犬は人間が『糖尿病かどうか』を見分けられる?どうやって嗅ぎ分けているの?主な判断基準とは
犬が人間の「糖尿病かどうか」を見分ける方法
「糖尿病アラート犬」「低血糖アラート犬」という言葉を見聞きされたことがあるでしょうか。1型糖尿病患者が低血糖状態であること感知し、患者本人や家族に知らせることができる犬のことで、特別な訓練を受けています。
糖尿病アラート犬は欧米諸国で訓練されており、アメリカでは『リッチモンド糖尿病アラート犬育成プログラム』があります。また、日本でも「低血糖アラート犬」の養成プロジェクトが始動しているそうです。
そこで今回は、犬が人間の「糖尿病かどうか」を見分ける方法について解説します。
呼気に増える化学物質を嗅ぎ分けている!?
『1型糖尿病患者が低血糖状態であるとき、呼気中の化学物質が微量に増える』ということが、イギリスのケンブリッジ大学の研究チームによって発見されたそうです。
犬は、この変化に気づくことができるのではないかとされています。
糖尿病アラート犬として特別な訓練を受けることで、より正確に嗅ぎ分けることができるようになるのでしょう。
イソプレンの変化を嗅ぎ分けている!?
イギリスのケンブリッジ大学研究チームによると、『低血糖状態であるとき、1型糖尿病患者の呼気では「イソプレン」という炭水化物の一種である天然化学物質の値が2倍になる』としています。
イソプレンは、健康な人の呼気にも含まれる天然化学物質ですが、コレステロールが生産される際の副産物であると考えられています。
しかし、なぜ低血糖状態であるときに2倍にも増えるのか、そのメカニズムはよく分かっていないのだそうです。
糖尿病アラート犬とは
アメリカのオレゴン健康科学大学が行った調査によると、『糖尿病アラート犬が1型糖尿病患者の低血糖状態を正確に感知することができる確率は、わずか36%である』とされています。
実際低血糖は死に至る可能性のある危険なものですが、糖尿病アラート犬の存在があっても、100%救われるわけではないのです。
しかし、1型糖尿病患者本人や家族にとって、糖尿病アラート犬や低血糖アラート犬の存在は非常に大きいものだと言います。
なぜならそれは、「発作が起こる前に低血糖状態であることを知らせてもらうことができる」「ひとり暮らしの1型糖尿病患者にとって安心材料になる」「見守る家族の負担が減る」などの理由があるからです。
どうやって知らせてくれるの?
オーストラリアの糖尿病専門医であるストック氏は、自身が運営するクリニックの患者462人を対象とした調査を行い、低血糖状態であるときの汗を分析したそうです。
その結果、低血糖状態であるときの汗には、アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンなど、カテコールアミンが含まれていることを発見しました。カテコールアミンとは、副腎から合成・分泌される神経伝達物質を総称したものです。
1型糖尿病患者が低血糖状態であるときの汗に含まれるカテコールアミンは、犬に異常行動を起こさせるのではないかとしています。
そして、次のような行動で低血糖状態であることを知らせてくれることがあるようです。
- 服を噛んで引っ張る
- 家族を患者のもとに誘導する
- 患者を舐め続ける
- 患者の周りをソワソワと歩き回る
- 吠える
まとめ
犬がどのようにして低血糖状態であることを感知しているのか、まだ多くの研究や調査が必要なようですが、呼気や汗の変化を感知しているのではないかということが分かっています。
糖尿病アラート犬、低血糖アラート犬の存在は知られるようになってきていますが、欧米諸国でも実用化されたケースはそう多くありません。日本では認知もまだまだ低いです。
育成には特別な訓練が必要です。その訓練には多額の費用が必要であるため、実用化に辿り着くまでに相当な時間も必要なのでしょう。
1型糖尿病患者の命が救われるだけではなく、飼い主や家族を失った犬を訓練することで、犬の殺処分を減らすことができ、犬の命まで救われるのではないかとしています。
世界にはたくさんの働く犬が存在しますが、糖尿病アラート犬や低血糖アラート犬にもご興味を持って知っていただけると嬉しいです。
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