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ウイングアーク1st株式会社が実施した調査結果を元に、物流業界におけるデジタル化の実態に迫ります。本調査は、中小企業(従業員数300名未満)で運送業務に従事する513名を対象に行われ、デジタル化が進んでいない現状や、その背景にある課題を浮き彫りにしました。
物流業界が直面している「2024年問題」は、特に「荷待ち・荷役作業時間」の改善が急務とされています。この調査から、荷待ち・荷役作業時間の完全可視化が業務の効率化に貢献する一方で、実際には1割にとどまっていることがわかりました。約9割の企業が未だに完全な可視化を実現していないという現状は、業界全体のデジタル化の遅れを示すものです。
さらに、調査結果では、41.4%の回答者が人手不足や人員体制を理由に「退職を視野に入れた経験」があると答えています。このことは、物流業界が慢性的な人手不足に苦しんでいることを示しており、これが業界の持続可能な成長を脅かしているのです。
具体的には、見積・受注・請求プロセスの懸念が61.2%を占め、多くの企業が依然としてアナログ作業や紙ベースのやりとりに依存していることが問題として挙げられています。配車・運行計画においても61.4%が人手不足を懸念しており、アナログ管理がどのように業務に悪影響を及ぼしているかが浮き彫りになりました。
このような現状に対して、デジタル化による業務効率化が期待されていますが、驚くべきことに半数以上の回答者が「デジタル化による人手不足問題の解決に期待できない」と回答しています。この不安の背景には、アナログ作業が減少することで業務が適切に進むと信じられていないことがあるのかもしれません。約6割の人が「アナログ作業が減ることでミスが減る」と期待しているものの、その一歩が踏み出せていない現実が存在します。
デジタルシステムを利用した自動計測は、すでに約50.7%の企業で導入されているものの、報告の不正確さや手作業によるデータエラーが課題として浮上しています。このような背景から、荷待ち・荷役作業時間の可視化に向けた取組みが必要であり、業界団体や各社との連携が求められています。
調査結果から見えてくるのは、物流業界全体のデジタル化が進まなければ、2024年問題の解決は難しいという現実です。業界の健全な成長には、まずは従来のアナログ業務をデジタル化し、効率的な業務運営を実現することが不可欠です。
このように、ウイングアーク1stの調査からは、物流業界におけるデジタル化の遅れや人手不足の深刻さが浮き彫りになりました。業界がこの課題に取り組まなければ、持続可能な成長は難しいという警告を私たちに投げかけています。これからの12ヶ月は、物流業界がデジタル化を加速させるための重要な期間となるでしょう。
【関連リンク】
ウイングアーク1st株式会社
https://corp.wingarc.com/
執筆:熊谷仁樹