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ゴジラシリーズ2作のあとにカラーで制作されたのが『モスラ』で、『ゴジラ』に匹敵するヒット作となった。キングコングのあとにゴジラと対決する相手としてモスラが選ばれたのはそういう事情もあっただろう。
台風の影響による山崩れで、インファント島の地中からモスラの卵が海に落ち、そのまま日本の海岸まで漂流してきてしまう。その卵を手に入れ観光施設の目玉にしようとする興行主と、卵をインファント島に返そうとする新聞記者、学者との対立のなか、ゴジラが登場して卵に危機が迫る。
これだけだとまったく新しいストーリーという印象かもしれないが、実際は『モスラ』を下敷きにして、そこにゴジラという要素を加えたような展開になっている。モスラの故郷であるインファント島が周辺の核実験によって死の島になってしまっているという描写や改めて原水爆に対する批判を強調している点では、第1作『ゴジラ』のテーマに回帰したといえなくもない。
インファント島から卵の返還を求めてやって来るの少美人は『モスラ』と同様にザ・ピーナッツが演じている。「モスラの歌」も挿入され、『モスラ』と『ゴジラ』を同時に楽しめるという意味ではうまく融合した作品といえるかもしれない。
ところで、本作のゴジラの造形は人気が高い。個人的にも昭和ゴジラの中では一番好きな造形だ。
宝田、小泉、佐原、星とその後のシリーズに欠かせないキャストも顔を揃えている。
監督/本多猪四郎、特技監督/円谷英二
キャスト/宝田 明、星 由里子、小泉 博、藤木 悠、佐原健二、ほか。
1964年/日本/89分