2011年4月にPlayStation3およびXbox360向けに発売されたゲームソフト「El Shaddai(エルシャダイ)」。同作のディレクター兼キャラクターデザイナーを務めた竹安佐和記さんの元に、こんなメールが届いたようです。

 問い合わせタイトルは「学校での、エルシャダイPVの、利用許諾について」。おそらく学生から、校内イベントにPVを使用してもいいか、という問い合わせだったと推測できますが、竹安さんはこれを「大丈夫だ問題ない」「1番いい使い方を頼む」と、PVのセリフになぞらえて回答。粋な対応を報告したXへの投稿に、絶賛の声が寄せられています。

■ ゲーム内容よりもPVが有名になってしまった?「エルシャダイ」

 「エルシャダイ」といえば、ゲームファンなら真っ先に例のPVを思い浮かべることでしょう。ジーンズに黒いシャツというラフな格好をした大天使「ルシフェル」と、堕天使達を天界へ連れ戻すべく戦う主人公「イーノック」の2人の掛け合いが繰り広げられる「ルシフェル編」が特に大きな注目を集めました。

 そのPV内で戦いに赴くイーノックに対し、ルシフェルは「そんな装備で大丈夫か?」と問いかけます。これに対し、イーノックが答えたのが「大丈夫だ、問題ない」というセリフ。自信満々の表情だったにもかかわらず、あっけなく堕天使たちに敗北してしまうさまが、ジワジワと笑いを誘います。

 その直後、時間が巻き戻され、再びルシフェルが「そんな装備で大丈夫か?」と問いかけるシーンに。先ほどの敗北から学習したのか、イーノックは「一番いいのを頼む」と、渾身のドヤ顔で答え、いい装備をもらったイーノックが襲い掛かる敵を終始得意顔で蹴散らし、ゲームの紹介が始まる、という内容でした。

■ シュールすぎる動画が話題に 当時のネット流行語大賞年間大賞も受賞

 このシュールなPVがニコニコ動画やYouTubeで大ウケし、ルシフェルの台詞「そんな装備で大丈夫か?」は2010年度ネット流行語大賞年間大賞金賞。あれから10年以上が経過した現在でも、PV内のセリフはネットミームとしてたびたび用いられています。

 この竹安さんの投稿にも「こんなサイコーな答え方で大丈夫か?」「そんな返信で大丈夫か?」と、ファンらからの愛ある問いかけが多数。いかに「エルシャダイ」という作品が愛されているかが、よくわかるコメント欄となっています。

■ 実はフリー素材として公式が許諾している「エルシャダイPV」 ただし禁止事項もあるので注意

 一方、学生相手とはいえ「これを許諾して大丈夫か?」という心配の声も。たしかに、公的な場面で公式のPVを使用するのは少し気になるところですが、実はこのエルシャダイPV、公式サイトにて著作権者である「株式会社crim」が「フリー素材」として使用を許可しているのです。

 もちろん、商品として再配布・販売(LINEスタンプ等も含む)することや、不適切な表現、誹謗中傷や、宗教活動・政治活動・反社会活動を目的とした物に使用することを禁止する等、いくつかの「素材利用に関するガイドライン」が設けられていますが、ルールを守れば個人・法人・商用問わず、無料で利用可能です。

 これを踏まえれば、竹安さんの対応も納得がいきます。いったいこの学生がどのような使い方をしたのかも気になるところですが、作り手の希望通り、「一番いい使い方」がなされているとよいですね。

(C)crim

<参考・引用>
竹安佐和記(Elshaddaiの人)さん(@Sawaki_Takeyasu
El Shaddai(エルシャダイ)公式サイト「エルシャダイ 無料倉庫
※記事に使用した画像は竹安佐和記さん公式Xおよびエルシャダイ公式サイトのスクリーンショット、エルシャダイ公式サイトにてフリー素材として配布されているものです。

(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024101605.html
情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 「大丈夫だ問題ない」学校でのエルシャダイPVの使用問い合わせにクリエイター自ら快諾