犬に歯磨きは必要?

人の唾液は中性に近い弱酸性ですが、犬の唾液は弱アルカリ性です。そのため、犬は虫歯になりにくいですが、歯周病にはなりやすいです。

歯周病になると歯茎に炎症が起こり、痛みや出血が見られます。これを放っておくと、炎症が歯を支えている部分まで広がり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

また、歯周病の細菌が血液中に侵入することで臓器にも悪影響が及び、心臓病や腎臓病などを引き起こす可能性があります。全身の健康に悪影響を与える歯周病を予防するために、犬にも歯磨きは必要です。

歯周病の原因は細菌の塊である歯垢で、これが歯肉に炎症を引き起こします。歯垢は、歯磨きによって取り除くことができますが、放置すると石灰化して歯石になります。歯石には歯垢が付着しやすく、細菌の温床となります。

犬の場合、3〜5日で歯垢が歯石に変化すると言われているため、できれば毎日、最低でも3日に1回は歯磨きをして、愛犬を歯周病から守りましょう。

犬の歯磨きの絶対NG行為は?

犬には歯磨きが必要ですが、間違った方法で行わないように注意が必要です。以下では、犬の歯磨きの絶対NG行為をご紹介します。

1.無理やり押さえつける

犬は口周りを触られるのが苦手なため、歯磨きを嫌がることが多いですが、無理やり押さえつけて歯磨きをするのは絶対にNGです。この行為は犬に強いストレスや恐怖心を与え、結果的にますます歯磨きを嫌がるようになる可能性が高いです。

また、押さえつけて歯磨きをしている最中に犬が抵抗して暴れると、歯ブラシで喉を突いてしまう危険性があります。

犬が歯磨きを嫌がる場合、無理は禁物です。歯磨きを嫌がらないようにするには、段階的に慣れさせていくことが大切です。

2.力を入れてゴシゴシ磨く

犬の歯をきれいに磨こうとすると、つい力が入ってしまいがちです。しかし、犬の歯茎はデリケートなため、力を入れてゴシゴシ磨くと、歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。

また、歯磨き中に犬が痛い思いをすると、次回から歯磨きを拒否するようになることもあります。犬の歯を磨く際は、歯ブラシを鉛筆を持つように軽く握り、1本ずつ優しく丁寧に磨きましょう。

3.歯ブラシを奥に入れすぎる

奥歯を磨くときに、歯ブラシを口の奥に入れすぎると、犬がえずいてしまうことがあります。また、口内を傷つけたり、犬を驚かせてしまったりする可能性もあります。驚いた犬が暴れると、歯ブラシが喉を突く恐れがあり大変危険です。

奥歯を磨く際は、歯ブラシが奥に入りすぎないように注意しましょう。

4.人間用の歯磨き粉を使う

人間用の歯磨き粉を犬に使用するのは絶対NGです。人間の歯磨き粉には、犬にとって有害な成分が含まれていることがあります。

例えば、キシリトールは、犬に中毒症状を引き起こす恐れのある成分です。犬がキシリトール中毒になると低血糖や急性肝不全を起こし、最悪の場合には死に至ります。犬には必ず、犬専用の歯磨きペーストやジェルを使用しましょう。

犬を歯磨きに慣れさせるステップ

犬は口周りを触られることが苦手なうえに、犬にとって歯ブラシは未知のものであるため、いきなり歯磨きを始めるのは難しいです。

犬に歯磨きを習慣づけるには、焦らずに少しずつ慣れさせていくことが大切です。以下に、犬を歯磨きに慣れさせる5つのステップをご紹介します。

1.口周りに触れられることに慣れさせる

まずは、口周りに触れられることに慣れさせましょう。犬の口周りに優しく触れ、触れさせてくれたらご褒美を与え、少しずつ触れる時間を延ばしていきます。

2.歯や歯茎に触れられることに慣れさせる

口周りに触れられることに慣れたら、次は歯や歯茎に触れられることに慣れさせます。優しく唇をめくり、歯や歯茎に触れ、すぐにご褒美を与えます。少しずつ触れる時間と範囲を増やし、奥歯まで触れられるようにしましょう。

3.歯磨きシートで磨く

歯や歯茎に触れられるようになったら、歯磨きシートで歯を磨く練習をしましょう。歯磨きシートを指にしっかり巻きつけ、まずは前歯や犬歯から磨きます。慣れてきたら、少しずつ奥歯まで磨く範囲を広げていきましょう。

歯磨きシートがなければ、濡らしたガーゼでも大丈夫です。犬が嫌がったらすぐにやめて、また別の機会に練習しましょう。

4.歯ブラシに慣れさせる

歯磨きシートでの歯磨きに慣れたところで、いよいよ歯ブラシを使いますが、いきなり犬の口の中に入れるのは避けましょう。まずは歯ブラシに慣れさせて、警戒心を解いてあげることが大切です。

歯ブラシを口元に近づけたり、歯ブラシに歯磨きペーストやジェルを少しつけて舐めさせたりして、徐々に歯ブラシに慣れさせていきます。

5.歯ブラシで磨く

歯ブラシに慣れたら、歯ブラシで磨く練習を始めましょう。最初は数秒から始め、徐々に磨く時間と範囲を増やしていきます。大きく口を開けなくても磨ける前歯や犬歯から始め、慣れてきたら奥歯を磨くようにするとよいでしょう。

歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当てて、軽い力で左右に小刻みに動かし、1本ずつ丁寧に磨くのがポイントです。歯と歯茎の境目の歯垢を取り除くように意識して磨くとよいでしょう。

最終的には、歯の外側だけでなく内側も磨けるようにしましょう。

まとめ

歯磨きは、全身の健康に悪影響を与える歯周病から愛犬を守るために必要な習慣です。しかし、以下の行為は、愛犬が歯磨きを嫌がるようになったり、怪我をしたり、健康を害したりする可能性があるので絶対に避けましょう。

  • 無理やり押さえつける
  • 力を入れてゴシゴシ磨く
  • 歯ブラシを奥に入れすぎる
  • 人間用の歯磨き粉を使う

愛犬に歯磨きを習慣づけるためには、少しずつ慣らしていくことが大切です。以下のステップを参考に、ゆっくりと進めていきましょう。

  • 口周りに触れられることに慣れさせる
  • 歯や歯茎に触れられることに慣れさせる
  • 歯磨きシートで磨く
  • 歯ブラシに慣れさせる
  • 歯ブラシで磨く

時間はかかるかもしれませんが、愛犬の健康のために、ぜひ歯磨き習慣をつけてあげてください。


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情報提供元: わんちゃんホンポ
記事名:「 犬の『歯磨き』絶対NG行為4選 間違った方法で怪我を引き起こす可能性も