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犬では「パンティング」と言って、体温を下げるための正常な呼吸ですが、猫は口呼吸を滅多としない動物なので、猫が同じように口呼吸をしている時は体の異常を示すサインです。呼吸が苦しい以外にも、高体温、神経症状、過剰興奮など口呼吸の原因は多岐に渡ります。
加えて、舌の色が青紫色になっている場合は「チアノーゼ」と言い、酸素が足りない時になる、かなり危険な症状です。
さらにあごを伸ばして呼吸をしていたり、「鼻翼呼吸」といい鼻の穴を大きく膨らまして呼吸をしている場合も、苦しいサインですので注意しましょう。
猫に鼻水や目やに、涙、くしゃみなど、いわゆる風邪のような症状が認められる病気の総称です。
猫風邪は、ウイルス、細菌、クラミジアなど、たくさんの原因がありますが、特に猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスの関与が大きいとされています。
動物病院で働いていると比較的良く見る病気です。
猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルス感染症は、3種混合ワクチンに含まれており、定期的な予防接種が推奨されています。
ただし、このワクチンは接種することでの発症・重症化の予防効果はあるものの、ウイルスの強毒株に対しての防御能は十分とは言えず感染を完全に予防できるものではないため、注意が必要です。
ですので、ワクチン未接種の猫や幼若猫、免疫力の弱い高齢の猫、持病のある猫は猫風邪症状のある猫とは隔離しておいた方が安心です。
人の喘息と同様に、呼吸をするときに気道がアレルゲンなど何かしらの原因で過敏に反応し、気道の内腔が狭くなったり気道粘膜が炎症を起こしたりして、呼吸困難が起きる病気です。
喘鳴という「ヒューヒュー」といった音や、咳、呼吸回数の増加、ひどくなると舌が青紫色になる緊急性の高いチアノーゼなどの症状が見られます。
また、原因が不明な場合が多いのですが、タバコの煙、ハウスダストなどが含まれる環境中の埃、猫砂の埃、香水や芳香剤、家庭で使用される消臭剤やヘアスプレーなどにおいを発する物、食べ物、花粉などは原因になり得るとされています。
さらに、気候やストレス、激しい運動が喘息を悪化させる可能性がありますので注意しましょう。
喘息は徐々に進行し、慢性的な呼吸困難となってしまうこともあります。発症頻度が少なく軽度の場合は様子見となることも多いですが、急激な進行を防ぐためにも、喘息様の呼吸や咳が見られた場合は、早めに動物病院で治療に関しての相談をしましょう。
猫に最も多い心臓病が「肥大型心筋症」です。
肥大型心筋症とは、心臓の壁が分厚くなって心臓が血液をうまく送り出せなくなる病気です。
そうすると血液が心臓の中で渋滞を起こし、肺の血管に圧力がかかって水漏れするように肺に水が溜まったり(肺水腫)、胸水が溜まったりして、突然の呼吸困難を起こしてしまうこともあります。
また、肥大型心筋症の場合、心臓の中で血液の塊(血栓)ができることがあります。
心臓内で出来た血栓は血流に乗って全身へ流れて行き、血管が細くなるところ(多いのは大動脈から両後ろ足に分かれる場所)に詰まります。
血栓が詰まると激しい痛みを伴うため、狂ったように鳴いたり暴れたりするほか、後ろ足の肉球は冷たくなり、ふらついたり足を引きずったりするようになります。
その状態が続くとやがては後ろ足が冷たくなり、麻痺して動かせなくなってしまいます。大きい血栓であれば一瞬にして足が動かなくなることもあります。
この時も激しい痛みから、呼吸はかなり速くなります。血栓塞栓症では肺水腫や胸水を同時に併発している場合も多いです。
猫は鼻と肉球にしか汗をかくことができず、体温調節はやや不得意です。
通常、犬のように舌を出して体温を調節することはありませんが、熱中症になり体温が急激に上昇すると、呼吸が速くなり口呼吸が見られる場合があります。
猫も激しく運動した後や予期せぬ事態が起きてパニックになった場合などに、一瞬だけ口を開けて呼吸することは稀にあります。
しかし、猫が1分以上、または短い時間であっても何度も口を開けて呼吸している場合は、体の異常事態のサインなので注意が必要です。
呼吸が苦しそうな時は、背景に重大な病気が隠れている事が多いため、早急な動物病院への受診が必要です。
特に舌が青紫色になっていたり、口呼吸をしていたりする場合は一刻を争う状態ですので、すぐに動物病院に行きましょう。
また、咳などの症状がある場合は動画を撮影して獣医さんに見せると、診断の材料となりますので、余裕があれば撮影し、時間や回数を記録するようにしましょう。