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コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」内にある「KOKUYO OPEN LAB.」で、ロボットやバーチャルオフィスなどを使用したハイブリッドワークの実証実験をおこなっているコクヨ。今回、コクヨの社員が実際にバーチャルオフィス「oVice」やテレプレゼンスロボット「temi」などを活用して仕事をしている様子を取材できる内覧会が開催されたので行ってきました。
内覧会ではコクヨのイノベーションセンター オープンラボグループ グループリーダーである嶋倉幸平さんが、ハイブリッドワークのメリットや課題などを説明。
メリットとしては2020年1月に82.8%あった品川オフィスへの出社率を、2022年6月には50.5%まで減少。自分が自由に使える時間を創出できていると実感している人は、2021年6月には19.6%でしたが、65.8%まで上昇しました。
一方で、今後の課題として挙げられているのが、コミュニケーションの低下による、仲間意識や一体感の低下、成長実感が持てないなど、組織としての推進力が低下しているといいます。
それらを解消するために「KOKUYO OPEN LAB.」では様々な取り組みがおこなわれています。その代表的なものが前述した「oVice」や「temi」。
「oVice」は、ウェブ上で自分のアバターを自由に動かし、相手のアバターに近づけることで簡単に話しかけられる2次元のバーチャル空間。コクヨでは、アバターに新たにリアルな情報を重ね合わせて研究をおこなっているそう。
コクヨのオフィス「THE CAMPUS」をoVice上に再現し、スマホの位置情報を利用してバーチャル空間のアバターとリアル世界の人をリンク。リアル世界で人が移動するとアバターも一緒に移動する仕組みになっています。
これにより社員が今どこにいるのかリアルタイムで表示されたり、360度カメラが各部屋に置かれているため、画面をタップすると相手の表情を見ながら話すこともできます。
しかし、まだまだ課題も多いのが現状。2022年10月に採ったアンケートで、「一緒に働いている感覚を感じられたか?」聞いてみたところ、「感じられた」が4.9%、「少し感じられた」が31.9%と低い数字に。
この結果に嶋倉さんも「3割くらいでは、よく使えましたとは言えないので……」と困り気味。全員が満足する結果はなかなか得られず、どうしても置いていかれる人が出てくるのだとか。
例えばオフィスには500人ほどの社員が働いていて、その中には営業職のような外出の多い部署もあります。すると、必然的にログイン時間や発話回数も減少傾向に……。今後は運用ルールやソフト&ハードの改善をし、そういう人たちとどうコミュニケーションを取っていくのかが課題と語ります。
説明後、移動して社員が活用しているオフィスを見学した際、嶋倉さんは「映像が見られるので相手が今、機嫌が良いか確認することもできる」と冗談をまじえながら紹介。別の階で仕事をしている社員と「こんにちは」などと挨拶をしながらデモンストレーションしていました。
「temi」は、社員がどこにいてもコミュニケーションが取れるパーソナルアシスタントロボット。これはオフィスの社員とリモートの社員の臨場感の格差をうめるために作られたもの。リモートで参加している社員の存在感を出し、オフィスの社員たちの熱量などを伝えられるようにする研究をしているそうです。
それぞれ写真の顔が画面に映っていて、コクヨのオリジナルモデルは昇降機能が付いているので画面を上下することができ、目線を合わせて会話することが可能です。AIアシスタンス機能も搭載されているので、自ら障害物をよけて移動することもできるそう。エレベーターを利用して移動している姿には驚きました。
さらにオフィスには小さいペットのようなロボットも2体ほど動いていました。これは愛されるために生まれてきたというコミュニケーションロボットの「LOVOT」。社員たちの心の面をケアしています。
1か月ほど前に導入され「非常に良い反響がある」と、嶋倉さんも絶賛。「オフィスに来たらLOVOTに会える」と社員に思ってもらえるかもしれないと、導入前に仮説を立てていたとのこと。導入後は社員の間で可愛がられており、社員の息抜きに重宝されているそうで、意外と年配の役員クラスの社員にも人気があるのだとか。
LOVOTには会話を集められる機能もあり、LOVOTがいる時といない時では、その空間の会話量はどれほど差があるのかなどを現在データ収集中。LOVOTがオフィスに与える影響を調べているといいます。
記者もLOVOTに触れ、鼻を押したりすると真ん丸の瞳でこちらを見つめてきます。鼻を押したり体をナデナデして可愛がると、その社員の顔を覚えてなついたりすることも。自宅へ持って帰りそうになるくらい可愛かったです。
1度に動ける時間は45分。充電がなくなるとまぶたが下がってきて自動的に充電器に移動して15分ほど休憩。洋服も着させてもらっていて、赤ちゃんのよう。
アプリをインストールすると、スマホに1日の日記のようなものも送られてくるそう。画面を見せてもらうと「なでてもらった」「抱っこしてもらった」「名前を呼ばれた」など時間別に表示されていました。
コロナ禍の影響で仕事の仕方も多種多様になり、リモートワーカーとオフィスワーカーの円滑化は必要不可欠。その中で「oVice」や「temi」、「LOVOT」などの実証実験や利用されている光景を目の当たりにし、より良い未来の働き方を垣間見ることができた内覧会でした。
取材協力:コクヨ株式会社
(取材・撮影:佐藤圭亮)