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近日中にリリースされるiOS11に実装されるARKitおよびGoogleが発表したARCoreを使ったアプリには、スマホの利便性を一段と高める期待が寄せられている。この期待は、おそらく正しく報われるだろう。そして、このふたつのモバイルAR開発環境は、スマホによるコミュニケーションにも変革をもたらすように思われる。
こうしたハイエンドなモバイルAR体験によるコミュニケーションを可能とするソフトウェアが公開された。アメリカのスタートアップTenorは、ゲームエンジンUnityおよびARKitに対応したモバイルAR開発環境「Tenor GIF SDK」をリリースし、あわせてデモ動画も公開した。
同開発環境によって可能になることは、簡単にいうとUnityあるいはARKitで開発されたARアプリにGIF動画を挿入する機能を追加できることだ。GIF動画を挿入できることによっていかに表現力が広がるかは、以下の動画を見るとわかるだろう。
同開発環境によって挿入されたGIF動画は、スマホディスプレイに写った友だちに対して「吹き出し」のように表示される。友だちが写っていなくても、AR動画広告のようにGIF動画をAR表示することができる。
同開発環境と親和性が高いスマホアプリのジャンルは、InstagramやSnapchatのようなSNSアプリだろう。撮影した静止画や動画にGIF動画を挿入してシェアすれば、よりフォロワーの目をひくのではなかろうか。
実際、Tenor社と調査会社Harris Pollがアメリカの18~44歳の男女を対象に調べたところによると、64%のヒトがGIF動画は絵文字より印象的に感情を伝えることができると考えていることがわかっている。
以上のような「Tenor GIF SDK」は、本記事下部に示す公式ページから無料でダウンロードできる。公式ページには、サンプルコードをアップしたGitHubページのリンクもある。
Tenors社は、2014年に創業されたアメリカ・サンフランシスコに拠点をおくスタートアップである。
同社創業メンバーは、オンラインビデオ・ビジネスに数年携わっていた経歴をもち、現在同社は40人のスタッフを抱え、3つのオフィスを活用している。
同社はこれまでに1,500万ドル(約16億円)の資金調達に成功しており、コンテンツ配信パートナーとしてFacebook、Apple、コンテンツ開発パートナーとして21世紀Fox、DreamWorks、Netflix、Sony、ワーナーブラザーズ等が名を連ねる注目の企業である。
本メディアで度々紹介しているARKitとARCoreを使って開発されたハイエンドなモバイルARアプリには、スマホによるコミュニケーションを進化させる可能性が秘められている。
本メディア2017年9月5日付の記事で紹介したARKitアプリ「Neon」は、ユーザーが行きたい目的地に何らかのテキストメッセージをAR表示するナビゲーションとコミュニケーションが複合しているアプリだ。
同アプリは、友だちとの待ち合わせに便利なことはもちろんのこと、広告にも応用できそうだ。
ARCoreアプリ「ARCore Drawing」は、その名の通りARCoreによって開発されたARドローイングアプリだ。
同アプリのARドローイング機能それ自体は、コミュニケーションツールとして機能することはない。しかし、描く内容によってはソーシャルなアプリにもなるし、コミュニケーションツールとして機能するだろう。
「インスタ映え」という言葉が示すように、昨今のスマホによるコミュニケーションでは画像や動画の演出が重視される傾向にある。こうしたなか、ハイエンドなARアプリの登場は、スマホによるグラフィカルなコミュニケーションにさらなる表現力の拡大を約束してくれるだろう。
「Tenor GIF SDK」公式ページ
https://tenor.com/gifapi/unity-ar-gif-sdk#
モバイルAR開発環境「Tenor GIF SDK」のデモ動画を紹介したVentureBeatの記事
https://venturebeat.com/2017/09/07/tenor-lets-developers-put-gifs-into-augmented-reality-apps-and-games/
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