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経営管理の領域において世界有数のソリューション企業であるウォルターズ・クルワーは、経営管理プラットフォーム「CCH(R) Tagetik」(以下、CCH Tagetik)を日本市場に向けて拡充することを4月18日に発表。それにともない、同社の経営管理&ESG部門のCEOであるカレン・アブラムソン氏も登壇した記者発表会が開催されました。
「CCH Tagetik」は、すでに1700社以上のグローバル企業が採用。日本ではトヨタやホンダも採用しており、経営管理業務のデジタル変革に乗り出しています。決算・連結、財務・規制報告、さらに拡張された計画・分析機能も提供。経営管理機能をデジタル化することで、経営管理の高度化を実現しています。
最初にカレン氏が登壇。企業経営の最新動向などについてプレゼンがおこなわれました。
「ESG環境やESGの活動の透明性を確保することが非常に重要になっている」とカレン氏。ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字をとった言葉です。透明性を確保することは企業が競争力を維持し、存在感を示すために必須になっていると言います。
先進国で構成されるG7は最近、気候変動に関する情報開示の義務化を支持する姿勢を示し、アジア諸国でも多くの国の規制当局が情報開示を今後数年で義務付けるなど、アジア地域のESG意識の転換を促しているとのこと。そして日本でもESGデータを収集・分析・報告することが求められてきているのだとか。
そこでウォルターズ・クルワーは2023年3月に、経営管理&ESG部門を設立。「我々の新部門はESGを戦略的優位性に変えるために支援していく」と語ります。さらにESGの取り組みを企業全体でデジタル変革していくことを支援していくとのことです。
続いて登壇したのは、ウォルターズ・クルワー CCH Tagetik 日本マネージングディレクター・箕輪久美子氏。ここ数年で「データ・ドリブン経営を実現する経営管理基盤のニーズが急速に増している」と実感しているそうで、それはグローバル調査の結果にも出ているのだとか。
調査対象者の90%以上がパンデミックやサプライチェーンの混乱などにより、「経営管理プロセスに複雑さが増した」と回答。95%以上が「経営管理の仕組みに不満を持つ」と答えたといいます。日本企業が抱える経営情報管理の課題としては、粒度バラバラだったり、整合性が取れていなかったりするところ。これらの課題に対応できるのが「CCH Tagetik」の経営管理プラットフォームと語ります。
実際に使用している日系の大手製造業の事例を見てみると、200以上の異なるシステムから「データ収集」「組み換え」「整合性チェック」「自動連携」をおこない、財務状況や明細情報などを一か所に集約。これだけの広い経営情報をワンプラットフォームで管理ができるのは「CCH Tagetik」だけといいます。
このプラットフォームをいかして今回発表されたのが、「CCH Tagetik ESG &Sustainability Performance Management」のソリューション。こちらはGRI、SASB、TCFDなど、様々なフレームワークに対応。業種別KPIカタログや計算処理、報告フォーマットなどを事前定義済みで届けるとのこと。
そして「攻めのESG経営」を実現するための段階的なアプローチについても紹介。第1フェーズはESG関連の情報の開示や分析、第2フェーズはESG指標と事業計画との連携、第3フェーズはESG経営の視点から、事業ポートフォリオの分析や製品ポートフォリオ再構築と段階的に経営を進化させていくことが大切だと語ります。
箕輪氏は、「日本企業がどんどんイノベーションを起こして世界をリードしていけるように、『CCH Tagetik』はパートナー企業と一丸となって日本企業の変革をしっかりと支援していきたい」と意気込みます。
最後に登壇したのは、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社代表取締役社長の近藤聡氏。統合プラットフォームの必要性について語ります。EYは会計事務所で、世界150か国に約36万人のプロフェッショナルが在籍し、グローバルが保有するさまざまな知識や資産を共有しています。
EY Japanはウォルターズ・クルワーと、2022年6月にアライアンスを締結。日本市場における経営管理の高度化や業務効率化、大量データを単一のシステムによる統合的な管理など、財務や経理部門のニーズに対応しています。
近藤氏によると、財務状況や明細情報などの財務諸表だけでは把握しきれない無形価値(社会的価値、人材価値、顧客価値)の開示についても対応しなければいけないとのこと。
具体的に言うと、社会的価値は環境や人権への対応、人材価値はダイバーシティ&インクルージョンなど、顧客価値はブランドの信頼性の認知度などです。しかし、これらの情報は簡単に算出できるものではありません。
データが散在しており、幅広いデータをどこからどう取ってくるのかという負荷が非常に大きいです。そもそもどんなデータを取ってくれば良いのかなど、企業としてなかなか定義がしにくく、データを取ってくる部署も多岐にわたるので、統合して報告するのが難しいという問題があります。このような状況ではプラットフォームなしに、「とてもじゃないけど、人海戦術でも対応できない」と訴えます。
今後EY Japanでは、統合プラットフォーム導入に関する構想策定や要件定義の支援、国内開発拠点である東京と九州を中心に「CCH Tagetik」の導入を支援していくと語りました。
取材協力:ウォルターズ・クルワー
(取材・撮影:佐藤圭亮)