神奈川県を拠点に、彫刻切り絵作家として活動する輿石孝志(こしいしたかし)さん。

 紙を用いて表現する作品は、神聖幾何学・ゴシック建築・ケルト文化・イスラム文化など世界各地のモチーフを、輿石さんが時々に感じた組み合わせで構成して、独自の「新世界」として伝えています。

 日々の制作風景をTwitterにて発信している中、先日は自ら「新基準」と語る、「NEW WORLD ORDER」を紹介しました。

 「これまでの技法や手法といった、『既成概念』を取っ払ったのが『新世界秩序』です」

 日本語に直訳して作品コンセプトを語る輿石さん。まるでヨーロッパにある修道院の窓のような風貌は、100層からなる図面設計によって生み出されたそうです。

 今回の投稿は、角度や光によって見え方が変わる「NEW WORLD ORDER」を「朝日に半分だけ透かす」というのがコンセプト。右半分に光があてられ、全体を青で色取った背景は、水と紫に変色。光を飾る前よりもさらに幻想さが増したものとなっています。

 「頭の中で構成していたときは知恵熱が出るほどでした」と輿石さんが振り返るほど、圧巻のインパクトを誇る「NEW WORLD ORDER(新世界秩序)」。

 「自分の創作活動の新基準を目的としての制作です」とも語る通り、彫刻切り絵作家としての新境地を開いた本作ですが、従来の作品も、見る人の多くを引き付ける傑作ばかりです。

 「こちらはどうでしょう?」と輿石さん自ら選定していただいた過去作品は、振り子時計のようなフォルムに、時計の代わりに彫られた花柄が目を引く現代アートとなっています。

 グラフィック社より、「立体の模様を作る彫刻切り絵」というタイトルで書籍を刊行したりと、幅広い活躍をされている輿石さん。今後は東京都にある「NHK文化センター」にて、切り絵教室を8月7日に開催するとのことです。

<記事化協力>
輿石孝志さん(Twitter:@cosmic0605/Instagram:@taka.shi0605)

(向山純平)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 幾重に重なる紙の幾何学模様 彫刻切り絵作家・輿石孝志が伝える「新世界」