- 週間ランキング
同ブログによれば、GoogleはかねてよりVRコンテンツ開発者からマネタイズの手段を提供してほしいという声を聞いており、その声に応えるべくVRコンテンツに最適化された広告フォーマットを開発し発表した。こうした広告フォーマットが動作している様子は、以下の動画から確認できる。
同フォーマットを開発するのに心がけたことは、ユーザーに不快感を与えないことであった。
できあがったフォーマットは、バーチャルなキューブ(立方体)から構成されている。任意のVRコンテンツ内の下部に表示されているこのキューブには、広告画像が張り付けられている。専用コントローラーを使ってキューブをクリックするか、キューブを数秒間見ていると、キューブからビデオ・プレイヤーが展開され、広告動画が再生される。この広告動画は、2D動画だ。広告を閉じるのは簡単で、広告動画の表示された「Close Ad」をクリックすると閉じる。
同社は、いつくかのパートナー企業に同フォーマットをテストしてもらったところ、悪くない反響をえた、とのこと。
同フォーマットは、Android、iOS、Google Daydream、そしてGear VRへの対応を予定している。なお、同フォーマットを実際に試してみたい場合は、本記事下部に示すテスト申請フォームから申請後にテスト可能となるようだ。
広告媒体としてVRを活用する試みは、本メディアでもすでに多数報じている。
VR動画は、視聴者に動画が見せている内容あるいは状況に感情移入させる効果があることが知られている。この働きは「共感装置」という言葉で知られている。この「共感装置」という働きがあるために、VR動画は広告媒体として期待されているのだ。
本メディアが以前に報じた事例によると、VR体験したユーザーの81%がVR体験を家族や友人に話したいと思った、と答えたのだ。この事例からわかることは、VRを広告に適切に活用すれば、既存の広告媒体より多くの「口コミ」が期待できる、ということだ。
VR広告のビジネスモデルの一例として、「SpeAD(スペアド)」がある。
特徴は、VRコンテンツを利用するユーザーが、広告を見た時点で収益が発生する「gaze課金」という仕組み。VRゴーグル使用中画面がタップできなくなってしまうスマートフォン向けのVRコンテンツにおいて、ユーザーが広告を見ただけで収益が発生するというのは重要なポイントだ。
アプリ開発者にとって重要なポイントとなる収益の支払いについては、次のようになっている。
毎月月末に1か月分の収益を締め、収益の支払いは当月発生分を翌々月15日に支払い。ただし、収益の累計金額が5000円未満の場合は支払いが次月以降に繰り越し。振込手数料はアプリ開発者側が負担。
現在はβ版として提供されており、本記事下部に示すリンクからアクセスすることができる。
VRを広告として活用することに関しては、課題も指摘されている。
本メディアで以前に報じたのだが、マーケティングサービスのYes Lifecycle Marketingが行った調査では、広告にVRを利用しているマーケッターは8%しかいないという。35%はVRを利用するつもりがないか、使う予定があると答えている。残りの57%はどちらにも該当しないとした。
VRでの広告に挑戦した企業が少ないことは、広告主がマーケティングについて慎重になり、効率を考えていることを示してもいる。先の調査によると、マーケッターはソーシャル広告(68%)やビデオ広告(56%)といった効果が実証されたメディアへの広告を利用し続けているという。
企業が広告媒体としてVRを真剣に検討するようになるためには、VRヘッドセットのさらなる普及が不可欠である。VRの普及に関しては、本メディアで紹介したほぼ全ての未来予測レポートが長期的にはVRが普及することを主張している。現時点では、広告媒体としてVRはメインストリームとはとても言えないが、時間が経てばVR広告が当たり前の世界が到来するのではなかろうか。
Googleが開発したVR対応広告フォーマットテスト申請フォーム(英語)
https://goo.gl/forms/pokEwRCbsOc9Kjjv2
SpeAD(スペアド)β版公式ページ
https://spead.jp/
VRコンテンツ用広告フォーマットを発表したGoogle開発者向けブログ記事
https://developers.googleblog.com/2017/06/experimenting-with-vr-ad-formats-at.html
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.