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HTCが昨年から世界で販売しているVRヘッドセット、HTC Vive。
ViveはハイエンドPCに有線で接続して使うタイプのVRヘッドセットで、同種のライバルデバイスとしてはOculusのOculus Riftがある。
以前はVive、Rift共に本体とハンドトラッキングコントローラーのみで10万円を超える(利用には高性能GPUを搭載した高価なパソコンも必要になる)ほどの高価なデバイスだったが、Oculusの値下げによっていつのまにか価格に大きな差が開いてしまっていた。
8月21日にHTCがViveの値下げを発表し、再び両者の価格が近づいた。
HTCは発売以来Viveの価格を維持してきたが、ライバルのOculusはRiftを二度値下げしている。
一度目は2017年の3月で、この値下げによってViveに価格面で差を付けた。
二度目はこの夏になってからだ。現在、OculusはRiftとTouchコントローラーのセットをサマーセール価格の5万円で提供している。
このセールが終了してからも、セール以前の価格より100ドルの引き下げを行う予定だと発表された。日本での価格は発表されていないが、6万円前後になるのではないだろうか。
Oculusによる一度目の値下げで価格の優位を取られ、二度目の値下げでその差を広げられてしまったHTC。
しかし、HTCはViveの値下げを行うつもりはないとコメントを発表してきた。
一度目の値下げに対しては直後にスポークスパーソンが「Riftに対抗してViveの値下げを行うつもりはない」と発表した。
理由は
「私たちは、Viveの価格を改定する必要性を感じていません。Viveは市場で大きな成功を収めており、現在もその勢いは継続しているからです」
と説明された。
さらに、二度目の値下げが行われる前の今年6月にも価格改定を実施していない理由をVR部門のゼネラルマネージャー、Daniel O’Brienが語っている。
このときには、優れたルームスケールVRへの対応が価格を維持している理由として挙げられている。Oculus RiftもHTC Vive同様にルームスケールVRに対応しているが、Viveの方がより優れた体験を提供するという。
没入感を高めるだけでなくゲームのスコアに繋がることもあるといわれるプレイエリアの広さに加え、外部に設置するセンサーをPCと有線接続する必要がないことがViveの強みだ。
また、HTCは低価格ではなく優れた価値を提供しようとしていると説明された。同社はViveの価格を単純に引き下げる代わりにVRゲームやゲーミングPCとViveのセット販売を行い、ユーザがお得にViveを購入できるようにしてきた。
O’Brienが説明していたように、HTCはViveの購入者に対して様々な特典を提供している。
いつViveを購入してもViveportのサブスクリプションプラン(月額800円で多くの対象タイトルから5本のVRタイトルを利用できる)の一ヶ月無料券が付いてくることに加え、購入国や購入時期によってはさらに多くのVRゲームが付属することもある。
現在は、日本からViveを購入すると『Google Tilt Brush』『Everest VR』『Richie’s Plank Experience VR』の3タイトルが付属するようだ。過去には『乖離性ミリオンアーサー』と『エニグマスフィア』がバンドルされたこともある。
日本以外では、『Front Defense』のVRゲームとVive保護アクセサリが付属する限定バンドルもオーストラリア向けに提供されていた。
バンドル戦略などによってデバイス価格の引き下げを避けてきたHTCだが、ついにViveの価格を引き下げることが発表された。
改定後の価格は、日本だと77,880円になる。
地域によって価格差があり、アメリカでは599ドル(6.5万円)、カナダでは799カナダドル(7万円)、ヨーロッパでは699ユーロ(9万円)、イギリスでは599ポンド(8.4万円)、オーストラリアでは999オーストラリアドル(8.7万円)になるという。
為替レートの影響もあり、アメリカ大陸では日本よりも安め、ヨーロッパでは高めになるようだ。
HTCはここに来て価格を引き下げないという方針を変更したが、その理由は明らかになっていない。
最も考えやすいのはOculus Riftの二度目の価格改定に対抗しての値下げだ。一度目では200ドルの価格差だったが、二度目の価格改定によって300ドルも差が付いてしまう。セール価格で考えれば、Oculus RiftはHTC Viveの半額だ。
HTCはViveの高いルームスケール能力をアピールして「価値があるものを選ぶユーザがViveを選んでくれる」とコメントしていたが、価格は製品を購入するときの大きなポイントの一つだ。
多少劣る面があるとしても、半額ならば目を瞑るという消費者が多かったのではないだろうか。
もう一つ考えられるのは、HTCが開発する他のデバイスとの兼ね合いを考えた価格の調整だ。
HTCは今年中にDaydreamプラットフォームに対応した独立型のVRヘッドセットを発売するとされている。対応プラットフォームの違いはあるものの、パソコンとの接続が必要なViveがパソコンもスマートフォンも使わないこのデバイスよりもはるかに高い価格になってしまえば購入者は少なくなるだろう。
他社の競合製品に対抗したのではなく、自社デバイス同士が悪影響を与え合うのを避けるために価格を引き下げたということも考えられる。
Oculus Riftと再び価格を並べるところまでは行かなかったが、これで価格差は200ドルに縮まった。
Oculus Riftのセールが終了すればRiftは500ドルになると予告されているので、アメリカでの価格差は約100ドルだ。
HTCが主張するようにViveの性能が高いことを加味すれば、かなり競争力のある価格といえるのではないだろうか。
参照元サイト名:Vive(日本向けサイト)
URL:https://www.vive.com/jp/product/
参照元サイト名:Steam
URL:http://steamcommunity.com/games/358040/announcements/detail/2655289694760565797
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