猫の『座り方の変化』でわかる病気4つ いつもと違うと感じたら疑うべきことと対処法
猫の『座り方の変化』でわかる病気4つ
1.骨軟骨異形成
骨軟骨異形成は、猫の骨や軟骨の発育に異常が生じる遺伝性の疾患です。主に膝関節や股関節に発症し、痛みなどの症状を引き起こします。
スコティッシュフォールドやマンチカンは、遺伝的にこの病気の発症リスクが高い猫種なので要注意。
とくにスコティッシュフォールドの耳折れは、骨軟骨異形成が原因と考えられています。つまり耳折れスコティッシュは、ほぼ100%骨軟骨異形成症を持っているということです。
骨軟骨異形成のわかりやすい症状としては、「独特な座り方」があげられます。
痛みをカバーするような座り方で、いわゆる「スコ座り」「おやじ座り」です。前足を投げ出し、まるで日曜日のお父さんのような姿勢で座ります。
「かわいい」という印象を受けますが、実は関節の痛みを和らげるための座り方で、猫にとってはポジティブな座り方ではないことも多いです。
さらに骨軟骨異形成は、遺伝性の病気なので完治ができないのが難点。猫の生涯が終わるまでずっと付き合っていくことになります。
重症の場合は歩行困難となるケースもあるため、獣医師と連携しながら、猫が過ごしやすい環境を整えましょう。
2.変形性関節症
猫の変形性関節症は、主に高齢の猫に見られる慢性の関節疾患です。関節軟骨に異常が生じ、猫に痛みや不快感をもたらします。
加齢以外にも過去の怪我、そして肥満などが発症のリスクを高める要因です。また骨軟骨異形成とは異なり、遺伝子は関係なくどんな猫種にも発症リスクがあります。
典型的な症状としては、歩行時の跛行(正常な歩き方ができない状態)や活動量の減少など。ほかには簡単にできていたジャンプや階段の上り下りが困難になったり、特定の姿勢を避けたり、触られることを嫌がったりする様子も見られます。
治療は主に症状の緩和と進行の抑制です。抗炎症薬などの投薬や、グルコサミンなどのサプリメントを使用したりして、日常生活を送りやすくなるようサポートします。
予防をするなら、体重維持と運動がカギ。完治が難しい疾患ですが、適切なケアと管理を行えば、猫のQOLを大幅に下げることもなく寿命を全うできるので、根気よく治療を行うことが大切です。
3.カリシウイルスによる関節炎
猫のカリシウイルスによる関節炎は、猫カリシウイルス(FCV)の感染によって引き起こされる疾患です。
稀な病気ではありますが、発症すると強い痛みが生じるため猫は座ることも嫌がります。
猫カリシウイルスは猫風邪の一種で感染力が強く、子猫など免疫力の弱い猫が発症すると重症化して命に関わることも珍しくありません。
主な症状はくしゃみ・鼻水・発熱・食欲不振などの風邪症状や口内炎・結膜炎など。特効薬はないため、対症療法を行いながら自己免疫でのウイルス撲滅をサポートします。
予防には、ワクチン接種が有効です。また新しい猫を導入する際に隔離期間を整えることなども、重要な予防策となります。
4.椎間板ヘルニア
猫の椎間板ヘルニアは、脊椎の椎間板に問題が生じて神経根などが圧迫される病気です。
椎間板は脊椎にある軟性の構造で、衝撃を吸収し、脊柱の柔軟性を保つ重要な役割を果たしています。
しかし加齢や外傷、遺伝的要因などによりこの椎間板物質が飛び出てしまったりすると、痛みといったさまざまな症状があらわれるように。
主な症状はヘルニアの程度や位置によって異なりますが、一般的には背中の痛み、歩行の異常、後ろ足の弱さや麻痺、痛みを避けるような姿勢などです。重度の場合は、排尿や排便が難しくなることもあります。
治療方法は軽度から中程度の場合、内科治療が選択されることが多く、安静・痛み止めや抗炎症薬の投与、そしてリハビリといった治療がメインです。重度の場合は、外科的治療が検討されることもあります。
いつもと違うと感じたら疑うべきことと対処法
猫の座り方に異常を感じた場合は、主に次のような対処をしてみましょう。
適切なケアを行う
症状が続く、猫の状態が悪化している場合は早めに獣医師に相談してください。そして診断結果と獣医師の指示に基づいて、適切な治療やケアを行います。
環境の整備
猫が快適に過ごせる環境を整えることも大切です。
柔らかいベッドや猫が休む場所を低所に移動してあげて、関節や筋肉の痛みが生じにくい環境を整えます。
ジャンプや高い場所への移動を減らし、猫が無理なく移動できるようにしましょう。
継続的な観察
猫の行動や姿勢を日常的に観察し、異常があればすぐに対応できるようにするのも大切です。早期発見と早期対応が、病気の進行を防ぎ、猫の生活の質を向上させます。
まとめ
猫だけでなく多くの動物は自分の不調を隠します。そのため飼い主は些細な変化からも、猫のSOSに気づけないといけません。
座り方もそのひとつ。座り方だけでも今回紹介したような病気が疑われるので、なんともないかもしれませんが、ほかの症状が出ていたり痛がる様子が見られたりしたら、獣医師の診察を受けるようにしましょう。
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