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2017年、テーマパークのデザイナーやアトラクションの設計者が注目する技術の一つがVRだ。
加熱を続けるVR業界の中でもひときわ熱いスタートアップ企業の一つ、Spacesは中国にVRを使ったテーマパークを作ろうとしている。
SpacesはロサンゼルスのDreamWorks Animationから生まれた企業で、アメリカ、中国、そして日本の投資家から総額4,000万ドル(45億円)に近い資金を集めている。
テーマパークがVRをアトラクションに取り入れる理由はいくつもあるが、その一つがコストを抑えて低予算で新しいアトラクションを作れることだ。
広いスペースを移動できるロケーションVRでも、大型のコースターやライドを作るのに比べればコストは小さい。より小さなVR施設ならばさらに予算を抑えられ、既存の乗り物にVRを組み合わせて新しいアトラクションとしてリニューアルすることも考えられる。
一度アトラクションを作った後でも、コストをかけずにコンテンツを変えられるのも大きい。Nomadicのモジュール型施設ならば特に提供するVRコンテンツの変更が簡単だ。
アトラクション自体を大きく変更しなくても、季節に合わせて映像を一部変えればクリスマス仕様やハロウィン仕様、外部キャラクターとのコラボレーション企画などにも対応できる。
VR映像を見るだけではなく、ゲーム性のあるコンテンツにすればリピーターの確保も狙える。
自分のスコア更新を狙ったり、他の来園者との競争があったりすれば繰り返しパークを訪れるリピーターも増えるだろう。
Spacesが開発を進めるテーマパーク用のVRアトラクションは、まだプロトタイプの段階だ。だが、来年の初めまでには中国国内の少なくとも2箇所でオープンする予定だという。
これは中国でテーマパークを運営するSongcheng Performanceとの3,000万ドル(33.6億円)をかけた共同出資によって実現するもので、昨年の5月にはBlue Man Groupを招いて公式にセレモニーを行った。
Spacesの新しいアトラクションは、新しいライド、ステージ、ライブストリームを楽しみにする中国の2,300万人に届けられようとしている。
SpacesのCEOであり設立者の一人でもあるShiraz Akmalは、抱負を語った。
「私たちは、楽しくてワクワクする、素晴らしい未体験のアトラクションをお届けしたいと考えています。そのアトラクションの要素としてVRが使われます」
一見するとスタートアップ企業がいきなり簡単に中国の市場に入り込んだように見えるが、実はそうではないとAkmalは語っている。
この中国進出の背景には、中国でゲームの開発と販売を行うTHQのために10年に渡って中国でビジネスを行ってきた経験が存在するのだ。
「中国のためにかけてきた時間がここに来て報われたというわけです。一夜にして進出に成功したわけではありません」
中国でビジネスを行った経験があるということ以外にも、Spacesには強みがある。
メンバーはDreamWorks AnimationのDreamLabでVR開発のスキルを磨いてきた。また、Spacesが権利を所有する独自のキャラクターや技術も持っている。
こうした既存資産を上手く使うことができれば、利用できるものが少ない他のスタートアップ企業よりも有利な状態で戦うことができるだろう。
テーマパークのアトラクションと言えば乗り物に乗るか、ステージでのショーを見るようなものが主だった。だが、Spacesの開発するVRアトラクションはこれらとは異なる次のカテゴリーになるという。
Akmalの語った中でもポイントとなるのは、「変更できる」ところだろう。
同社のインタラクティブなVRコンテンツはロケーションベースなもので、しかも内容を変えることができるとされている。定期的に内容が変更されれば、繰り返しパークを訪れる来園者も毎回新鮮な気持ちで楽しめるアトラクションになるはずだ。
大型の乗り物を頻繁に改装するのは難しいが、VRならばそれが可能となる。
テーマパークのアトラクションを全てVRで置き換えられるならば、テーマパーク自体が不要になってしまう。VRを使って自宅をテーマパークにすることはできなくても、従来のアトラクションと役割を分担することでより楽しい施設を作ることができるだろう。
ディズニーランドはVRを使わないとしているが、付き合い方次第でテーマパークとVRは良い関係を築くことができそうだ。
参照元サイト名:Forbes
URL:https://www.forbes.com/sites/rebeccafannin/2017/07/17/vr-startup-angles-its-way-into-china-theme-parks-all-the-way-from-la/#16ae1c85c0a7
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