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Gear VRやDaydream Viewのような現行のモバイルVRヘッドセットには、2つの要素が欠けている。
1つはユーザの位置を追跡できるポジショナルトラッキング機能、もう1つは両手の動きをVRの操作に使用するためのハンドトラッキングコントローラーだ。
サムスンが昨年の12月にアメリカで出願した特許には、磁気を利用したハンドトラッキングコントローラーの技術が記載されている。
実際に開発が進められているのかどうかは不明だが、将来のGear VRでは高度なトラッキング機能を持つコントローラーが利用できるようになるかもしれない。
スマートフォンを使用するモバイルVRデバイスであっても、ポジショナルトラッキングを行うことが不可能というわけではない。
実際に販売されているVRデバイスに、アクセサリを追加することでポジショナルトラッキングに対応させている例も存在する。
ただ、いずれも一般販売には至っていない。
Antilatencyは、スマートフォンを使ったVRデバイスをポジショナルトラッキングに対応させようとしているスタートアップ企業だ。
同社のシステムでは、赤外線を発生させる装置と外付けのカメラを使うことでポジショナルトラッキングを実現している。
今年の5月には2億円を超える規模の資金を獲得しており、E3 2017でも製品を展示していた。
現在はポジショナルトラッキングのシステムを応用してハンドトラッキングコントローラーを開発しているという。
HTCが開発したVive TrackerをDaydream Viewに強引に接続してしまった例も存在する。
Vive Trackerは、あらゆるものをトラッキング対応のコントローラーにしてしまうアクセサリだ。スポーツ用品や大工道具はもちろん、プレイヤー自身の身体に複数取り付けて全身のトラッキングを行うことも可能である。
前者は開発段階で後者はVive Trackerのポテンシャルを示す実験でしかないが、これらのアイデアが実用化されればモバイルVRデバイスでもポジショナルトラッキングが実現する。
スマートフォンの一般的な操作方法といえば、本体のタッチパネルを指でタップやスワイプする方法だ。タッチ操作は普通にスマートフォンを使う分には便利だが、欠点もある。
動きの速いゲームなどでは、自分の指で画面が見えないという問題があるのだ。モバイルVRではさらに深刻で、ヘッドセットに装着した状態だと画面に触れるのは難しい。デバイスの種類によってはほとんど不可能だ。
最初に再生ボタンをタップしてあとは見るだけ、というVRコンテンツならば操作できなくても視聴できるが、VRゲーム用途には操作する手段が必要だ。
そのために利用されたのがBluetoothによってスマートフォンと接続できるコントローラーである。
ヘッドセット自体に内蔵されているものや一般的なゲームパッド型のものなど形は様々だが、こうしたコントローラーを使うことでモバイルVRでも体験の途中で操作がしやすくなった。
次にモバイルVRを操作するためのデバイスとして登場したのが、専用のリモコンだ。2016年の末に発売されたGoogle Daydream Viewにはリモコンが付属しており、サムスンも2017年春の新型Gear VRで追随した。
どちらのリモコンもOculus TouchやPS Moveのようなトラッキングに対応しているわけではないが、内蔵のセンサーによって「リモコン自体の移動」を認識することが可能だ。
ハイエンドVRデバイスのハンドトラッキングコントローラーと比べてしまうと没入感や操作の正確性で劣るものの、モバイルVRでの映像視聴が快適になってVRゲームのバリエーションも広がった。
価格の差を考えれば、十分な性能を持っていると言える。
今回サムスンが新しく特許を出願していたことが判明したのが、磁気を使ったコントローラーだ。この特許は昨年の12月23日に出願されている。
多くのトラッキングシステムが採用する赤外線ではなく、磁力を使ってコントローラーの位置を取得することができるとされている。磁場の発生源とコントローラーの位置関係から座標を割り出すようだ。
さらに、コントローラーの移動をVRの操作に利用するところまでが特許に含まれている。
特許書類に含まれた図を見ると、現行のGear VRで利用されているリモコンとは違って2つのコントローラーを両手で操作するようだ。リモコンよりも、ハイエンドVRデバイスのハンドトラッキングコントローラーに近いものになるとみられる。
また、手に装着する形のデバイスになっている点も興味深い。Valveの新しいモーションコントローラーであるKnucklesとよく似ている。
リモコンは手で握った状態で操作しなければならなかったが、この形であれば手を開いた状態で動かすことも可能となる。
文書では、コントローラーの座標を特定するための磁場を発生させる装置は「仮想現実提供装置に着脱可能」とされている。ヘッドセット本体に接続したまま使うことも、センサーとして外部に設置することもできるのだろうか?
今回の特許では触れられていないが、ヘッドセットから取り外した状態でセンサーを使うことができるならばポジショナルトラッキングも同時に可能になるかもしれない。
こうしたコントローラーが実際に開発されれば、モバイルVRはさらに充実した体験をもたらすことができそうだ。
参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/samsung-filed-patent-magnetic-vr-hand-controllers/
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