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最近の雑誌の付録の豪華さには目を見張るものがありますが、子ども向け雑誌の付録も侮るなかれ。2月29日発売の「幼稚園」(小学館)に付いてくるのは、なんと本物そっくりの「公衆電話」。
発売当日に早速入手してきたので、今回はどのくらい実物に近付けられているのか?チェックしてみたいと思います。
公衆電話と言えば、おそらく30代以上の方であれば、連絡手段として一度は使ったことがあるであろう機器でしょう。
青春時代は学校から親に忘れ物の連絡をしたり、恋人のポケベルにメッセージを送ったりしていた……なんて思い出がありますが、それも今や昔の話。携帯電話やスマートフォンの普及で徐々に台数が減り、今もまだ残ってはいるものの、以前よりも見かける機会は大きく減りました。
そんな公衆電話が、なぜ今幼児雑誌の付録に?と疑問は残りますが、とにかくその懐かしさに惹かれた筆者。実際に手に取ってみたい衝動に駆られ、家にはもう園児がいないにもかかわらず購入してみることにしました。
自宅で開封してみると、大きな紙のパーツ台紙3つに、輪ゴムがひとつ、ウレタン製の紐、そしてプラスチック製のボタンと数字のシール、紙のテレホンカードや硬貨が出てきました。パッと見た感じでも、そうとう力が入っていますね……!
マニュアルを見つつ、指定された工程通りに組み立てていきますが、目を引くのはやはりパーツのリアルさと細かさ。本体内部にもしっかりギミックが内蔵され、なんだか本当に公衆電話組み立ての業者になったようなワクワク感が味わえます。
ただしその分、作る手間は非常にかかりました。組み立て始めてから、完成までにかかった時間はおよそ1時間強。幼児向け雑誌の付録ではあるものの、大人が単独で作る、もしくは子どもと一緒に作ることが必須となるでしょう。
とはいえ、苦労した甲斐もあり、完成した公衆電話はまさに本物そっくり。高さは30cmほどと、実物よりもやや小ぶりではありますが、遠目から見たら実際の公衆電話と見間違ってしまうほどのクオリティには、ただただ驚きです。
加えて、内部ギミックにもこだわりが多数。受話器受けが上下したり、ボタンが物理的に押せたりなどは当たり前に、テレホンカードを挿入口から入れ、受話器を置くと下の排出口から出てきたり、硬貨を入れると返却口に落ちてきたりと、実際に使用頻度の高い基本的な動作部分は忠実に再現されています。
幼児向け雑誌の付録とは思えない本気度を感じる仕様に、ただただ驚きつつ、遊んでいるうちになぜここまで本物そっくりなのか、その理由に気付きました。それは「地震や火事等の災害時、小さな子どもでも公衆電話を使えるようにしておく」ためでしょう。
雑誌に書かれている内容によると、2018年時点で公衆電話を使ったことがない小学生は77%にものぼるのだそうです。2024年に再調査をしたならば、その割合はきっとさらに高くなっているはず。
たとえスマホを持っていたとしても、壊れてしまったり、充電が切れてしまっていては使うことが出来ません。その点、公衆電話はお金を持っていなくても警察や消防署に連絡でき、緊急時でも繋がりやすいという利点があります。
そんな”もしも”の時のために、小さなお子さんに公衆電話の使い方を教えておくには、まさにうってつけのツールと言えそう。付録には家の電話番号や個人の連絡先、購入電話の場所を書き込めるカードも付属しています。
大人にとっては懐かしい気分に浸れるのはもちろんですが、ぜひこれを機に、お子さんとともに公衆電話について理解を深め合ってみてはいかがでしょうか。
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024022903.html