犬にしてはいけない『夏のタブー』6選…絶対にダメと言われる理由、最悪の場合死に至ることも…
夏は犬にとって危険な季節!
人間は、全身に分布する「エクリン腺」という汗腺から汗をかくことで体温を調節しています。一方、犬はエクリン腺が肉球と鼻先にしかなく、全身からの発汗による体温調節ができません。
そこで犬は舌を出して、ハァハァと荒い呼吸(パンティング)を行うことで体温を下げます。パンティングによって唾液を蒸発させて熱を放散するのです。
しかしパンティングは、全身からの発汗と比べて効率が悪く、十分に体温を下げることが難しいという欠点があります。
さらに犬は、全身が被毛に覆われていて熱がこもりやすいです。全身から汗をかけない上に、全身が被毛に覆われている犬は人間よりも暑さに弱く、熱中症のリスクが高いです。
犬が熱中症を発症した場合、90分以内の治療が必要と言われています。治療が遅れると脳や内臓に後遺症が出たり、命を落としたりする可能性が高くなります。命に関わる熱中症のリスクが高い犬にとって、夏は危険な季節と言えます。
犬にしてはいけない夏のタブーは?
危険な夏から愛犬を守るために、飼い主には避けるべき行動があります。以下から、犬にしてはいけない夏のタブーをご紹介します。
1.エアコンで温湿度の調整をしない
熱中症は、高温多湿な環境で起こります。そのため、愛犬を熱中症から守るためには、エアコンによる室内の温湿度の調整が不可欠です。
エアコンを使わずに扇風機だけで乗り切ろうとすると、犬が熱中症になる危険があります。扇風機は汗が蒸発するときの気化熱を利用して涼しさを感じますので、人のように汗をかかない犬の場合はさほど涼しさを感じず、室内の温度や湿度を下げることはできません。
エアコンを使って室内の温湿度を調整し、涼しさを保つことが重要なのです。犬に留守番させる際も、エアコンをつけて出かけましょう。
犬が過ごす室内のエアコン設定温度の目安は大体24〜26℃くらいですが、快適に感じる温度は犬によって異なります。犬の様子を見ながら設定温度を調整しましょう。
湿度は50%前後を目安にしてください。気温はそれほど高くなくても、湿度が高い場合があります。そのような場合は、除湿(ドライ)機能を使って湿度を下げましょう。
なお、エアコンの冷たい空気は下にたまる性質があります。低い位置で生活する犬の体が冷えすぎないように、サーキュレーターや扇風機で空気を循環させることをおすすめします。
また、犬用ベッドやブランケットを用意しておくと、犬が寒さを感じたときに自分から暖まることができます。
2.炎天下の散歩
散歩の際、犬は地面に近い位置を歩くためアスファルトの輻射熱を受けやすく、人間よりも暑さを感じています。炎天下の散歩は、犬にしてみれば灼熱地獄を歩いているようなものでしょう。熱中症のリスクも非常に高くなります。
さらに、夏の直射日光を受けたアスファルトの表面温度は60℃を超えることもあり、靴を履いていない犬は、肉球を火傷する可能性があります。犬の熱中症や肉球の火傷を防ぐために、夏の炎天下での散歩は避けましょう。
夏場の犬の散歩は、早朝や夜間の涼しい時間帯に行くのが鉄則です。朝は5〜6時頃、夜は21時以降に散歩することをおすすめします。
散歩へ行く際は、出発する前に必ず飼い主が手で地面に触れ、熱くないか確認するようにしましょう。地面が熱い場合や、明らかに気温や湿度が高い場合は、散歩を控えましょう。散歩を控えた場合は、冷房の効いた涼しい室内で遊ぶのがおすすめです。
3.水分補給を怠る
犬は夏場、体温を下げるためにパンティングを頻繁に行うため、水分不足になりやすいです。飼い主が水分補給を怠ると犬が脱水になり、熱中症を引き起こす可能性があります。散歩や外出時には必ず犬のための飲み水を持参し、こまめに水分補給をしましょう。
また自宅では、喉が渇いたら犬がすぐに水を飲めるように、複数箇所に飲み水を用意しておくことをおすすめします。
普段からあまり水を飲まない犬の場合、飲み水に肉のゆで汁や犬用ミルクなどを少量加えると、飲んでくれることがあります。また、ドライフードを水やぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードを与えたりするなど、食事から水分補給するのも手です。
4.丸刈り
愛犬が夏を涼しく過ごせるように、サマーカットを検討する飼い主は少なくないでしょう。しかし、バリカンで丸刈りにするのは避けたほうがいいです。
被毛は熱を遮断する役割を果たしていますが、丸刈りにすることで日光の熱が直接皮膚に当たり、暑さを感じやすくなります。その結果、屋外での熱中症のリスクが高まります。
また、被毛は皮膚を守る役割も担っており、丸刈りだと紫外線の影響を受けやすくなります。
犬にサマーカットをするのなら、被毛の役割が果たされるように、生え際から数センチ被毛を残してカットしてもらうのがよいとされています。トリマーと相談しながら、愛犬に適したサマーカットを選びましょう。
5.車内に置いていく
犬と車で出かけた際は、絶対に犬だけを置いて車を離れないでください。窓を少し開けたり日陰に停車していても、エアコンを切った夏場の車内の温度は短時間で急上昇します。そのため、犬が熱中症になるリスクが非常に高くなります。
エアコンをつけておけば大丈夫だろうと考える人もいるでしょう。しかし、停車中は走行中に比べてエアコンの効きが悪くなるため、車内が暑くなってしまう可能性があります。
また、突然エアコンが故障したり犬がスイッチに触れたりして、エアコンが止まってしまう可能性もあります。
たとえ5分でも、夏場の車内に犬だけを残すのは大変危険です。必ず犬と一緒に誰かが車内に残るようにしましょう。それが難しい場合は、犬を車内に残すことがないようにスケジュールを立てたり、犬を家で留守番させたりしましょう。
ただし宿泊する場合は、犬だけで留守番させることができないため、ペットシッターやペットホテルを利用するか、家族や知人に預ける必要があります。
6.留守番中の停電対策をしない
夏場は、犬に留守番させる際もエアコンをつけて出かけることになりますが、停電対策をしておかないと、犬の命を危険にさらす可能性があります。
夏は、突然のゲリラ豪雨や落雷が発生しやすく、停電が起こることもあります。犬だけで留守番中に停電が起きた場合、エアコンが止まって室温が上昇し、犬が熱中症になる可能性があります。最悪の場合、死に至ることも…。
夏場、犬に留守番させる場合は、停電に備えた対策をすることが重要です。具体的な停電対策として、以下のようなことが挙げられます。
- 安全な冷却グッズ(クールマットや大理石ボード、水を入れて凍らせたペットボトルなど)を用意しておく
- 廊下や玄関など涼しい場所へ移動できるように、犬が通れるだけ部屋のドアを開けてストッパーをかけておく
- 停電復帰後に自動で運転を再開する機能が搭載されたエアコンや、エアコンなどの家電を遠隔操作できるスマートリモコンを活用する
- 水を複数箇所に用意しておく
まとめ
犬は人間よりも暑さに弱く、夏は犬にとって危険な季節です。命を奪いかねない熱中症から愛犬を守るために、飼い主は、以下の犬にしてはいけない夏のタブーは避けるようにしましょう。
- エアコンで温湿度の調整をしない
- 炎天下の散歩
- 水分補給を怠る
- 丸刈り
- 車内に置いていく
- 留守番中の停電対策をしない
愛犬の健康と安全に十分配慮しながら、一緒に楽しい夏をお過ごしください。
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