賞用デバイスとしても優秀です。
Miracast機能を利用することでペアリングしたスマホの画面をVIVE Flowにミラーリングし、
・YouTube
・Netflix
・Amazonプライムビデオ
をVR空間の大画面で楽しめます。
グラス型のため一般的なVRゴーグルよりも軽く、寝ながら装着していても邪魔にならないので、リラックスした姿勢で大迫力画面の映像を見ることができるのがメリットです。
VIVE FlowはHTC社のエンタープライズ向けメタバース「VIVE Sync」に対応しています。
自宅であれ外出中であれ、VIVE Flowを装着してVIVE Syncにログインすればアバターを通じて
・バーチャル会議
・VRプレゼンテーション
に参加して同僚とリアルなコミュニケーションをすることが可能です。
また、VIVE FlowはVRChatにも対応しているので、ビジネス用途以外の楽しいメタバース体験もできます。
現時点ではVIVE FlowでのVRChat体験は限定的なものにとどまっていますが、HTC社は今後クロスデバイスにより様々なデバイスとのSNS交流を目指すとのことです。
画像:Curious Alice
VIVE FlowではVRでは外せないゲームも楽しめます。
HTCのアプリプラットフォームVIVEPORTを通してゲームをダウンロードしてプレイすることが可能です。
リリース時にはVIVE Flow対応のゲームとして『不思議の国のアリス』の世界を楽しめる「Curious Alice」が紹介されていました。
とはいえ、OculusQuest2やVIVE Focus3のように専用コントローラーがないため、楽しめるゲームも限定的です。
例えば、VRゲームではおなじみの
・ガンシューティング
・音楽・リズム
・スポーツ・フィットネス
といったジャンルはVIVE Flowには向いてません。
ただし、具体的な日時は不明ですが、VIVE Flowのシステムアップデートでハンドトラッキング機能が追加される予定とされています。
手の動きで操作できるようになった場合、VRゲーム用としても有力なデバイスとなるはずです。
VIVE Flowは、VIVE Pro2をはじめとするこれまでのVIVEシリーズのデバイスで採用されてきたヘッドセット型のデザインではなく、装着しやすいメガネの形をしています。
というのも、VIVE Flowはこれら先行のデバイスとはコンセプトが大きく異なっているからです。
これまでのVIVEシリーズのデバイスはエンタープライズ向けを中心にハイエンドなVR体験を提供してきました。
それに対して、VIVE Flowは
・マインドフルネス
・アート・動画鑑賞
が用途の中心になるなど、これまでVRにあまり馴染みのなかったライトユーザー向けのデバイスとなっています。
また、VIVEシリーズのデバイスはオフィスなどでの利用を前提としていることから、PCに接続したり、Wi-Fiによるネット接続となっていました。
その点、VIVE Flowでは5Gでインターネットを利用することができるので、外出先でも単体で手軽にVR体験ができるようになっています。
Vive Flowを利用するためには、AndroidスマートフォンにVIVEアプリのダウンロードが必要です。
アプリをダウンロードしたAndroidスマホとBluetoothでペアリングさせて利用します。
ダウンロードしたアプリを起動しデバイス選択画面で「VIVE Flow」を選択し、「開始」をタップしたら、画面の指示に従ってVIVE Flowとスマホのペアリングを進めていきます。
ちなみに現状では、iPhoneなどのiOSデバイスには対応していません。
対応するスマホは以下のページで確認可能です。
ペアリングしたスマホはそのままVIVE Flowのリモコンとして活用可能です。
画面を上下左右の4つのエリアに分け、通常のスマホと同じようにタップやスワイプで操作します。
配置はややわかりにくいという声が多いものの、VIVE Flowをかけたままでもスマホ画面を確認できるので直感的な利用が可能です
重量 | 189g (1.2mケーブル込みで+50g) |
解像度 | 両目3.2K(片目あたり1600 x 1600) |
視覚サポート | 焦点距離調整により、それぞれのレンズの焦点を簡単に補整 |
視野角 | 最大100度 |
リフレッシュレート | 75Hz |
トラッキング方式 | 2個のカメラによるインサイドアウト形式の6DoFトラッキング |
ビデオパススルー | ビデオパススルーにより環境認識に対応 |
電源 | 外部電源 (モバイルバッテリーなど) |
接続 | ・USB-C ・Wi-Fi ・Bluetooth 5.0 |
SoC | Qualcomm Snapdragon XR |
メモリ | 4GB RAM |
ストレージ | 64GB ROM |
オーディオ | ・空間オーディオ対応のステレオスピーカー ・エコーとノイズキャンセリング機能付きデュアルマイク ・Bluetoothヘッドホン対応 |
対応機種 | Android P以降 |
価格 | 59,990円 (税込) |
HTC社の最新VRデバイス「VIVE Flow」は、VRに馴染みがなかったユーザーに向けたVRグラスです。
そのため、これまで同社が対象としていた法人やハードなVRゲーマーのような本格的なVRコンテンツではなく、
・瞑想
・動画視聴
を中心とした比較的ライトな利用が想定されています。
また、これまでVRの利用の大きな妨げとなっていたVRヘッドセットをかぶることへの抵抗感も、メガネ型にすることで解消したことも注目です。
VRユーザーの裾野を広げていくことで、VR市場の成長に大きく貢献しうるデバイスとなるのではないでしょうか。
ただし、対応するスマホがAndroidのみとなっており、iPhoneユーザーが多い日本国内での普及にはやや時間がかかるかもしれません。
今後VIVE FlowがどのようにVR業界にインパクトを与えていくのか期待したいですね。
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