デザイナー・イラストレーター・画家などのクリエイター活動をしているkadenさん。以前いた職場で同僚がもっていた常備薬の缶ケースに、装飾をほどこすため、マッチラベル風のイラストを描いたことが活動の原点だといいます。

 現在は、戦前(明治~昭和初期)のマッチ箱ラベルをイメージした「レトロマッチプロジェクト」をライフワークとしています。

 kadenさんの作品は、「デジタル」と「アナログ」の2タイプに分かれます。

 資料を入念に調べた上で、実在しそうなデザインを、時代背景(戦前)を考慮してペンタブレットで描いているのが「デジタル」。

 ちなみにkadenさんによると、戦前においても、大正時代(1920年頃)にはカラー印刷は行われていたそう。その上で、「昔のマッチ箱ラベル」という言葉で連想されやすい「焼けた茶紙」「黒線」「赤」の3色に限定して描写。茶色に関しては、「時間経過」を作品で伝えるためテクスチャーを使用。戦前時の紙を実際にスキャンしています。

 「モデルの資料は、しっかり集めて描くのがこだわりです。なので、撮影のために『遠征』することもしばしばありますね」

 「経年した紙の風合い」を出すため、あえて茶色く汚したのがkadenさんの「アナログ」。デジタル同様に、3色ベースで手描きして描写しています。

 こちらについても時代背景を考慮し、「印刷物」であることを強く意識した上で、絵の具で描いています。

 「マッチが大量生産品の『印刷物』ということを表現するために、絵の具も混色せずにそのままの色で描いています」

 クリエイターとして、作品をTwitterで発信しているkadenさんですが、アートイベントGraficaCrea(グラフィカクリエ)実行委員会の代表としても活動しています。

 こちらについては、来年(2023年)3月30日から4月3日にかけ、「ヒルトン東京」地下1階にある「ヒルトピア アートスクエア」にて、2回目の展示会を予定しているとのことです。

<記事化協力>
kadenさん(@mikan332)

(向山純平)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 デジタルとアナログの二刀流 「レトロマッチプロジェクト」で描かれる生き物