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「服を買いに行く服がない」……ネット上では時折このような、ファッション難民たちによる嘆きの声が聞こえます。
たしかに、服を買いに行くタイミングって決まりがないですし、また今度でいいかな……と思っているうちに、着られる服がなくなっていた……というのは陥りがちなパターンかもしれません。
これはきっと「服を買いに行くのだから、少しでもおしゃれに見られたい(恥ずかしい格好は出来ない)」という願望の現れでしょう。たしかにその気持ちはわかります。下手な格好をしていくと、店員や周囲の客たちにジロジロと見られて恥ずかしい思いをしてしまいそうですもんね。
元アパレルショップ店長の筆者の見解としては、これが足が向かない理由であるならば全く気にする必要はありません。外出着であればどんな格好でもOK。あまり構え過ぎず、気軽に立ち寄って欲しい、というのが本音のところです。
筆者が勤めていた企業では、積極的に声掛けを行う方針ではありませんでしたが、接客をする際は相手の格好も好みを知るひとつの材料としていたので、むしろ普段着であればあるほど、より趣味嗜好に合った服がおすすめ出来るかなと思っています。
百貨店やブランドショップに行くのは、普段着ではさすがに敷居が高いかもしれませんが、ファストファッションを取り扱うお店であればあまり声もかけられないですし、深く悩まず買い物を済ませたい場合は「気に入ったマネキンの全身買い」もおすすめ。実際にこれで買っていく方も多いんですよ。
とはいえ、そんな普段着も持ってない……という「服を買いに行く服がない」ガチ勢の方には、便利な通販という手段もあります。
アパレル各社は特にオンラインショップの販売に力を入れていますので、ほとんどのブランドが自社でサイトを持っていたり、楽天やAmazonといった大手通販サイトに委託していたりしているはず。もしも気になるブランドがある場合には、そちらを調べてみるのも良いでしょう。口コミやレビューも参考に出来るのも、通販を利用するメリットです。
ただし、通販の場合は試着が出来ない、という大きなデメリットが。自分に合うサイズがよくわからない場合は、手持ちの服と、ページで案内されているサイズ換算表等と照らし合わせながら購入する必要があります。さらには、届いた現物は思っていた色味と違った……なんてことも。
タグを切ったりしなければ、基本的には返品や交換が可能ですが、これはこれで結構面倒な作業になってしまいます。そのブランドを普段から愛用している場合でなければ、やはり実店舗に行って現物を確認することをおすすめします。
アパレルショップの店員、と聞くと、成果主義で”デキる”販売員ほどゴリゴリ推してくる……という印象を持っている方も多いかもしれませんが、近年はそうやって購入を迫るより、リピーターの獲得に重きを置いて、相手に合わせた接客を行う方針のお店も多くなっています。
例えば「服を買いに行くための服がない」のであれば、季節を問わず着用できるものだったり、着回しがしやすいアイテムを選んでくれるといった風に、あなたの生活をより良くするために必要な服を、程よい距離感で提案してくれるはず。
もしも、ひと昔前に体験したイヤな接客が基になり、店舗に足を運ぶのが億劫になっている方や、アパレル店員に対してそうしたイメージを持っている方は、ぜひ改めて足を運んでみてください。もしも気に入るものがなかったとしても、きっと「また次も来ようかな」という気持ちになっているはずです。
【山口弘剛:筆者プロフィール】
鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育て中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動中。