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VRヘッドセットのメーカーにとって、ヘッドセットやVRコンテンツを購入してくれるユーザは間違いなく「お客」だ。だが、自社のデバイスで視聴・体験可能なVRコンテンツを作成してくれるデベロッパーも彼らにとっては重要な存在である。
Oculusはデベロッパー向けのサイトでデザインの改善やコンテンツの拡充を進めている。また、彼らからの質問に対応できるスタッフの増員も行っているようだ。
こうしたデベロッパー重視の動きが、VRコンテンツを開発するプラットフォームとしてOculus RiftやOculusと協力関係にあるサムスンのGear VRを選ぶデベロッパーを増やすことに繋がるかもしれない。Riftで利用できるコンテンツが充実すれば、合わせてユーザも増えていくはずだ。
初期のVRメーカーはいずれも、ユーザからの人気を集められるコンテンツを作ることで自社のプラットフォームに人を呼び込もうとしていた。各メーカーは社内にVRコンテンツを制作するためのチームを組織したり、外部のデベロッパーに資金を提供したりといった方法で自社のプラットフォームで独占的に販売するコンテンツを増やしていた。
こうして使われた資金によって、現在でも人気があるコンテンツのいくつかが作られたことは事実だ。特定のメーカーによるコンテンツの独占については批判があった一方で、その投資がVRコンテンツの成長に欠かせないものだというデベロッパーからの意見も出ていた。
VRデバイス自体が消費者に浸透しておらず、VRコンテンツを作っても数を売って制作資金を回収するのが難しい。この傾向は現在でも続いているが、最近では発売から一月で100万ドルの売上を達成したRaw Dataのような例もあって改善は進んでいると言えそうだ。
当時はさらに状況が厳しかった。最初期のVRコンテンツ市場を支えていたのは、メーカーによる投資だ。
Oculusはこうした投資を積極的に行っていた。FacebookによるVRコンテンツへの投資額は2億5千万ドル(277億円)に上る。この金額には、サードパーティのデベロッパーを支援するために使われたものと社内のVRコンテンツ制作チームのために使われたものがいずれも含まれている。
Facebookは5月14日、社内のVRコンテンツ制作チームであるOculus Story Studioの閉鎖を発表した。このチームは『Henry』や『Dear Angelica』といったストーリーを重視したVRコンテンツを制作し、高い評価を獲得してきた。特にHenryではエミー賞も受賞している。
優れた作品を制作してきたスタジオが閉鎖される理由として、FacebookのVRコンテンツに対する方針が変わったことが挙げられる。これまでは内部でのコンテンツ制作と外部デベロッパーのサポートを並行して行ってきたFacebookだが、今後は外部のデベロッパーにVRコンテンツの発展を託することになるようだ。
同社は社内での開発に充てていたリソースを外部デベロッパーの支援に回すとしている。この先の数年間で、これまでにVRコンテンツに対して投資したのと同額の2億5千万ドルを追加投資すると発表しており、今後もVRコンテンツの制作に対する後押しが弱まることはなさそうだ。
さらに、2億5千万ドルのうち5千万ドルはゲーム以外のVRコンテンツに対して使われる予定になっている。FacebookはサードパーティのデベロッパーによるVRコンテンツを通して、ゲーマー以外にもOculus Riftを利用するユーザが増えてほしいと考えているようだ。
デベロッパーを支援する方法は、資金提供ばかりではない。VRコンテンツの制作にはお金がかかるが、それ以外にも必要なものがある。最も大切なのは、情報だ。
VRコンテンツを制作するには、プログラムや3Dの知識が必要となる。さらに、VRならではのテクニックもある。初めてVRコンテンツを作りたいと考えるデベロッパーにとって、充実したチュートリアルやマニュアルほどありがたいものはない。
Oculusは、デベロッパーが望むサポートを実施するためにアンケートを実施している。そのアンケートから、彼らが望んでいるものはデベロッパー向けサイト・ドキュメントの改善やスタッフによるサポートの強化であることが判明した。
Oculusは彼らの期待に応えるために、デベロッパー向けサイトのナビゲーションを改善した。コンテンツの開発における重要な三つの要素である「設計」「開発」「配布」の各項目へのアクセスを簡単にし、検索機能の強化やクイックメニューの追加を行っている。
さらに、コンテンツの内容そのものも補強を進めている。
情報の少なさは、VR開発を始めるためのハードルになる。サイトで得られる情報が増えれば、VRへの参入に二の足を踏んでいたデベロッパーも開発に取り掛かるかもしれない。
Oculusはまた、デベロッパーとのコミュニケーションを密にしたいと考えてもいる。ブログへの投稿やニュースレターを通じて、社内での変化を彼らに届ける予定だ。一対一でのサポートを必要とするデベロッパーのために、対応可能なスタッフも多く集めている。
サポートの充実はデモ段階で開発がストップしてしまうコンテンツを減らし、ストアにより多くの、より優れたVRコンテンツが並ぶ未来をもたらすだろう。今回のサポート強化も、社内から社外へとコンテンツ制作の役割を移行させていくOculusの動きの一環と言えそうだ。
参照元サイト名:Venture Beat
URL:https://venturebeat.com/2017/05/16/oculus-is-pumping-up-support-for-its-developer-site/
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