インターネットや雑誌などを見ていると、「本当か?」と疑いたくなる広告を目にすることがあります。

 食品の研究をしているTwitterユーザーのじゃぐさんは、注意喚起の意味を込めて、架空のウェブ広告を作って自分で自分にツッコミを入れているツイートを投稿。多くの共感の声が寄せられています。

 じゃぐさんは食品科学の研究者。食品の成分には体の栄養になったり、調子を整えてくれたりするものがあります。その成分を探して分析したり、実際に効果があるか検証してそれらを製品に配合したりする仕事も行ってきました。

 そんな経験から健康食品の怪しいウェブ広告については「こういう広告はお客さんにとってコスト面でも安全面でもメリットはないし、業界自体の信頼性も下がるしやめてほしい」とツイートしています。

■ 縦軸が謎なグラフなど情報の信憑性についてのツッコミ

 ツイートに添付した4枚の画像の1枚目には、初めて耳にするような部門で月間の売り上げ1位になったという「意味のわからない一瞬のNo.1」や、「黒酢の300倍のパワー」などの謎の比較。「こんなお悩みありませんか?」とだいたい誰でも1つは当てはまる悩みをあげて不安を煽ったりするなどの例が描かれています。

 2枚目には情報の信憑性についてのツッコミが。縦軸が謎なグラフが出てきたり、テレビなどで有名らしい管理栄養士が推薦していたり……。他にも有名な大学名を出したりするなど、商品の効き目を信用させたいという狙いが見えます。

■ 「個人の感想」より正確な統計データを

 3枚目は実際に効果が出たという人が登場するパターン。ビフォーアフターの写真は撮り方にもよります。

 複数人の統計データが知りたいのに注意書で「個人の感想です」と書かれていたり、「リバウンドしない体へ!」となっているのにリバウンドまで検証しているデータは紹介されません。

 「きつい運動や食事制限は不要!」というキャッチコピーもよく見かけますが、一般的なレベルの運動と食事管理はしていたり……。ツッコミどころが満載です。

 最後もよく目にする「在庫が少なくなっています」と購買意欲を煽る文言。じゃぐさんも「今だけ!」などは要注意と呼びかけます。

■ 研究員の視点を知ってほしい

 最近かなり減っているものの、「太っている」「肌が荒れている」など消費者のコンプレックスを煽って健康食品を宣伝する広告を見かけたこともあり、「注意喚起や実際の現場の研究員の視点を知ってほしい」という思いを込めてツイートしたという、じゃぐさん。

 効くかどうか定かではないものを買わされることに疑問を感じ、無駄金になる可能性を危惧しているそう。安全面も食品だからと過剰摂取を推奨するような広告を見かけたので、「これは危ないと思った」といいます。

 「このような広告に嫌悪感を覚えている声はTwitterなどでもよく見かける」と、じゃぐさん。ただし、健康食品自体は悪いものではないので、そこによくないイメージを持たれたくないとも語っていました。誇大広告に騙されないためにも、確かな情報を見極める力を身につけることが大切ですね。

<記事化協力>
じゃぐ@食品研究さん(@food_juggle

(佐藤圭亮)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 怪しい表現に騙されないで!食品科学の研究者が広告にツッコミ