デジタルマーケティングとDX支援を専門とするコンサルティングファーム、Massive Act(マッシブアクト)。 
創業以来8期連続で増収増益を達成し、そのすべてのプロジェクトは既存顧客からの紹介のみで成り立っているといいます。 英国Financial Times紙の「アジア太平洋地域における急成長企業ランキング」においても、マーケティング部門で3年連続国内1位を獲得するなど、国内外から高い評価を受ける注目のDXファームです。

同社の特徴は、マーケ・広告運用/最適化といったフロント業務の支援から始まり、CRM、CX(顧客体験)領域へと垂直統合的に事業を拡大してきた点。デジタルエージェンシー的な、「多くの変数を組み合わせた費用対効果へのコミット」と、コンサルティングファームとしての「戦略思考」を掛け合わせ、顧客の事業成果に直結する本質的な変革を伴走型で支援します。
ユニークな経営方針も特筆すべき点。人的資本経営とDXを融合させた独自の経営スタイルは、国や第三者機関からも高く評価され、「JAPAN HR DX AWARDS」や「Tokyo Future Work Award」をはじめ、働きがいや柔軟な働き方に関する数々のアワードを受賞・認定されています。

なぜ、この「知る人ぞ知る」ファームは、実績を上げ続けられるのか。
その背景には、AI時代を見据えた独自のDX哲学、徹底した生産性向上と顧客への価値還元、さらには個の成長を組織の力に変える「メンバードリブン経営」がありました。
代表取締役の高萩遼介氏に、DXの最前線を走る次世代コンサルティングファーム「Massive Act」の強さの秘密を聞きました。(聞き手:デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏)

鈴木:Massive Actの事業内容について、改めて教えてください。

高萩:Massive Actは、デジタルマーケティングとDX支援を専門とするコンサルティングファームです。私たちの事業は、もともと広告運用からスタートしましたが、お客様の課題に向き合う中でCRM、CX(顧客体験)領域へと広がり、さらにデータ統合や複数領域を横断するプロジェクトが増えていきました。お客様と共に事業領域を拡大してきた、という感覚が強いですね。

Massive Actの特徴は、デジタルエージェンシーが持つ「費用対効果へのコミット力」と、コンサルティングファームが持つ「戦略思考と実効性」を掛け合わせ、企業の本質的な変革を伴走型で推進できる点にあります。多くのコンサルティングファームがERPのような業務改革から入るのとは対照的に、私たちは顧客接点であるデジタルマーケティングを起点に支援を開始します。これにより、抽象論や机上の空論で終わらせず、事業成果という具体的な結果に結びつけることを可能にしています。

当社は現在9期目を迎えておりますが、創業以来新規営業に頼ることなくお客様からのご紹介のみでプロジェクトの輪が広がり、8期連続で増収増益を続けております。成果にこだわる姿勢を評価いただき、信頼が新たな案件へとつながる持続的な成長構造を築くことができていると感じているとともに、お客様とのご縁に大変ありがたく思っています。

写真:Massive Act 代表取締役 高萩遼介氏

鈴木:新規営業を一切行わず、紹介だけで成長を続けているのは驚異的です。クライアントからの絶大な信頼は、どのようにして構築しているのでしょうか。

高萩:端的に申し上げると、「1社あたりにかける時間や提供価値の徹底」と「成果が見えるプロジェクト推進」に尽きるかもしれません。私たちは、社内の生産性を極限まで高めることで生まれた時間を、すべてプロジェクトのために使っています。

例えば、他社では分業化されて非効率になりがちな業務も、私たちはRPAやAI、データ統合の知見を活かして一気通貫で対応しつつ、独自の運用ルールにより、圧倒的な生産性を実現しています。また、代表である私自身も、必ずすべてのプロジェクトに一定の関与を持つようにしています。

プロジェクト推進においては、”動かし切る”ことを何よりも重視しています。データを最小単位で分析し、具体的なKPIや投資対効果(ROI)に落とし込みます。その上で現場や関連部門、経営層をつなぐ円滑なコミュニケーションを設計し、プロジェクトを確実に成果へと導きます。実際、お客様との関係は長くなる傾向にあり、創業当初から8年以上お付き合いのあるお客様もいます。プロジェクトの継続率は9割を超えており、こうした地道な信頼の積み重ねが、次のご紹介につながっているのだと考えています。

鈴木:大手コンサルティングファームとの違いはどこにあるのでしょうか。近年はMassive Actのようなブティックファームも増えていますが、その中でも成功している秘訣はどこにあるとお考えですか。

写真:デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏

高萩:大手との比較で言えば、言わずもがな私たちは少数精鋭で、生産性を高めることに特化した人材しかいないという点が大きな違いです。これにより、お客様の課題に対して非常に高い機敏性とコミット力を発揮できます。

一方、私たちの強みの1つに「再現性のある知見活用」があります。これは、社内に蓄積したナレッジデータベースと、独自に体系化した方法論によって支えられています。私自身がコンサルティングファームで培ったノウハウをベースに、それを小規模な案件でも展開できるよう、独自の「ディクショナリー(方法論の辞書)」として整備しているのです。これにより、限られた予算の中でも、トップクラスの分析手法やフレームワークを適用できる仕組みを構築し、支援の効率性と精度の両立を実現しています。そして、こうした方法論を活かす上で何より大切にしているのが、“実体験に基づく知見”です。『こうすれば成功する』という仮説だけでなく、『こうすると失敗する』という実体験に基づいた知見こそが、お客様にとって最高の価値になると考えています。

鈴木:AIの進化は、DXの意味合いを大きく変えつつあります。AI時代におけるDXをどのように捉え、変革を支援しているのでしょうか。また、技術進化に伴うリスクについては、どうお考えですか。

高萩:私たちは、AI時代のDXを単なる「効率化」のフェーズではなく、事業や働き方を「再定義」するフェーズだと捉えています。生成AIやRPAを活用することで、従来は人が担っていた分析やオペレーションの多くが自動化され、私たちやクライアントは、より高度な意思決定や事業変革そのものにリソースを集中できるようになりました。

AIによって単純作業や専門的な分析が代替されるからこそ、相対的に「人と人とのコミュニケーション」の重要性が増していくと考えています。0から1を生み出す創造性、組織やプロジェクトを動かすリーダーシップ、関係者の感情を察する共感力といった、まさに「人間力」が問われる時代になるのです。

社内でもAIは積極的に活用しています。リサーチの精度向上や、マーケティングの投資対効果を可視化するシミュレーターの作成などに役立てています。ただし、AIはあくまで副操縦士であるという認識を徹底しています。AIの生成物を鵜呑みにせず、必ず「人」主体で判断することの重要性を、社内でも常に共有しています。

一方、技術進化に伴うデータプライバシーへの配慮は不可欠です。当社はプライバシーマークを取得しているほか、プロジェクトごとに「どのデータを、どのように使うのか」を明確にする独自ルールを定め、お客様と共有するプロセスを重視しています。こうした透明性の確保が、リスクの低減と信頼関係の構築につながり、結果として変革の推進力になると信じています。

鈴木:Massive Actの組織作りや人材育成には、どのような哲学がありますか。数々のアワードを受賞されている背景についてもお聞かせください。

高萩:創業当初から、社員を経営の起点と考える「メンバードリブン経営」を行うことを意識しています。これは、社員の満足度が向上すればサービスレベルの向上につながり、それがクライアント満足度の向上につながるという考え方、つまりメンバー(従業員)を起点としたポジティブな価値の循環連鎖のことを指しています。このメンバードリブン経営の起点となるエンゲージメントを上げるために、会社が提供できる3つのVALUEとしてやりがい・環境・待遇を掲げており、それらを最大化させいかにバランスさせていくかを考えながら組織運営をしています。

こうした考えに基づき、社員への投資は惜しみません。給与水準は業界でも高く設定し、時間単価では他社の1.3倍程度を確保しています。また、フレックスタイム制の導入で過度な残業を防ぎ、退職金制度や保養所の整備といった福利厚生の拡充も進めてきました。

ただし、私たちは決して優しさや居心地の良さだけで成り立つ組織ではありません。経営理念や働き方への共感を重視するなかで、時に方向性の違いから新たな選択をした仲間もいます。難しい判断ではありましたが、この経験を通じて組織文化はより明確になり、残ったメンバーへの還元を強化することで、現在の精鋭体制が形づくられました。レスポンスの速さといった基本的なワークスタイルから評価制度まで、明確な規定を土台にすることで、個々が安心してパフォーマンスを発揮できる環境を設計しています。

数々のアワードを受賞できているのは、単なる制度や仕組みの導入ではなく、こうした「経営戦略と働き方を一体で設計していること」が評価された結果だと考えています。制度・働き方をDXの力で見える化し、改善し続ける。その取り組みが「人的資本経営×テクノロジー」という時代の潮流に乗り、外部からの評価につながっているのです。そして何より、これらの受賞は、社員にとって「自分たちの会社は国・官公庁や認定団体にも認められている」という自信と誇りになっています。

また、経営層のコミットメントと継続力も欠かせません。アワードや認定を取得し続けるために、制度や仕組みを形骸化させずにいかに文化として浸透させていくか――
その実現には、経営層の率先した姿勢と、本気で取り組み続ける覚悟が求められます。
私自身も制度を積極的に活用し、仕事とプライベートのバランスを取るよう心掛けています。そうした実践を通じて、メンバーにもメッセージが伝わり、企業文化として定着していくのだと感じています。

鈴木:最後に、Massive Actの今後の展望についてお聞かせください。

高萩:私たちは、勢いに任せて規模を拡大するのではなく、サステナブルな成長を目指しています。この変化の激しい時代において、もっとも重要なのは「続けること」、サバイブすることです。決して派手さはありません。しかし、プロジェクトの質を着実に担保しながら、堅実な経営を続けていきたいと考えています。

その上で、コア事業であるデジタルマーケティングとDX支援をさらに高度化させていきます。特に、生成AIなどの技術を実務に落とし込み、お客様が短期間で成果を実感できる「即効性のあるDXモデル」を確立することが当面の目標です。

そして、単なるツール導入ではなく、経営層の意思決定から現場のオペレーションまで一気通貫で伴走し、組織が自ら変革を回し続けられる状態をつくることが理想だと考えています。将来的には、国内で培った知見を世界に発信し、日本発のDXモデルを確立したいという夢も持っています。社会や技術が大きく変わる時代だからこそ、私たちは「変革の起点を創る」存在として、お客様の成長に伴走し続けたい。そう強く願っています。

【関連リンク】
株式会社Massive Act
https://massive-act.com/

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 APAC急成長企業ランキング常連。新規営業なしで増収増益を続ける“知る人ぞ知る”DXファーム、Massive Act(マッシブアクト)の戦略とは