ChatGPTが業務で56.0%に使われる現実。CloudIntの1,008名調査をもとに、導入実態、現場の不安、そして今後求められるスキルを整理します。生成AIは単なる効率化ツールではなく、エンジニアの役割を「使う力」から「導く力」へと再定義しています。

実務利用の現状とキャリア・スキルへの影響

CloudIntが2025年10月20〜21日に実施したインターネット調査(回答1,008人)では、業務で使用するAIツールのトップが「ChatGPT(56.0%)」であることが示されました。続いてGemini(旧Bard)27.1%」「GitHub Copilot23.1%」と並び、生成AIは既に開発現場の標準ツールとして定着しつつあります。利用目的は「コーディング補助(45.3%)」「ドキュメントの自動生成・要約(42.9%)」「アイデア出し・技術調査(42.0%)」が上位を占め、設計の前工程から資料作成まで幅広く活用されている実態が浮かび上がります。

一方で、AIの普及は不安も伴います。「仕事が奪われる」と感じる割合は、22.7%が「とてもある」、43.5%が「ややある」と回答し、合わせて約66%に達しました。将来の仕事の変化については「より創造的な業務や設計・上流工程の重要性が増すと思う」が53.1%で最多となり、「多くの定型的なコーディングはAIに置き換わると思う」が44.2%と続いています。これらの結果から、現場は単なる自動化を超え、人間にしかできない創造性や設計力の価値が相対的に高まると認識していることがわかります。

キャリア面では、AIスキルの差が将来に影響すると考える回答が多数でした。「ある程度差がつくと思う」52.6%と「非常に差がつくと思う」38.2%の合計で90.8%が、AI対応力が評価や昇進に直結すると見ています。メリットとしては「作業スピード向上(50.3%)」「ミス低減・品質向上(44.8%)」「アイデア発想補助(38.8%)」が上位に挙がり、効率化と品質向上の双方を期待する声が強い一方、懸念として「情報漏洩などのセキュリティリスク(36.1%)」「著作権・ライセンスの問題(35.2%)」「出力の正確性への不安(32.8%)」が目立ちます。運用面の障壁としては「社内ルール・ガイドライン未整備(34.9%)」「出力の信頼性への疑問(33.6%)」「情報漏洩の不安(30.3%)」が挙がり、ツール利用は個人スキルだけでなく企業ガバナンスの整備が不可欠であることを示しています。

では、現役エンジニアはどのスキルを重視しているのでしょうか。調査では「AIモデルの構造や仕組みの理解(例:Transformer等46.9%」「自社業務へのAI導入・PoC企画力36.3%」「プロンプトエンジニアリング33.2%」が上位に入っており、単にAIを「使う」だけでなく、仕組みを理解し業務に落とし込む力が重視されています。自由回答でも「創造性」「判断力」「チームで導く力」といった人間固有の価値に注目する声が多く、エンジニアの役割は「手を動かす」から「考え、評価し、導く」ポジションへと変わりつつあります。

総じて、ChatGPTをはじめとする生成AIの普及は、現場の生産性を押し上げると同時に、職務内容とキャリア評価の再定義を促しています。効果を最大化するには、技術理解とPoC企画力、プロンプト設計力を育てるとともに、セキュリティや著作権、出力精度に対する社内ルールと教育をセットで整備することが求められます。

詳しくは「CloudInt」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 ChatGPTと現場エンジニア、使う力から導く力へのシフト