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元はPC(HTC Vive/Oculus Rift)用のVRゲームとして開発され、現在はPSVR版も販売されている一人称視点のゾンビシューター『Arizona Sunshine』。VRゲームを販売する各種ストアのセールでもしばしば目玉商品の一つとして取り上げられるこの作品のPSVR版に新たな無料DLCが配信され、Hordeモードのマップが2つ追加される。
SteamでのPC版リリース日は2016年12月7日なので、あと1週間ほどで発売から1年となるArizona Sunshine。既にVRゲームとしては定番となっている作品だが、現在もアップデートが続けられている。
また、Steamでもまだ数が少ないWindows Mixed Realityヘッドセットへの対応が明記されたVRゲームでもある。
VRゲームに限らず、テレビゲームを開発するにはコストがかかる。多くのスタッフが関わる大作になるほどその金額は大きくなり、コストを回収するのが難しくなる。
また、コストがかかるのは開発中だけではない。オンラインプレイが可能なゲームではそのためのサーバを運営する必要があり、季節に合わせて期間限定のイベントなどを開催するなら発売後もある程度の運営資金を計算に含めておかなければならないからだ。
過去のテレビゲームでは、ゲームソフトの販売によって開発費用を回収し、利益を上げるというのが一般的だった。もちろん関連グッズの売上なども重要だが、やはり基本となるのはゲーム本体の売上だ。
対して、最近リリースされるPCゲームやスマートフォンのゲームアプリではFree to Play(基本無料)という形式のゲームも珍しくなくなっている。こうしたゲームはどこで利益を得ているのかというと、有料DLC/課金アイテムの販売やゲーム内で表示される広告からの広告収入である。または、その作品を提供すること自体が最新作のプロモーションということもあるだろう。
後者のスタイルであれば継続的に収入が得られるため、人気が続く限り更新も続けられる作品が多い。逆に人気が落ちるとそのままサービス終了となってしまいやすいので、どちらが良いとも言いにくいところだ。ゲームの課金システムに対する評価は、各人のプレイスタイルによっても大きく異なるだろう。
ゲームによっては新作同然に大きく内容が変わる大ボリュームのDLCが提供されることもあるが、ゲーム本体を補完する本編の後日談・外伝的なエピソードや新キャラクターを追加するデータなどがDLCとして販売・無料配信されることが多い。大きな変更がある場合はそれだけ開発コストもかさみがちであり、(有料)DLCではなくシリーズ新作という形になるのが一般的だ。
しかし、最近では無料DLCで大きな更新が行われる、オリジナルの所有者に無料でリマスター版が配信されるといったパターンもある。
Steamでオリジナル版を登録している所有者に映像表現の向上などが施されたスペシャルエディションを配布したゲームとしては、最近PSVRでも発売されたスカイリムが挙げられる。
オリジナルは古いゲームながら現在も人気が続いており、Creation Clubから追加の有料コンテンツを購入してもらうためにこのような対応になったものとみられる。
VRへの対応を新作として行うのではなく、既存タイトルに無料で追加してしまったのがPayday 2だ。スペシャルエディションを無料で提供したスカイリムやSerious SamシリーズでもVR版は別のゲームとして開発している中、無料でVR機能を追加した太っ腹なタイトルである。
現在はUltimate EditionのみでSteamから個別DLCを購入できない状態となっているが、有料DLCを追加しつつ4年に渡って更新を続けているゲームだからこそできたことかもしれない。
Arizona Sunshineは上で挙げた作品に比べるとリリースからの期間が短く、まだ1年にもなっていない。しかし、現時点では有料の追加コンテンツを次々と追加していくタイプの作品でもないようだ。売り切りタイプでは発売以降更新されないゲームも存在する中で、かなり積極的にアップデートが続けられている作品と言えるだろう。
初期に比べれば更新頻度は落ち着いているが、PC版も日本語の追加などのアップデートが行われてきている。
今回行われたPSVR版のアップデートでは、Hordeモード(最大4人のプレイヤーでゾンビの大群と戦い続けるモード)に2つの新しいマップが追加される。全くの新規コンテンツというわけではなく、PC版では今年の初めから存在したマップだ。
PC版をプレイしたことがあれば内容的には変わらないが、PSVR版しか持っていないならば嬉しいアップデートだ。
どんなに人気のあるゲームでもいつかは終わりが来るものだ。最新ハードで発売された人気作品にプレイヤーが流れてしまうことも考えられるし、シリーズの新作が登場すれば旧作のプレイヤーは少なくなるだろう。
変化のないゲームからは徐々にプレイヤーが減っていくものなので、ゲームのアップデートが行われることはその寿命を延ばすために重要だ。細かなバグの修正やちょっとした新アイテムの追加だけであっても、アップデートは「まだそのゲームを忘れていない」というデベロッパーからのメッセージとなる。
ゲーム開発も仕事であり、デベロッパーが利益を得て新作の開発を続けられることが第一だ。だが、直接売上に繋がらないとしても過去作品のアップデートはデベロッパーがどの程度自身の作品を愛しているのかをプレイヤー示す要素である。その姿勢は、新作の売れ行きにも影響しているのかもしれない。
参照元サイト:Road To VR
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