『犬は飼い主に似る』って本当なの？表情や気質への影響や犬本来の性格に合わせた注意点を研究結果と併せてご紹介

本当なの？「犬は飼い主に似る」といわれる根拠とは？

犬の散歩をしている人を見て「何だか飼い主とワンコが似ているなぁ」と思ったことはありませんか？実は「犬が飼い主に似る」というのは決して迷信や思い込みではありません。飼い主と犬との間に生じる影響について科学的根拠が示されています。

まずご紹介するのは、米ミシガン州立大学の社会心理学者、ウィリアム・J・チョピク氏が2019年に発表した論文です。人間とイヌとの絆に興味を引かれ、その関係性について調査したものです。

1600匹以上の飼い主を対象に、犬の行動や性格について大規模な聞き取り調査を行いました。さらに飼い主自身の性格についてもアンケートを実施。その結果、犬と飼い主は性格の特徴が似ていることが明らかになりました。

社交的な飼い主は「自分の犬は興奮しやすくアクティブ」とする答えが多く、神経質な飼い主は「自分の犬は怖がり」と評する傾向が強いものでした。

このように飼い主と犬の性格の類似性を示した研究は、ドイツを始め多くの国で発表されているのです。

一方、性格だけではなく、犬と飼い主は顔つきが似るという研究もあります。米カリフォルニア大学では、犬と飼い主の顔写真を用いて、正しいペアを組み合わせる研究論文が2004年に発表されました。

その結果は、偶然以上に正解を出すことができたという驚くべきものでした。同様の研究は、2009年に行われた関西学院大学の中島定彦教授による、犬と飼い主のペアをつくる実験においても「犬と飼い主は目つきが似る」という結論が出されました。

このように、飼い主と犬は顔つきも性格も似てくるという研究は散見されます。では具体的にはどのような理由が考えられているのでしょうか？

人は心理学上、なじみのものを好ましく思う「単純接触効果」により、見慣れた顔は好ましく感じます。よって、犬を飼う際にも自分の顔とよく似た顔の犬を選ぶのではないかと言われています。

顔つきだけではなく、自身の求めるライフスタイルに合う犬を無意識に選んでいるとも考えられるのです。

人間の場合、遺伝子に加えて生活環境が人格形成に大きな影響を及ぼします。一方、犬の性格は環境が変わっても大きく変化しないと研究者たちの間では通説でした。

しかしながら、犬種特有の気質や本能、生まれつきの性格に加えて、何年も一緒に生活をする飼い主との生活からは大きな影響を受けるとの見方が強まっています。

アクティブな飼い主は愛犬を屋外に連れ出す行動パターンが多いです。結果、犬は多くの人や犬と触れ合い刺激を受けることで、犬自身も『社交性が高く』なるということです。

性格だけではなく顔つきが似てくることも理由があります。前述の通り、心理学的な「単純接触効果」により、始めから自分と似た顔つきの犬を選んでいることが挙げられます。

元々犬は信頼している人の感情を読み取り、共感することができると言われています。長く共に暮らすうちに、飼い主の気持ちを敏感に感じ取り共感することが日常的に行われます。その結果として、シーンに応じた表情も似通ってくるようです。

当たり前ですが、犬も本来備わっている性格があります。今まで述べてきたとおり、自身の求めるライフスタイルに合う犬を無意識に選ぶ可能性はありますが、犬の性格が分かるポイントがあります。

例えば、「おいで～」と呼んでみてすぐに駆け寄ってくる子は、好奇心旺盛で活発な傾向にあります。一方、呼びかけにあまり反応を示さない子は、大人しく落ち着いた性格の個体が多いです。子犬でも成犬であってもその子の性格を知るポイントとなります。

お迎えを考えているブリーダーを訪れることも良いポイントです。育ってきた飼育環境を見て、親犬がどのような気質なのか、きょうだい犬とどのように触れ合うのかを見てみてください。一口に子犬と言っても実に個体差が現れているはずです。

「大人しいと思っていたらやんちゃだった」このような話はよく見聞きします。飼い主と犬は性格面でも顔つきでも似てくるとはいうものの、やはり犬本来の性格を大切にしてあげましょう。

愛情深く愛犬の身になって接することを心がければ、お互いにコミュニケーションが取りやすくなるはずです。

いかがでしたか。「犬は飼い主に似る」ことは様々な研究により明らかになっています。まだすべてが解明されたとは言い難いですが、愛犬と自分が似ている部分を見つけると、一層愛おしさが増しますよね。

飼い主さんと長くいることで性格や顔つき、体格までもが似てくることがあります。似てる似ていないに関わらず、あくまで愛犬が健やかに暮らせる環境を整えてあげることが大切です。素敵な愛犬ライフを送ってくださいね。

情報提供元：わんちゃんホンポ