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近年、ECサイトでのショッピングは私たちの日常の一部として根付いています。中でもファッションアイテムは人気が高く、いつでもどこでも手軽に購入できる便利さが魅力です。しかし、便利さの裏に隠れた課題もあります。多くの消費者が商品をカートに入れてから購入を思いとどまる事例が目立つのです。では、具体的にどのような理由で購入に至らないのでしょうか。今回は、株式会社シナブルが実施したファッションECサイトの利用実態調査を基に、カートに入れた後の消費者の行動を探ります。
株式会社シナブル(所在地:東京都豊島区、代表取締役社長:小林裕紀)は、ECサイトでファッションアイテムの購入経験がある方を対象にした「ファッションECサイト」の利用実態調査を行いました。この調査は、2024年10月7日から10月8日の期間に実施され、1,007人が参加。結果として、ECサイトでの消費行動や購入をやめる理由など、具体的なデータが浮き彫りになりました。
調査結果によれば、インターネットを通じてファッションアイテムを購入する際、約7割の人が「価格」を重視していると回答しています。その他にも、サイズやカラーの豊富さ、セールやクーポンの有無が重要な要素として挙げられています。このように価格に敏感な消費者は多いにも関わらず、購入をやめる理由が存在するのです。
調査で特に注目されたのが、「カートに入れた後に購入をやめる理由」についての回答です。以下の結果は、消費者が求める要素と実際の購入行動のギャップを示しています。最も多くの人が挙げた理由は「送料が高いと感じた」というもので、これは特にオンラインショッピングでの主要なボトルネックとなっています。送料が購入決定に影響を与える要因として長らく懸念されてきたことが、改めて証明されました。
次に多かったのが「カートに入れた後に気が変わった」という回答です。これは、購入を決定する際の購入意欲が変動しやすいことを示しています。オンラインショッピングは選択肢が多いため、他の商品やセール情報を見たときに気持ちが変わり、最終的に購入をキャンセルすることがあるのです。
ECサイトでは、ユーザー行動に基づいたパーソナライズド商品提案が重要な役割を果たします。調査の結果、パーソナライズド提案を受けたことがあると答えた人は約35.4%であり、それにより購買意欲が高まると感じた人も一定数存在します。具体的には、閲覧履歴や過去の購入履歴に基づいた関連商品の提案が、購買決定を後押しする要因となりえます。
他方で、パーソナライズド提案を受けたことがない人も64.6%と多く、この部分が顧客満足度向上の余地を示しています。特に、質の高い商品提案があれば、大幅に購入決定率が上昇する可能性があります。ECサイト運営者は、ユーザーの行動データを活用しつつ、より効果的な提案をする仕組みを整えることが求められます。
ECサイトでのファッションアイテム購入は、ますます日常的なものとなっています。これに伴い、消費者のニーズや行動についての理解がさらに重要です。調査によって明らかになった「カートに入れても買わない理由」は、今後のECサイト運営における戦略策定に大いに役立つことでしょう。
送料やパーソナライズド提案など、さまざまな要因が購入決定に影響を与えていることを考えると、今後のECサイトは顧客体験を向上させるための仕組み作りや工夫が求められます。特に誕生月のクーポンや会員限定セールなど、消費者に特別な体験を提供することで、リピーター獲得につながる可能性があります。また、パーソナライズド提案の強化が、消費者の購入意欲を引き上げる鍵となるでしょう。
執筆:熊谷仁樹