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近年、新たな働き方として広く普及した「リモートワーク」。一方でそれによる「軋轢」が生じるケースも少なからず発生しています。
とりわけ大きな課題となっているのが、仕事に対しての「評価」。公平性を期したものであるか、疑問を生じさせる現状にあります。
それを如実に示したTwitter上での「問いかけ」に、様々な意見が寄せられました。
「あなたは評価者です。部下2人を評価します。Aはフルリモート。Bは出社。あなたも出社。AとBの成果は同じ。どちらか一方だけを昇格させる必要がある場合、どちらを評価しますか?」
この日、Twitterで上記の発信を行ったのはHori Kazuhiroさん。以前はメガバンクに勤務し、現在は故郷・北海道札幌市の製菓会社で経営企画の仕事に従事しています。
「リモート環境が当たり前となりつつある一方で、リアル対面重視の年配者が評価を含めた『意思決定者』というケースは依然として多くあります。こうした中で、『本当に公平に見ることが出来るのか?』という疑問がきっかけでした」
今回Horiさんが提示したのは、同じ「成果」を出した「A」と「B」という人物に対し、どちらかを「昇格」させるのかがテーマ。両者の違いは働き方の違いだけです。これに対し、実に様々な意見が寄せられているのです。
Aを挙げた人は、主に「コストパフォーマンス」を理由としている傾向がありました。普段より在宅で従事しているため、出勤などの諸経費が発生せず、出社をすればさらにいい成果を出すことへの期待もする点も理由となっています。明確に数字として「利益」を生み出し、自己管理も行えている点で高評価を与えているようです。
一方、Bを挙げた人も少なからず存在しています。こちらは「昇格」から逆算した見方をする人が多く、それが管理職となる場合、出社している社員とのコミュニケーションの円滑性など、マネジメント力を重視した声が寄せられました。「組織運営」に重きを置く傾向があります。
また、「どちらも昇格させるべき」「決められない」という“本末転倒”な回答も。中にはじゃんけんで勝った方なんてユニークな手段を提案するユーザーもいました。
結果として、リプライ(返信)と引用を合わせて1000件をゆうに超える声が集まった投稿には、Horiさんも率直に驚いたとのこと。「意見が割れるのは予想したのですが、想定以上の反響でしたね」と振り返っています。
その「意見が割れる」ですが、実はHoriさんは、予めある「現象」を念頭に置いて発信しています。それは「近接性バイアス」。
これは、「物理的な距離感の近さや、対面的な接触時間の長さにより、特定人物を優遇すること」を示す現象で、今回の場合は、Bの「出社」にどれだけバイアスがかからないかがポイントとなります。
もう一度Horiさんの投稿に寄せられた声を見てみましょう。少なからず“かかっている”投稿が散見されますね。そもそもの話、評価において「背景」は無用の長物。「結果が全て」です。
しかし一方で、従来の働き方を全否定するのもナンセンスな話です。Bと答えた方で多かった「組織対応力」もまた注視すべき点で、全社員をフルリモートで従事させることが出来る企業もほんの一握りなことも見過ごせない事実です。筆者も3年近く「完全在宅ワーカー」として働いていますが、自分が「圧倒的少数派」という自覚があります。
そのため、日本では「ハイブリッドワーク」と称される、「オフィスワーク」と「リモートワーク」を組み合わせ、それを社員に選ばせる動きが加速しています。
つまるところ「いいとこどり」な働き方ですが、これにより「近接性バイアス」も幾分か緩和されるかもしれません。そのときにまた、今回のHoriさんのような問いかけをした際の結果との「比較」をしてみたいところですね。
<記事化協力>
Kazuhiro Horiさん(@Kazneedscaffein)
(向山純平)