株式会社アジャイルHRと株式会社インテージが毎年実施する1万人規模の全国調査(A&Iエンゲージメント標準調査)で、DXの「恩恵」を実感する社員ほど従業員エンゲージメントが高いことが再確認されました。規模や業種による違いと、特に「継続勤務意欲」への影響が注目点です。

業種・規模で異なるDX実感の現状

2023年から継続する本調査は、ワークエンゲージメントと組織コミットメントを合わせた「従業員エンゲージメント」と、それに影響を与える「仕事の資源」「価値観・ビジョンの共有」、さらにエンゲージメントがもたらす「アウトカム」を測る標準設問(A&Iエンゲージメント標準調査)を基盤としています。今年度は標準設問に加えて「DXの恩恵」に関する設問を追加し、現場の実感とエンゲージメントの関係を可視化しました。

分析の結果、「DXの取り組みで便利になった/働きやすくなった」という実感がある企業では、従業員エンゲージメントのスコアが一貫して高い傾向が確認されました。特に注目されるのは、アウトカム項目の一つである「継続勤務意欲」における差で、DXの効果を実感している社員とそうでない社員の間で大きな格差が見られます。すなわち、DXが働きやすさや業務効率を実際に改善していると感じられる職場では、社員の定着意向が高まりやすいということです。

また、従業員規模別の分析では、企業規模が大きくなるほど「DXの恩恵を感じる」割合が高まる傾向が確認されました。業種別では「情報通信業」が最もポジティブ回答率が高く、続いて「電気・ガス・熱供給・水道業」が上位に位置しています。一方で「農業・林業・漁業」「鉱業・採石業・砂利採取業」や「宿泊業・飲食サービス業」ではポジティブ回答率が低く、業種ごとの業務特性や投資余地、導入の優先度によって実感の差が生じていることが示唆されます。

これらの知見は、DXの単なる導入有無ではなく、「社員が恩恵を実感できるか」が人材確保や組織の持続力に直結することを示しています。大企業ほど恩恵を感じやすい背景には、投資規模や導入体制、横展開の容易さなど構造的な要因があると考えられますが、中小・サービス業では現場ニーズに合った小さな改善から実感を積み上げる工夫が重要です。

詳しくは「株式会社アジャイルHR」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 2025年調査で明らかに大企業で響くDX実感と業種差の実態